PASでアプリケーションの導入を最大40%加速
HCLでは、21世紀のエンタープライズの成長を、3つのモードで支援する。モード1は現在のエンジニアリング系のコアビジネスによる支援、モード2は顧客のプラットフォームビジネスの支援、モード3はエコシステムを活用した支援である。その中でモード2が成長率31%と、もっとも勢いのある分野である。
Rajiv氏は、「重要なのは、楽天が楽天カードで顧客データを収集したように、いかにお客様と協業してデータを収集するかである。そして、収集したデータを分析し、次のビジネスに生かしていく。そこで、IoTが重要な技術となる。今日は製造業企業の方が多いと思うが、まずは、皆さまのお客様が製品をどのように使っているかを知るべきだ」と言う。
ある医療機器メーカーでは、個々の患者のライフスタイルに基づく具体的なニーズをいかに把握するかが課題だった。そこで、医療用プラットフォームを立ち上げ、患者のデータを分析し、正しく理解することで、それぞれの顧客により高い付加価値を提供。3,000名の顧客に付加価値の高い医療サービスを提供し、20億ドルの収益を上げている。
「データを活用することで、まだ誰も参入していないビジネス領域において、新たなビジネスを確立するチャンスが生まれる。すべての会社に、平等にチャンスはある」とRajiv氏は語る。これをサポートするソリューションとしてHCLでは、「Platform Acceleration Suite(PAS)」を提供する。
PASは、再利用可能なソフトウェアコンポーネント、パッケージ化されたアプリケーションフレームワーク、および自動化ツールの組み合わせにより、ビジネスアプリケーションの導入を最大40%加速することができる。PASを利用することで、短期間でプロトタイプを作成し、オープン戦略を実行することができる。
Rajiv氏は、「顧客には、迅速にアプリケーションを構築し、市場にサービスを展開したいというニーズがある。現在、3兆をこえる種類のデジタルプラットフォームがあるといわれるほど、プラットフォームへの期待は高い。PASは、すでに多くの顧客に採用された実績があり、今後も投資を続けていく」と話している。
製造業がプラットフォーマーになるには何が必要か

Gemba Lab ジャーナリスト・Gemba Lab代表の安井孝之氏
パネルディスカッションでは、モデレーターであるGemba Lab ジャーナリスト・Gemba Lab代表の安井孝之氏の進行により、「モノづくり企業の次世代戦略 ~商機を掴むプラットフォーム戦略のありかた」をテーマに、プラットフォームビジネスの現状や事例、必要なパートナーシップなど、活発な議論が展開された。
ディスカッションの開始にあたり安井氏は、「プラットフォームを制する企業が市場を制し、収益も高めることができる。そこで今後の企業経営では、プラットフォーム戦略をいかに推進するかが大きなポイントになる。ここでは製造業が、プラットフォーマーになるためには何が必要なのかを議論したい」と全体のテーマを設定した。
今回、パネルディスカッションに参加したパネラーは、以下の4名である。

ルネサス エレクトロニクス
インダストリアルソリューション事業本部 IAソリューション事業部 事業部長 傳田明氏
ルネサスは、2002年に日立と三菱の半導体部門の統合により設立された会社。2009年には、NECエレクトロニクスを統合し、さらに2017年2月にはインターシルを統合した。現在、自動車、産業、ブロードベースドの分野で、デバイス、キット、プラットフォームという3つの半導体ソリューションを展開している。
傳田氏は、「2017年前半の売り上げは約3,700億円で、自動車が半分、産業が3割、残りがブロードベースドの割合である。現在、産業向けのプラットフォームを構築している。また、組み込みAIの分野にも取り組んでいる」と語る。

日本アイ・ビー・エム
Watson IoT事業部
テクニカルセールス&ソリューション部長 永井修氏
IBMでは、かなり前からIoTに取り組んでいる。本格的なビジネス展開を表明したのは2年半前より。このとき30億ドルを投資し、2000名のコンサルタント、エンジニアを集めて事業部門化した。この事業部門の本社は、インダストリー4.0を推進するドイツのミュンヘンにある。IBMが米国以外に本社を置くのは初めてのことである。
永井氏は、「本社のほか、日本をはじめ世界8拠点にIoTセンターを展開。日本では、1年半前より事業を展開し、顧客にIoTを体験してもらう場を提供している。IBMは、コグニティブ(AI)をクラウドで提供する会社である。以前、Bluemixと呼ばれていたIBM Cloudをプラットフォームとして、IoTやAIをさまざまな業種向けに提供している」と話す。
HCLでは、顧客のプラットフォーム構築や既存プラットフォームの機能強化の支援に取り組んでいる。プラットフォームは、成長著しい分野。10年前、プラットフォームビジネスを展開している顧客は数社だった。現在では、各業界のトップ10社のうち4社がプラットフォームビジネスを展開している。

HCLテクノロジーズ
Corporate VP, ERS
Vijay Anand Guntur氏
Vijay氏は、「プラットフォームビジネスを展開している企業は、今後さらに成長が期待できる。ユニコーン企業も、多くがプラットフォーマーである。プラットフォームのメリットは、大きく3つ。製品やサービスをグローバルに展開できること、ユーザーエクスペリエンスの向上が期待できること、新しい価値を迅速に顧客に提供できることだ」と言う。

PwCコンサルティング
パートナーPwCデジタルサービス日本統括
松永エリック・匡史氏
PwCは、社員数が全世界で約25万人、日本で約6000人の会社である。PwCのデジタル事業は幅広いが、プラットフォーム関連としては、IoT事業、ロボット事業、RPA、ドローンなどのプラットフォーム技術を推進している。松永氏のプラットフォーム関連の著書として、『クラウドコンピューティングの幻想』(技術評論社)がある。
松永氏は、「現在、CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)とPwC内のデジタルサービス、エクスペリエンスセンターのセンター長を兼任している。最初の会社で、メインフレームによる金融プラットフォームを担当した。その後、コンサルティング業界に移り、世界各国の最先端のベンチャー企業のサポートにも取り組んでいる」と話している。