将来を見据えたデータベース基盤の最適解Dell VxRailダイナミックノードを使った3ティア構成

デル・テクノロジーズとVMwareが共同で設計・開発するHCI(Hyper Converged Infrastructure)アプライアンスの「Dell VxRail」(以下、VxRail)。HCI製品でありながら、ディスクレスの「ダイナミックノード」と外付けストレージによる3ティア構成を提供することができ、それだけでなく、管理ソリューションの「Dynamic AppsON」により外付けストレージを含めたシステム全体の統合管理を実現できるようになるため、大規模Oracle環境のような高い性能が求められつつHCIの簡素な管理性が求められるシステム基盤の移行先として期待されている。本稿では、デル・テクノロジーズと、VxRailの拡販を担うSB C&Sのキーパーソンに、Oracleユーザーの課題とそれを解消するVxRailのメリットについて聞いた。

デル・テクノロジーズ株式会社
ストレージプラットフォームソリューションズ アドバイザリーシステムズエンジニア 市川 基夫氏
デル・テクノロジーズ株式会社
ストレージプラットフォームソリューションズ
アドバイザリーシステムズエンジニア
市川 基夫氏
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術部 3課
プリセールスエンジニア
湯村 成一 氏
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術部 3課
プリセールスエンジニア
湯村 成一 氏
SB C&S株式会社
ICT事業本部 ICT第2営業本部 北海道・東北支社 営業推進課 
千葉 智久 氏
SB C&S株式会社
ICT事業本部 ICT第2営業本部
北海道・東北支社 営業推進課
千葉 智久 氏
SB C&S株式会社
ICT事業本部 システム基盤推進本部 プラットフォーム推進統括部 マーケティング部3課
立山 貴彦 氏
SB C&S株式会社
ICT事業本部 システム基盤推進本部
プラットフォーム推進統括部
マーケティング部3課
立山 貴彦 氏

外付けストレージに対応した統合管理ソリューション「Dynamic AppsON」が登場

 VxRailは、デル・テクノロジーズとVMwareの共同開発によって2016年に登場したHCIシステムで、グローバルで25万ノード以上の出荷実績があり、この分野ではトップシェアを誇るプロダクトだ。

 VxRailは従来ノードにVMware vSANストレージを内蔵するが、2021年にはコンピュート、ストレージリソースの柔軟な構成・拡張が可能となるディスクレスのダイナミックノードがリリースされ、VMware vSANを利用することなくデル・テクノロジーズの外付けストレージアレイとの組み合わせによって3ティア構成も組めるようになった。さらに、2023年春にリリースされる統合管理ソリューションDynamic AppsONにより、VxRailの管理画面からPowerStoreなどの外付けストレージも含めた一元統合管理が行えるようになる。

Dynamic AppsONによって外部ストレージも統合管理可能に
Dynamic AppsONによって外部ストレージも統合管理可能に

 デル・テクノロジーズ ストレージ プラットフォーム ソリューション システム本部の市川 基夫 氏は「従来の3ティア構成との違いについて質問を受けますが、従来の3ティア構成ではファームウェアやドライバー、OSまでサーバーを構成するコンポーネントの互換性確認やアップグレード作業をすべて手作業で行う必要がある一方、VxRailダイナミックノードを利用するとVxRailの”ワンクリックアップグレード”を利用することができるのでアップグレードに伴う運用負荷を大幅に削減することができます。コンポーネント間の互換性確認は不要で、一気通貫で安心してアップグレードできます。さらに、新しく登場するDynamic AppsONでは、VxRailの管理画面から、VxRailのみならず外部ストレージのPowerStoreを含めたエンドツーエンドのライフサイクル管理を行うことが可能になります。これにより、Oracleのように外部ストレージを追加するほうがワークロードにマッチしているという理由からVxRailの利用を諦めていたお客様に、最適な選択肢を提供できるようになりました」と語る。

