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徳島県

徳島県庁が目指す、安全性の高い柔軟な働き方

豊かな地域資源に恵まれながらも、急速な人口減少と少子高齢化に悩む徳島県。地域を持続可能なものにしていくために、県をあげてデジタル トランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる。その中で、職員の働き方やコミュニケーションをどうすれば変えられるかを模索。対策の一つとして辿り着いたのが、Google Workspace と Chrome Enterprise Premium の導入だった。
導入をリードしてきた上田紘嗣副知事と、企画総務部情報政策課専門幹の濵誠司氏に、これまでの道のりや実際に働き方がどう変わったのか、詳しく聞いた。
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「課題先進県」が DX を進める意味

 大迫力を誇る鳴門の渦潮に、エメラルド グリーンが美しい吉野川、特産の瑞々しいすだち…徳島県と言えばこうした豊かな自然がまず思い浮かぶだろう。そして、阿波おどりは国内外から 100 万人超を呼び込む一大イベントとなり、那賀町木頭地区(旧木頭村)の柚子が世界的に高い評価を受けるなど、インバウンド創出や輸出面での注目も高まっている。

 ビジネス面では、2000 年代初頭から全国に先駆けてブロードバンド網を整備しており、充実したデジタル環境をベースに独自性の高い企業が育っている。過疎化が進む山間部に、IT 企業のサテライト オフィスが次々と設置されて話題となった神山町では、現在も地域一体となった取り組みが続く。

 その一方で、徳島県は人口減少と少子高齢化が進む「課題先進県」でもある。

 「いかに地域の担い手を確保し、地域を持続可能なものにしていくか。そのことに大変苦心しているというのが実情です」2024 年 4 月に県企画総務部長兼最高デジタル統括責任者(CDO)として着任し、現在も CDO を務め DX の舵取りを担う上田副知事は危機感を語る。

 2000 年に 80 万人を超えていた人口は、2026 年には 67 万人を割って、100 年前の大正時代並みに落ち込んでいる。人口減少は多くの自治体にとって共通の悩みだが、特に徳島県では山地が多く集落が分散していることから、行政サービスや地域コミュニティの維持に苦労しているという。橋梁の整備が進んで関西圏へのアクセスが向上した一方、都市部へ人材が流出する「ストロー現象」も深刻だ。こうした地域課題を解決し、持続可能な地域社会を作るために期待されるのが DX だ。

 「県にはすでに魅力的な地域資源がたくさんあります。きちんとメンテナンスして、さらに観光資源として磨き上げ、県を活性化させて日本経済にも貢献していきたい。そのためには、生産性の向上や効率化が必要です。その取り組みの一つとして、AI の活用を含め、DX を進めることが重要だと思っています」(上田副知事)

徳島県写真

導入のきっかけは、
超過勤務と職員間のコミュニケーション改革

 では、その DX を進めていく中で、なぜ Google Workspace と Chrome Enterprise Premium を導入することとなったのか。改革の狙いは、同期性に縛られる働き方から、非同期的で柔軟な働き方への転換だった、と上田副知事は振り返る。

 「ほかの自治体も同様ですが、徳島県では資料を紙で印刷し、対面で説明する同期的なコミュニケーションが日常でした。それではどうしてもお互いの時間を拘束し、同じ場所にいなければならないことになる。そうではなく、勤務時間に配慮しながらチャットを中心に連絡し、コメントを返せる非同期的で柔軟なコミュニケーションに変える必要があると思いました」

 上田副知事は北九州市デジタル政策監として同市の DX をリードした経験もある。2024 年 4 月の徳島県での企画総務部長(CDO 兼務)着任にあたり、後藤田正純知事から「職員の超過勤務の削減」「グループウェアの刷新」を指示されていた。重要なことは「働き方を変えること」であり、それを実現するため、ツールありきでない検討をする必要があった。頼りにしたのが県の情報政策に精通する情報政策課専門幹の濵誠司氏だった。

 上田副知事は徳島県への着任早々、システム環境について説明を受ける中で、濵氏に対し「グループウェアの見直し、リモートワークの改善、ノーコード・ローコードツールの導入」を早速相談した。

 当時県庁で使っていたグループウェアは県独自に開発したもので、職員から悪い評判はあがっていなかった。VPN に接続することで一定レベルのリモートワークも可能だった。しかも、予算的には非常に低コストという利点があり、これを変えるという発想に至りづらいものだった。ただし、境界型防御については、濵氏はずっと頭を悩ませていたという。

 「当時、徳島県では VPN と VDI を組み合わせていて、リモートワークで同時接続できるのはせいぜい 500 人でした」と濵氏は語る。コロナ禍には 4,000 人の職員のうち 8 割のリモートワークが求められたが、全員の同時接続は到底不可能だった。課題はそれだけではない。当時のインターネット仮想環境は、動作が遅いだけでなくファイルの受け渡しも煩雑でトラブルも多く、職員からの問い合わせを集計してみたところ、6 割以上がこうしたインターネット環境分離にまつわるものだった。

