最小限のコストで最適な生産管理を実現! 最適解として「Microsoft Azure」を選んだキャタラーの狙いは!?

エンタープライズ向けの豊富な機能と環境
既存システムとの親和性が決め手に

 では、クラウドサービスの中で、なぜ「Microsoft Azure」を選択したのか。その理由について川口氏は「ユーザビリティの高さと既存システムとの親和性」を挙げる。

 現在、キャタラーはサーバに「Windows Server」、データベースに「SQL Server」を使用している。社内のIT推進部が管理するにはこれまでの操作性を損なわない、親和性の高い環境が重要だ。吉田氏は、「既存システムの8割以上がWindows Serverであり、Hyper-Vで仮想化しています。ですから、Azureであれば、将来的に既存システムもクラウドに移行する場合にも(仮想環境で利用されている)VHD(Virtual Hard Disk)ファイルをそのままクラウドにアップロードすればよいのです。実際、この移行方法をあるオンプレのシステムに実施しましたが、クラウド環境へすぐに移行できました。オンプレとシームレスに移行できるという観点からも、Azureを利用するメリットは大きいのです」と説明する。

 もう1つはグローバルのリージョン数だ。キャタラーは世界に7つの工場を有する。その1つである南アフリカでも対応できるかどうか。「将来的にグローバルでキャタラーのシステムを共通化させることが目標ですから、工場の近くにリージョンがあることは重要でした。」と川口氏は語る。

 さらにもう1つ、Azureを選択した大きな要因がある。それが、BCP(事業継続計画)だ。キャタラーの本社は海岸に近く、南海トラフ巨大地震の想定震源域に入っていることから、BCP対策は必須なのだ。

 「バックアップは海外拠点しかありません。災害が発生した際にも迅速に対応するためにも、海外拠点と情報システムの連携は必須です。エンタープライズシステムを運用する際にDR (Disaster Recovery:災害復旧)は重要です。マイクロソフトは『Azure Site Recovery』(※1)といったDR機能をいち早く設計に取り入れました。こうした姿勢も(他のクラウドサービスと比較し)評価したポイントです」と吉田氏は語る。

※1 Azure Site Recovery オンプレミス環境を継続的にAzureにレプリケーションしてバックアップ保護し、障害発生時にはセカンダリーサイトまたはAzure IaaSの仮想マシンに素早く復旧する機能

 これらを踏まえ、実際にAzureを導入することで、ITインフラ手配にかかる調達リードタイムは90%削減され、アプリ開発も拠点ごとの開発からクラウドによる世界共通アプリに統一することで、開発費を70%も削減、ITインフラにかかる費用も約60%の削減を見込んでいる。

 「開発費やITインフラの運用を大幅に圧縮できる最大のメリットは、人的なリソースを『ITシステムの維持』ではなく『ビジネスを成長させるIT戦略』に割けることです」と吉田氏は説明する。

 「例えば、以前のシステムは業務拡張するたびに継ぎ接ぎに(システムを)開発し、不足部分は手作業で開発・運用をしていました。しかし、Azureの導入でそうした“場当たり的な開発”と“力業の運用”をしなくてすむ。IT部門の役割が大きく変わることを実感しています」(吉田氏)

モノ作りとIT戦略を両輪で回せる組織作りを目指す

 現在はシステムの設計が終わった段階で、スタートラインに立った状態。『グローバルビジョン 2025』の実現に向けてアクセルを踏み込むのはこれからです」と川口氏は説明する。

 企業としての目標は、グローバルでのシェア拡大だ。ただし、川口氏には追い求める理想がある。それは、社員全員がいつでもシンプルに同じデータにアクセスできる環境を構築することで“データファースト”なビジネススタイルを確立することだ。

 「ITに携わる社員ではなくても、『こんな取り組みをしたいから、クラウドのこのサービスを利用してみよう』『このデータを分析したら面白い知見が得られた。これをグローバルで共有して次のアクションにつなげよう』という会話が自然に生まれる。モノ作りとIT戦略を両輪で回せるような組織を作りたいのです」(川口氏)

 吉田氏も「クラウドで企業のIT部門はその役割が大きく変わります」と力説する。

 「これまで多くの日本企業は、ITインフラの構築はSIerが担当していました。しかし、欧米企業では社内のIT部門が知識と決定権を持ち、『ビジネスを成長させるIT戦略』を立案し、システムの内製をしています。そしてこのようにIT部門がITスキルを保有している企業がクラウドの特性をより活かす事ができる。例えば、Azure Resource Managerではスクリプト言語やJSON(ジェイソン)でインフラを自動構成できます。インフラ、ハードウェア、ソフトウエアと役割を分断してきた垣根を取り払い、お互いのスキルをオーバーラップさせて協力すれば、IT部門はもっとビジネスに貢献できる。クラウドを活用することで、日本企業の競争力はもっと上がると考えています」(吉田氏)

提供:日本マイクロソフト株式会社
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