「エンタープライズ・モバイル・サミット」レポート モバイル活用で企業が抱える課題と解決策とは

オフィスワーク改革を実現するクラウドサービス「dDREAMS」において、
モバイル・アプリ開発の効率化を検討

ドコモ・システムズ クラウド事業部 クラウド開発部 部長の井尻周作氏
ドコモ・システムズ クラウド事業部 クラウド開発部 部長の井尻周作氏

 今回のイベントでは、NTTドコモ・グループ5万人に10年以上にわたり活用されているクラウド型社内業務システム「dDREAMS」の次期バージョンにおいて、Oracle Mobile Application Frameworkの採用に向けた検証が行われていることも紹介された。

 dDREAMSは、クラウド上で勤怠管理から経費精算、電子決裁に至る業務フローをシングルインプットで完結。モバイルからもPCとほぼ同等のサービスが利用可能で、社員は万全のセキュリティのもと、時間と場所を選ばず、いつでも安全にオフィスと変わらない環境で仕事をすることができる。ドコモでは、dDREAMSによる業務プロセス最適化やモバイルの徹底活用を通じてワークスタイル変革を実現。本来、システムに任せるべき作業はシステムに任せ、社員がより生産的な仕事にシフトすることで、業務効率を飛躍的に高めることができた。

 ゲスト講演者として登壇したドコモ・システムズ クラウド事業部 クラウド開発部 部長の井尻周作氏から、このdDREAMSの社内活用事例について説明された。

 「グループウェアやERPなどを導入してIT化をしている企業は多いが、それらを結びつけて自動化しているところは少ない。スケジュール管理で出張予定を入力して、同じ出張の旅費申請を別システムでまた入力するといった光景がよく見られる。そうした二度手間を省いて社員の生産性を高めるために開発されたのがdDREAMSだ。dDREAMSは、スケジュール入力を起点として、各種申請、人事給与、勤怠管理などの諸手続きを自動化する仕組みになっている」(井尻氏)

 スケジュール入力時にプロジェクト・コードを設定することで、プロジェクトごとの原価計算も行える。電子決済機能では、物品購入の申請時に承認が下りると自動的にサプライヤーに発注することもできる。

 dDREAMSモバイル版の新バージョン開発の背景について、井尻氏は次のように説明する。

 「従来のモバイル版はAndroid対応のみだったが、ドコモがiPhoneの扱いを始めたことで、iPhone対応版も開発する必要が生じた。だが、OSごとにネイティブ・アプリを開発する方法では、開発コストやテストの手間が増大し、開発期間も伸びてしまう。そこで目を付けたのがOracle Mobile Application Frameworkだ。現在はソリューションも含めて検討を進めている段階だが、モバイル・アプリ開発の諸問題を解決してくれるものと期待している」

富士通 社会基盤システム事業本部 第一システム事業部 事業部基盤統括担当 シニアマネジャー 鈴木聡氏
富士通 社会基盤システム事業本部 第一システム事業部 事業部基盤統括担当 シニアマネジャー 鈴木聡氏
富士通 社会基盤システム事業本部 第一システム事業部 シニアマネジャーの斉藤康弘氏
富士通 社会基盤システム事業本部 第一システム事業部 シニアマネジャーの斉藤康弘氏

 さらに、Oracle Mobile Application Frameworkの検討については、開発を担当する富士通 社会基盤システム事業本部 第一システム事業部の鈴木聡氏と斉藤康弘氏から、より詳細な経緯が説明された。

 鈴木氏は、モバイル・エンタープライズ・アプリの開発を担当するSIerが抱える課題として、「複数のOS対応」「バックエンドシステムへの接続」「多様なデバイスへの対応」の3つを挙げたうえで、「これらの課題をクリアするには、開発プラットフォームの選定が重要な鍵を握る。選定にあたっては、標準化されていること、開発者を確保しやすいこと、コードの再利用性が高いことといった要件を重視した」と説明する。

 続けて登壇した斉藤氏によると、Oracle Mobile Application Frameworkの選定は、モバイル・アプリの実装方式として、Webアプリ、ネイティブ・アプリ、ハイブリッド・アプリの3方式を比較検討した結果だという。

 「マルチプラットフォーム対応が容易でソースの1本化が可能なことから、ハイブリッド方式が有力となったが、JavaScriptベースのフレームワークにはユーザーインタフェースの表現力が低い、業務ロジック実装に向かない、非コンパイル言語であることによるセキュリティへの不安といった課題も浮上した。そこで次に候補となったのが、JavaベースのOracle Mobile Application Frameworkだ。このフレームワークでは、Android、iOSそれぞれのガイドラインに沿ったネイティブ・アプリと遜色ないユーザーインタフェースが作成でき、複雑な業務ロジックもJavaで実装できる。Javaで実装すれば、秘匿情報がプレーンな状態でデバイスに載るという心配もない」(斉藤氏)

コンシューマとエンタープライズにおけるモバイル・アプリの相違点

 このほか、日本オラクル Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 マネジャーの井上憲氏より、エンタープライズ分野におけるモバイル活用のあり方についてのセッションも行われた。

 井上氏は、「エンタープライズではコンシューマにはない要件が発生するが、モバイル活用という点では、先行するコンシューマ・アプリから学べる点も多い」としたうえで、モバイル・アプリの開発では、リアルタイム性、プッシュ通知を意識する必要があるという。

 「業務用モバイル・アプリの目的としては、まず、どこででも働けるようにするという発想が1つある。そのためには、バックエンドとオンラインで繋げてリアルタイムに情報を提供する必要がある。また、行動を喚起することで生産性を高めるにはプッシュ通知が有効だ。プッシュ通知でアクションを起こすまでの時間を短縮することで、サービス品質を高めることもできる」(井上氏)

 一方、エンタープライズでコンシューマと異なる要件として井上氏は、オフライン利用への対応とセンサーの活用方法の違いを挙げる。

 「オフラインの状況でも仕事ができるようにするには、オフライン時に入力した情報をシステムに回収する仕組みが必要。また、センサーの有効活用としては、例えばフィールドサービスの作業完了時に写真をアップロードさせ、写真のEXIF情報から作業場所や作業完了日時の入力を自動化するといったことが考えられる」(井上氏)

 以上、本稿ではエンタープライズ・モバイル・サミットの模様をお伝えした。エンタープライズ分野でのモバイル活用は始まったばかりだが、Oracle Mobile SuiteやOracle Mobile Security Suiteといったソリューションが登場したことで、企業への浸透が加速することは間違いないだろう。

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