 「情報システム担当者はその対応に追われていました。現場の職員はこの不便さに『慣らされてしまっていた』だけで、生産性は著しく下がっていた。この仕組みを構築・運用してきた私としては、何とかこの環境から脱却したいと、ずっと解決策を探っていたのです」(濵氏)

 そんな課題を持っていた濵氏は、セキュリティ関連のイベントに参加し、解決の糸口を探り始めていたという。その情報収集の過程で、インフラの課題を解決しうる手段として「Chrome Enterprise Premium」の話を聞き、関心を寄せつつあった。

 まさにその矢先における上田副知事からの声がけに、「やっぱり、グループウェアの見直しとローコード・ノーコードツールの検討はやらなあかんのか、と思った」と率直に振り返る。上田副知事も「濵さんの顔がこわばっていましたね…(笑)。できることできないことを共有し、相談しながらやりましょう、と話しました。また、個々の団体でセキュリティを確保するのは、困難になるとの見通しもありました」と語る。

 「予算は自分が責任を持つので、抜本検討を」と上田副知事に告げられた濵氏は、セキュリティに関する情報収集にとどまらず、コミュニケーション プラットフォームの調査もさらに加速していった。そこで検討対象に挙がったのが「Google Workspace」である。

 実は検討を開始した段階では、インフラの課題を解決する Chrome Enterprise Premium と、グループウェアの Google Workspace は別々に考えていたという。「最初は別々に Google さんからお話を聞いていたんです。でもある日の打ち合わせで、両方の担当者が同席していて、びっくりしたんですよ。これらが連携して一つの環境としてひっつくんだ!って」(濵氏)

 Chrome Enterprise Premium と Google Workspace が密に連携することで、長年懸念していた「職員全員の同時接続」も可能になることがわかった。「Google のソリューションを検証してみたことで、いままでの仕組みが『レガシーだった』と気づきました」と濵氏が語るように、この発見は徳島県の働き方を劇的に変えうるものだった。機能面や費用面での検証を重ねる中で、濵氏はますますこの統合されたソリューションの魅力にのめり込んでいき、最終的にこの組み合わせの導入が決まったのである。

 ツールの導入と並行して、上田副知事は働き方のルールも見直しを進めていった。

 例えば 12 時から 13 時までと決まっていた休憩時間は、11 時から 14 時までのいずれか 1 時間と変更。また、勤務時間を工夫することで週休 3 日が可能になったり、リモートワークを組み合わせることで出張翌日も滞在先で仕事ができるようにしたりした。中には、定められた勤務開始時間を必要以上に集権管理するシステムもあったが、所属長が実情に応じて適正に判断できるようにした。

 「働き方で大事なのは、心理的安全性と予見可能性だと思います。朝から子どもが泣いているのに家を出ることはできませんよね。介護をしている人もいるし、車通勤で渋滞に巻き込まれることもある。所属長が職員の実情を踏まえて適正に判断できれば、システム上理由をいちいち求める必要はないよね、と。 そのほかにも、条例改正を提案したり、規則を変えて通知を出すなど、制度的な環境も含めて整えていきました 」(上田副知事)

徳島県写真

ツールの導入は働き方をどう変えたのか

 Google Workspace とChrome Enterprise Premium の導入によって、県が目指す「非同期的で柔軟なコミュニケーション 」の実現には近づいているのか。上田副知事は次のように手応えを語る。

  「いまは『どこでも仕事ができる』という感触があります。Google Workspace には Google Meet が入っているので、移動中、モバイル端末からアジェンダを確認し、そのままオンライン会議を立ち上げることもできる。もちろん業務によって、やはり来庁しなければいけないものや、まだ同期型のコミュニケーション文化が残っている部分はありますが、着実に良くなってきています。そうした声を聴かせてくれる職員も少なくありません」

 一方、濵氏が特に効果を感じたというのが、Chrome Enterprise Premium によるゼロトラスト環境の構築だ。これまでプロキシ サーバーがネットワークの境界で行なっていた Web サイトのフィルタリングやウイルス検知といった機能を、ブラウザの内部で直接処理できるようになり、それまでのプロキシ管理を廃止することが可能に。プロキシ廃止によってインターネットの通信速度が安定し、障害への対応も簡単になり、リモートワークもしやすくなった。VPN、VDI、ファイル サーバー、メールサーバーのリソースについても大幅に削減した。これにより、情報政策課を長年悩ませていた運用保守やトラブル対応の負担が劇的に軽減された意義は大きい。

