モバイル・インテグレーションの基盤
Oracle Mobile Suiteには、既存アプリケーションのモバイル展開を、低コスト/スピーディに実現するインテグレーション基盤も用意されている。エンタープライズ・サービス・バスの「Oracle Service Bus」がそれだ。
Oracle Service Busは、SOA技術によって、既存アプリケーションの機能の切り出し(サービス化)やモバイル展開を効率化する基盤だ。社内システムとモバイル・デバイス間での軽量プロトコル(JSON/REST)通信を確立。モバイル上で公開する社内データの絞り込みなども行えるようになっている。
「既存アプリケーションの中からモバイル上での活用に適した機能だけを切り出し、展開していくのは、モバイル・デバイスによる業務効率の向上に有効だ。問題は、それをいかに手早く、かつ、安価に実現することができるかにあるが、Mobile Suiteはその課題を抜本的に解決するソリューションと言える」と井上氏は言う。
実際にOracle Service Busでは、グローバルで6千を超えるユーザ企業での利用ノウハウを元に、既存資産利用のための優れた機能が提供されている。既存システムの機能利用のために、アプリケーションやデータベース、JMSといった主要なテクノロジ向けのアダプタが300種類ほど提供されている。さらにGUIツールを利用してデータ連携フローの作成やデータ項目のマッピングといった作業を低コストに開発できることで、モバイル固有の課題となる、データ公開範囲の限定や転送データ量を削減するための設計・開発を容易に実施できる機能を備えている。
加えて、社内システムにアクセスするモバイル端末が増え、データ流量が増大した際も、リソースをダイナミックに拡張し、社内システムの影響を与えずに一定のレスポンス性能を確保することが可能となっている。
「オラクルが目指しているのは、エンタープライズ・アプリケーションの優れた開発・実行基盤を提供することだ。そのため、Oracle Mobile Suiteについても、単純にモバイル・アプリケーションの生産性を高めるだけの環境としては作られていない。その開発コンセプトは、エンタープライズ・アプリケーションのモバイル展開のスピードや継続的なメンテナンシビリティをいかに向上させるかに置かれている」と、古手川氏は説明を加える。
利便性を高めてセキュリティを確保する
最後に、オラクルのモバイル・プラットフォームを成すセキュリティ・スイート、Oracle Mobile Security Suiteについて概説したい。
Oracle Mobile Security Suiteは、ID管理・アクセス制御を実現する「Oracle Identity Management」(Oracle IDM)の製品の1つで「利用者の利便性を高めながら、情報セキュリティを確保する」という、コンセプトを持ったモバイル・セキュリティ・ソリューションだ。BYODで利用する場合には、紛失リスクがあるため企業用に利用するデータの保護やアクセス制御が重要になるが、Oracle Mobile Security Suiteを活用して、プライベート用に使っているアプリケーションと企業用のアプリケーションのデータの領域を分離、保護し、プライベート用のアプリか らは参照出来なくする事で、よりセキュアなモバイル・アプリケーション環境(Mobile Application Management)を提供する。また、モバイルを活用するとクライアントのアクセス経路が複雑になりユーザ認証の高度化が必要となるが、Oracle IDMが提供するモバイル・アクセス認証/認可の仕組み「Oracle Access Management Mobile and Social」(OAMMS)によって、複数システムをまたがるシングルサイオン(SSO)を実現。また、「なりすます」などの不正アクセスから情報を保護するシステムとして、「Oracle Adaptive Access Manager」(OAAM)と呼ばれるツールも用意されている。
このうち、Oracle IDMについてもう少し詳しく言えば、OAMMSが、モバイル端末での「Webアプリケーション」、「ネイティブ・アプリケーション」、「ハイブリッド・アプリケーション」の認証を社内システムの認証情報と連携を行い、モバイル・デバイスから社内システムへのアクセスがストレスなく行えるSSOが実現される仕組みになっている。また、OAAMでは、多要素認証/リスクベース認証による本人確認の強化や、リアルタイムのアクセス挙動監視によるリスク分析などを実現。なりすましやフィッシング詐欺への防御策も講じられるようになっている。
なお、オラクルによれば、すでに同社のモバイル・プラットフォームは、各国企業/組織のB2B、B2C、さらにはB2Eなど、さまざまな用途・目的のモバイル・アプリケーション開発に用いられ、大きな実績を上げているという。例えば、Agilent Technology社では、Oracle ApplicationやSAPといった基幹系システムのモバイル化にオラクルのモバイルソリューションを用いて、社員の業務生産性の改善が図られている。また、ロサンゼルス市ではコンシューマ向けのモバイル・アプリケーションの基盤としてオラクルのモバイルソリューションが用いられ、電力や水道といった公共サービス利用の促進に役立てられている。





