「エンタープライズ・モバイル・サミット」レポート モバイル活用で企業が抱える課題と解決策とは

日本オラクルは2014年8月6日、企業のモバイル対応をテーマにしたイベント、「エンタープライズ・モバイル・サミット」を開催した。ビジネスのモバイル化に取り組む企業は年々増えているが、その前には開発負荷の増大やセキュリティ・リスクといった難題が山積している。限られた予算で実効性の高い施策を展開するために企業が取るべき道はどこにあるのか。イベントの内容からその方向を探る。

モバイル対応で開発負荷とセキュリティ・リスクが急増

オラクルコーポレーション ソフトウェア開発ツール&フレームワーク担当バイスプレジデントのビル・パタキ氏
オラクルコーポレーション ソフトウェア開発ツール&フレームワーク担当バイスプレジデントのビル・パタキ氏

 モバイル活用を前提とした、これからのIT基盤やアプリケーション開発はどうあるべきか。「エンタープライズ・モバイル・サミット」では、NTTドコモにおけるモバイル活用の実例をはじめ、8月5日に日本市場に投入したばかりの「Oracle Mobile Suite」と「Oracle Mobile Security Suite」が紹介された。Oracle Mobile Suiteは、Javaとオラクル独自のモバイル・アプリケーション開発フレームワーク「Oracle Mobile Application Framework」などで構成される、エンタープライズ・モバイル・アプリ開発・運用のための統合基盤。iOSやAndroidに対応するアプリを単一コードベースで開発することができる。また、Oracle Mobile Security Suiteは、モバイル・アプリケーションとデータを保護、管理するための製品だ。

 基調講演に登壇したオラクルコーポレーション ソフトウェア開発ツール&フレームワーク担当バイスプレジデントのビル・パタキ氏は、企業がモバイル対応で抱えている課題について次のように語る。

 「BYODの浸透により企業にはさまざまなデバイスが持ち込まれるようになってきたが、きちんとデバイスをコントロールできているところは少ない。モバイルOSの種類は増えており、開発とサポートのコストはますます増加している。同時に、ITマネジャーの多くはセキュリティ確保に不安に感じているというのが現状だ。また、企業がモバイル・アプリをシステムに統合にするには、APIを整備するなどバックエンド側の処理にも変更を加える必要がある」

 ゲームやエンターテインメントなどのコンシューマ向けのモバイル・アプリは、ユーザー獲得のために多くの時間と予算をつぎ込むが、企業のモバイル・アプリ開発ではそうはいかない。限られた予算の中で対応する必要がある。

 「Oracle Mobile SuiteとOracle Mobile Security Suiteは、企業のモバイル・ニーズに対応するソリューションだ。『開発の加速』『既存システムとの統合』『セキュリティの確保』といった課題をこの2つのソリューションで解決することができる」(パタキ氏)

モバイル・アプリ開発に必要なツールを1パッケージに

オラクルコーポレーション モバイル・アプリケーション開発製品担当 シニア・プリンシパル・プロダクトマネジャーのジョー・ファン氏
オラクルコーポレーション モバイル・アプリケーション開発製品担当 シニア・プリンシパル・プロダクトマネジャーのジョー・ファン氏

 Oracle Mobile SuiteとOracle Mobile Security Suiteの詳細は、オラクルコーポレーション モバイル・アプリケーション開発製品担当のジョー・ファン氏によるセッションで紹介された。

 まず、Oracle Mobile Suiteは、主に以下の2つの製品をパッケージ化したものだ。

  • Oracle Mobile Application Framework
  • Oracle Service Bus

 Oracle Mobile Application Framework(MAF)は、Javaのアプリケーション・フレームワークで、単一コードベースを基にiOSやAndroid対応のアプリを開発できる。JVMをアプリと一緒にパッケージ化して配布することで、マルチプラットフォーム対応を容易にすると同時に、OSのバージョン間の差異も吸収でき、テストの負荷も削減できるという仕組みだ。OSごとのデザインテンプレートが用意されており、コードを変えずにネイティブ・アプリに近い操作感が得られるようになっている。また、オフラインでも利用できるよう、バックエンドからのデータをキャッシュするためにSQLiteが組み込まれており、情報は暗号化されるようになっている。もちろん、カメラやGPSといったデバイス機能を利用することも可能だ。

 次に、Oracle Service Busだが、バックエンドのシステムに外部インタフェースを追加し、社内アプリケーション資産と連携することができる。最新版の12cではモバイル対応が強化されており、RESTインタフェースが拡張されて、JSONオブジェクトによるデータのやり取りに対応した。また、サーバーサイドでデータをキャッシュするために、インメモリ・データグリッドの「Oracle Coherence」が組み込まれている。

 このほか、Oracle Access Managerと統合することで、認証/認可/暗号化といったエンタープライズ分野で必須のセキュリティ機能も利用できる。

 「Oracle Mobile Suiteは、コンポーネント単位で利用できる、オープンなプラットフォームだ。Oracle Mobile Application Frameworkだけを使うこともできるし、既存のシステムにインタフェースが必要なら、Oracle Service Busだけを使うこともできる。後から別なコンポーネントが必要なら追加購入すればよい」(ファン氏)

エンタープライズ・レベルのセキュリティを提供

 もう1つのソリューション、Oracle Mobile Security Suiteは、デバイス上の企業データを保護するための製品で、主に以下の3つの機能を提供する。

  • セキュアなコンテナ
    アプリをコンテナに格納することで、アプリとデータを保護。データのコピーやスクリーンショット、印刷などをポリシーベースで制限可能。
  • セキュアな接続とコントロールマネジメント
    VPNを使わずに、アプリとバックエンド間の通信を暗号化。企業側のダッシュボードからアプリやデータの削除が可能。
  • ID管理
    社内の認証サーバーと連携して、認証/認可を一元化。不正アクセスの検知、監査の機能を提供。

 「Oracle Mobile Security Suiteのコンテナはラッピング・モデルを採用している。既存のアプリに変更を加えることなく、ラッピングすることでセキュリティを担保することが可能だ。また、企業内にEnterprise App Storeを設置して、ユーザーごとに利用可能なアプリ、機能を制御することもできる」(ファン氏)

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