 「プロキシがいろいろなところで通信のボトルネックになっていましたが、 Chrome Enterprise Premium によってやめることができました。ネットワークの構成が単純になったので、障害が出た場合の原因究明も簡単になりました」(濵氏)

徳島県写真

チャット活用でフラットなやり取りに。
業務削減は「体感 3 割」

 実際に職員は Google ソリューションをどう使っているのだろうか。知事が出席する行事や会見資料の取りまとめを担当する知事戦略局室長補佐の片山裕喜氏に聞いた。

 まず大きく変わったというのが、資料の作成と共有の方法だ。作成については、Gemini の存在が大きい。これまでは過去の資料を参照して一から作っていたが、いまは Gemini で叩き台を作成し、人の目で確認・修正をすることで作成時間が大幅に短縮。これまで生成 AI の使用は申請をして認められたときを除き原則禁止だったが、組織内で安心して利用できる環境が整った。

 部局間の資料の共有についても、これまでは作成したものをメールに添付して送信し、確認・修正したものを返してもらっていたが、Google ドキュメントや Google スプレッドシートで作成して共有、各部局の担当者と共同編集し、常に最新版を確認できるようになった。会議の議事録についても、以前は職員が音源を聞き起こして作成していたが、いまは Google Meet の文字起こし機能を使うようになった。

 職員間のコミュニケーションも大きく変わった。メール中心から Google Chat に移行。さらに知事戦略局では Google Chat のスペースを活用して簡易決裁や資料共有もしている。知事の定例記者会見の資料はこれまで、幹部向けに印刷していたため紙の量が増えてしまったが、Google ドライブ上で共有する形に。ペーパーレスへの意識も高まったという。

 「いままではメールで『いつもお世話になっております』から始めて文章を作っていましたが、いまはチャットで気軽にやりとりできるようになりました。副知事に早めにチャットで相談することも。職員間のコミュニケーションの変革は非常に大きいです」

 プロキシの廃止と、Chrome Enterprise Premium によるブラウザでの強力なセキュリティ担保により、私物のパソコンやタブレットを業務に利用する BYOD(Bring Your Own Device)も可能になった。

 片山氏が今年 7 月に発生した熊本地震で被災地に派遣された際には、行政用の端末は重くバッテリーの持続にも不安があったため、私用端末の Chromebook を事前に申請することで BYOD を試みた。支給された Wi-Fi を活用し、現地から県庁の内部システムやメール、チャット、電子決裁にもアクセスできた。

 Google Workspace の各種ツールによって働き方が大きく変わり、「体感としては 3 割くらい業務の削減につながった」と片山氏は語る。一方、Chrome Enterprise Premium の導入によってゼロトラスト環境が実現し、セキュリティが強化されたということは「まったく知らなかった」という。特別なソフトを立ち上げる必要はなく、いつものブラウザ自体にセキュリティ機能が組み込み式で搭載されているため、ユーザーに一切の負担を感じさせることなく、自然に安全性が担保されていることが伺える。

徳島県

 ユーザーが日常的に負担を感じることがない環境を支えるのがシステムの運用・保守となるが、この点も「何もかもが簡単になりました」と濵氏は語る。

 例えば、県では Google ドライブに集約した各種ファイルの名前に「機密性1」「機密性2」などのルールに基づいたキーワードを含めるだけで、自動的に機密ラベルを検知・付与する仕組み(DLP 機能)を活用。分類に応じて、ダウンロード禁止や警告表示といった保護をかけ、ウイルス侵入後の持ち出しを防ぐ多層防御を目指している。

 また、URL フィルタリング機能はこれまでも活用していたが、細かな設定が可能であるため、逆に運用が複雑になっていた。Chrome Enterprise Premium の URL フィルタリング機能は設定がシンプルで、必要性の低い設定を減らすきっかけになったという。

 2025 年 10 月の正式導入からおよそ 1 年。非同期的で柔軟なコミュニケーションの構築に向けた取り組みはまだ途上の面もあるというが、職員の働き方とコミュニケーションのあり方を着実に変えている。インフラの制約から解放され、より柔軟でフラットな組織へと進化を続ける徳島県庁。その歩みは、同じように人口減少やレガシーシステムに悩む全国の自治体にとって、希望のモデルケースとなるはずだ。

徳島県 副知事 兼 最高デジタル統括責任者(CDO)上田 紘嗣氏
徳島県 副知事 兼 最高デジタル統括責任者(CDO)
上田 紘嗣氏

徳島県 企画総務部情報政策課 専門幹 濱 誠司氏
徳島県 企画総務部情報政策課
専門幹
濱 誠司氏

徳島県 知事戦略局政策推進室 室長補佐 片山 裕喜氏
徳島県 知事戦略局
室長補佐
片山 裕喜氏

提供      :グーグル合同会社、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 企画/制作   :株式会社4X メディア&データ本部 営業部 掲載内容有効期限:2026年12月31日
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