Oracle DBのライセンスはそのままに、ストレージのみの拡張が可能

 SB C&Sでは、デル・テクノロジーズと密接に関わり、VxRailをはじめとする製品を利用したソリューションを提供している。さまざまな企業に支援を行う中で、VxRail+VMware vSANデータストア構成と、外付けのPowerStoreが利用できるVxRail ダイナミックノードの構成について質問を受けることが多いという。

 まず、背景となるOracle DB移行の状況を見てみよう。小規模Oracle DB(主にStandard Edition1、Standard Edition2)のユーザーは、ライセンス費用削減を目的にパブリッククラウドへの移行やPostgreSQLなど他のDBへの移行を検討・実施している。一方、大規模Oracle DB(主にEnterprise Edition)のユーザーは他のデータベースへの移行が困難なことから、継続利用をするがデータ量の増大やハードウェアの老朽化などによる移行に課題を抱えている。

 SB C&S ICT事業本部 システム基盤推進本部 プラットフォーム推進統括部 マーケティング部3課の立山 貴彦 氏は「大規模なOracleユーザーのお客様ですと、PostgreSQLへの移行は、テストだけでも膨大なコストがかかります。しかし、Oracleを継続して利用していると、データが増大してストレージ更改時のデータ移行が非常に困難になっています」と話す。

大規模Oracle DBユーザーは、ハードウェア更新時のデータ移行に課題を抱えている
大規模Oracle DBユーザーは、ハードウェア更新時のデータ移行に課題を抱えている

 また、1〜2台の物理サーバー構成で展開することが多い地方のOracleユーザーの場合、データの信頼性と保護の面からストレージを追加したい要望があるが、そこで問題が生じているという。SB C&S ICT事業本部 ICT第2営業本部 北海道・東北支社 営業推進課の千葉 智久 氏は「今までのHCIの場合はノードにストレージが含まれています。ディスクを追加したい場合にノードを追加しなければならないのですが、Oracleのライセンスはその台数に応じて加算されます。『ディスクだけでいいのになぜCPUやメモリも必要なのか』と、さらに稟議が通りにくいです。ですから、ディスクがいっぱいになるまで使い続けてしまい、その結果、移行がより難しくなっています」と述べる。

 都内はもとより、地方でも社内システムの管理を担う人材が不足しているため、どの企業も新しい環境への移行や移行後の運用管理に手間をかけたくないというニーズもある。

 「ダイナミックノードとDynamic AppsONのソリューションは、Oracleのライセンス費用はそのままで、ストレージだけを増やして管理も楽になります。お客様が求めていた画期的な製品だと魅力的に感じ、ご案内を始めたところです」(千葉氏)

ダイナミックノードはSSDやHDDは搭載されていないため外部ストレージを有効活用できる
ダイナミックノードはSSDやHDDは搭載されていないため外部ストレージを有効活用できる

性能検証で高いパフォーマンスを示した
VxRail ダイナミックノード+PowerStoreの構成

 上述のような要望に応えるべく、今回SB C&SはVxRail(VMware vSANデータストア構成)と、VxRail ダイナミックノード+PowerStore構成の比較検証を行った。プロジェクトの中心人物である、SB C&S ICT事業本部 技術本部 第1技術部 3課 プリセールスエンジニアの湯村 成一 氏は、「ストレージにPowerStoreを使うことで、データベースの性能が向上し、またDynamic AppsONを利用することでこれまで直面していた運用面の課題も改善することに着目しました」と性能検証の目的を語る。

 性能検証では負荷テストツール「JdbcRunner」を利用し、Oracle DBとPostgreSQLのTPS(Transaction Per Second)を計測した。計測条件としては、VxRailのディスク構成をRAID1およびRAID5にした場合の2パターンを用意した。まず、VxRailをRAID5構成にした場合、両データベースともにVxRail ダイナミックノード+PowerStore構成のほうが、わずかに高いTPS値を観測した。

 「検証結果を見るとわずかの差と思われるかもしれませんが、PowerStoreでは重複排除と圧縮を有効にしていますので、VxRailでも重複排除と圧縮を有効にすれば、その性能差がさらに大きくなる見込みです」(湯村氏)

