問題が未解決なワケ
周知のとおり、これらの課題──とりわけ、コストの問題を解決すべく、クラウドのプラットフォームを用いてシステムやデータをバックアップ/リカバリする手法に期待と注目が集まった。ところが、クラウドを使ったBCP/DRサイトの運用はあまり進んでいない。
その理由について、クラウドを使ったDRサービスを提供するニフティクラウドの向平友治氏(クラウド事業部クラウドマーケティング部リーダー・ニフティクラウドエバンジェリスト)は次のように説く。
クラウド事業部
クラウドマーケティング部
リーダー・ニフティクラウドエバンジェリスト
向平友治氏
「クラウドをBCP/DRサイトとして利用するのは、本来的には合理的で経済効率に優れた方法です。ただしこれまでは、既存システムをそのままクラウドに移行するのが困難でした。そのため、クラウドへの移行でシステム構成やネットワーク構成が変わってしまい、既存システムとは異なるシステムとしてBCP/DRシステムを管理運用する必要に迫られることが多くあったのです。結果として、クラウドを採用したにもかかわらず、オンプレミス環境で遠隔地にBCP/DRサイトを構築するのとほとんどコストが変わらないケースすらありました」
また、オンプレミス環境とクラウドの環境が異なれば、BCP/DRサイトの構築・運用管理に新たなスキルの獲得が必要になる。そのようなスキルを身に着ける、あるいは、そうしたスキルを持ったエンジニアを新たに雇用することは、IT予算に限りがあり、潤沢な人的リソースをITに振り向けることのできない企業──例えば、中小の企業などにとっては大きな負担だ。しかも、かつてのクラウドは、システムの信頼性やセキュリティ面で企業の要件を満たすレベルにない場合もあり、それも、BCP/DRでのクラウド活用を阻害してきたのである。
「ニフティクラウド DRサービス」が障壁を取り除く
以上のように、これまでのクラウドは、ITシステムのBCP/DRを巡る企業の課題を抜本的に解決するまでには至らず、それが、BCP/DRの必要性・重要性を理解しながらも、なかなかその実施に踏み切れない企業のジレンマにつながってきたと言える。
そうした企業のジレンマを断ち切るソリューションとして、ニフティクラウドが提供しているのが「ニフティクラウド DRサービス with VMware vCloud Air Technology」(以下、ニフティクラウド DRサービス)である。
これは、VMwareの「vCloud Air」が提供する災害復旧サービス「Disaster Recovery」をニフティクラウドの環境で提供するサービスだ。「VMware vSphere」で仮想化されたオンプレミス環境から「ニフティクラウド」へのクラウドレプリケーションを簡単な操作で行うことができる(図4参照)。
図4:ニフティクラウド DRサービスの概要~マウスクリックでクラウドレプリケーション~
同サービスを使うことで、既存システムが停止するなどの有事の際に、クラウド上のレプリケーションを起動させセカンダリサイトとして運用することが可能になる(図5参照)。
図5:ニフティクラウド DRサービスの概要~有事の際のレプリケーションフロー~
加えて、プライマリサイトが復旧した後は、セカンダリサイトからのフェイルバックも可能としている(図6参照)。
図6:ニフティクラウド DRサービスの概要~クラウドからのフェイルバック~
しかも、このサービスは既存のVMware vSphere環境と同じ管理体系を持つ。そのため、クラウド環境用に新たな運用ノウハウやスキルを習得する必要はなく、クラウド上で簡単にシステムを立ち上げ、既存のシステム構成のまま運用していくことができる。これは、前出の調査結果(図3)にも見られる人の問題──すなわち、BCP/DRサイトの構築・運用のための「適切な人材が社内にいない」といった問題の解決につながる特徴と言える。