3,000名の登録者を超えるレッドハットのプライベートイベント「レッドハット・フォーラム 2015」(2015年11月4日開催)。午後の分科会では、「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」に関連する3つのセッションが実施され、いずれも満席の大盛況となった。本稿では、それぞれの概要を報告する。
AWSとレッドハットの密なる関係
『エンタープライズでの利用が急増しているRHEL on AWSの優位性』──そう題されたアマゾン ウェブ サービス ジャパン (以下、AWSジャパン) 竹部 智実氏(パートナー・アライアンス本部)のセッションは、"クラウドファースト"の時代を象徴するかのように開場後早々に満席となった。
演壇に立った竹部氏は、「クラウド(の活用)は今や(企業ITの)ニューノーマル(新常識)」と言い切り、それを裏づける好例として、「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」への基幹システムの移行を進める旭硝子の事例を挙げた。また、NTTドコモやソニー銀行など、IT基盤にシビアな可用性・セキュリティを求める企業もAWSを積極的に活用しているという。
こうした大手企業がAWSを採用しているのは、「ならではの強み」がAWSにあるからだ。竹部氏はその強みとして、「1. 経験の長さと実績」、「2. 豊富な機能とそれを生み出すイノベーションのスピード」、「3. 業界最大規模のエコシステム」の3つを取り上げて説明した。この3つ目のエコシステムを構成する一社がレッドハットであり、同社とAWSジャパンとの関係は長くて深い。セッション後半で竹部氏に代わって登壇したレッドハットの平 初氏(サービス事業統括本部 クラウドエバンジェリスト)は、AWSジャパンとの密接な関係について次のように説明する。
「AWSジャパンから見たレッドハットはAWS パートナーネットワーク(以下、APN)の『APNアドバンスドテクノロジーパートナー』で、レッドハットから見たAWSは認定クラウドプロバイダーの第1号。我々は長期にわたり緊密な協業関係にあるのです」
こうした関係の下、AWS上ではさまざまなレッドハット製品が提供されている。その中から、平氏は今回、話題のコンテナ「Docker」に向けた軽量OS「Red Hat Enterprise Linux Atomic Host」や、開発環境(PaaS環境)「OpenShift Enterprise」などを紹介、AWS上でのレッドハットOSSソリューションの充実ぶりをアピールした。