X2-2からX3-2に進化したExalogic
日本オラクル
Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部
部長
清水照久氏
Oracle Exalogic Elastic Cloudは、Oracleのエンジニアドシステムズの中でも、その価値が今ひとつ伝わりにくい製品かもしれない。いわゆるミドルウェアと呼ばれるソフトウェア群を、最新、最強のハードウェアと融合させたマシンだ。
データベースをハードウェアと融合させ最適化しているExadataは飛躍的な性能向上が売りだが、Exalogicも、数倍から10倍程度の性能向上が謳われている。
「Exadataと比べてしまうと、インパクトが少なくぴんとこないのかもしれません。しかしながら、アプリケーションのレスポンスをチューニングもせずに従来の3倍速くなるだけでも、体感的には恐ろしく速くなったと感じるはずです。この差はユーザー数が多い社内システムのように規模が大きなシステムになるほど実感できる差です」と言うのは、日本オラクル Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 部長の清水照久氏だ。
今回、Exalogicは従来のX2-2というバージョンから、X3-2へとメジャーバージョンアップされている。その結果、フルラック構成ではCPUコア数が480、メモリは7.7TBへと大きく拡張し、フラッシュキャッシュの量も大きく増えている。このようなハードウェアスペックの向上もあり、Javaアプリケーションの性能は最大化し「システム統合のためのプラットフォームとしては、最適なものになった」と清水氏は言う。
Exalogicは、実際に企業が利用するさまざまなアプリケーションの性能を大きく向上させる。当然ながら、Oracle Fusion ApplicationsなどのOracleが提供している業務アプリケーションも、Exalogicで稼働させることで性能は大きく向上する。たとえば、Fusion ApplicationsのFinancials SLA(Sub Ledger Accounting)処理で行ったベンチマークでは、標準的なシステムのおよそ5.3倍となる毎時22,000万ラインスループットを発揮している。
Exalogicでは、すでに世界中の7万を超えるユーザーアプリケーションが稼働しているとのこと。その種類は60を越え、どのアプリケーションでもベンチマーク結果は大きく性能向上しているとのことだ。
ハードウェア性能だけではない、Exalogicの肝はソフトウェアの進化
ところで、エンジニアドシステムズの場合は、どうしてもハードウェアスペックの向上に目が奪われがちだ。しかし実際には、搭載されているハードウェア性能を最大限に引き出すための、ソフトウェアの進化こそがポイントになると清水氏は言う。今回のExalogic X3-2では、そのExalogic Elastic Cloud Software(以下EECS)というExalogc 専用のソフトウェアも大きく進化している。
その中の1つが、仮想化ハイパーバイザーがOracle VM 3.0に対応したことだ。「Oracle VMが、Exalogic用にチューンされています。これによりアプリケーションはベアメタルでもいいし、バーチャルマシンでもオーバーヘッドはほとんどありません。さらにスムースに仮想化環境を利用できるようになり、アプリケーション集約の柔軟性も大きく向上しています。もちろん、管理もかなり楽になっています」とのこと。Oracle VMなら仮想環境でも、ミッションクリティカルな用途に十分に対応できるのだと清水氏は言う。
もう1つの進化が、EECSの主要コンポーネントの一つであるOracle Traffic Directorだ。これは、アプリケーションのトラフィック管理をソフトウェアで実現しているもので、レイヤー7のスイッチを別途用意することなくソフトウェアでExalogic上にマルチテナント環境を容易に構築できる。さらに、バーチャル・ファイヤーウォールの機能もTraffic Directorには追加されており、強固なセキュリティという面からもマルチテナントをサポートしている。