VxRailをRAID5とした比較検証の条件と結果
VxRailをRAID5とした比較検証の条件と結果

 一方で、VxRailをRAID1構成にした場合は、VxRailのほうが僅かに高いTPS値を観測した。

 「RAID5構成よりもRAID1構成のほうが高いストレージパフォーマンスを期待できるため、この結果は妥当な結果だと思われます。それにしても、PowerStoreの重複排除と圧縮が有効になった状態でもTPS値がそれほど変わらないということは、PowerStoreがよりストレージ性能が高いといえるのではないでしょうか。」(湯村氏)

RAID1に設定した場合の比較検証条件と結果
RAID1に設定した場合の比較検証条件と結果

 VxRail ダイナミックノード+PowerStore構成を選択するメリットは導入面・運用面からも言及できる。

 「一般的な3ティア仮想化基盤の課題はいくつかあります。たとえば、利用するハードウェアやソフトウェアの互換性チェックが必要となることや、サーバーの台数が増えれば増えるほど基盤の初期導入に多くの時間を費やすことが挙げられます。その中でも運用面で一番ネックとなるのは保守作業ではないでしょうか。3ティア構成の場合は、ハードウェアとソフトウェアを別々に保守する必要があります。VxRail ダイナミックノードは予め互換性チェックが済んでいるアプライアンスであり、必要なソフトウェアも初期導入時にまとめてインストールされますので、納品されてからシステム基盤を準備するまでの時間を短縮できます。さらに、Dynamic AppsONによってダイナミックノード自身だけでなく、PowerStoreまで一元的に統合管理できるため、メリットが高い組み合わせといえます」(湯村氏)

 また、初期導入コストを比較するとVxRailのみの構成の方が安価となるが、将来的にリソースを拡張するのであればダイナミックノード+PowerStore構成のほうが運用コストを抑えられると見込まれる。なぜなら、コンピュートリソースとストレージリソースを別々に必要な分だけ拡張できるからである。デル・テクノロジーズはストレージのデータ削減保証プログラムを提供しており(Future-Proof Program)、PowerStoreにおいては4:1のデータ削減率を保証している。ストレージの容量効率も非常に高いため、より運用コストの削減が期待できる。

 「お客様は、限られたメンバーで、必要な機器の選定や運用管理で時間をかけていらっしゃいます。シンプルな設定と運用になるのは非常に有効です」(千葉氏)

デル・テクノロジーズとSB C&Sの強力なパートナーシップで
VxRailの魅力を全国に発信

 VxRailはVMwareとの共同開発製品ということもあり、デル・テクノロジーズでは、VMware製品に新しい機能が実装されると、それに対応したVxRailのアップデートを30日以内で行うことを約束している。これこそ、導入後も引き続き価値を高められるコンセプトを持った製品と言えよう。

 「既存のお客様であれば、導入後もより良い製品であり続けることができますし、新規のお客様向けには、VxRailの継続的な機能追加により、VxRailの利用が最適となる適用範囲を広げている状況です」(市川氏)

 SB C&Sでは、VxRailの販売支援の強化をしており、今回の検証結果をもとにしたセミナーの提供やトレーニングコンテンツの提供、個別の検証環境の提供、販売パートナーとともにエンドユーザーに訪問する同行営業も行っている。また、新しい技術に関しては、同社が運営するテックブログ「C&S ENGINEER VOICE」にていち早くレポートしているとのこと。

SB C&Sでは全国対応のVxRail支援チームを展開している
SB C&Sでは全国対応のVxRail支援チームを展開している

 シンプルなHCIに対しストレージが別となるダイナミックノードの構成に関して、運用管理が煩雑になるというイメージを持つ人も多いかもしれない。しかし、間もなくリリースされる新たな管理ソリューションDynamic AppsONならその不安を解消できるはずだ。外部ストレージを含めた統合管理によりシンプルな運用を目指している企業は、ぜひVxRail導入を検討していただきたい。

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