OpenStackの普及に弾みをつける
レッドハットの藤田氏によれば、ここにきてOpenStack、あるいはRH-OSPに対する日本企業に動きに急激な変化が見られているという。
「昨年(2015年)前半から、RH-OSPを試したいというお客様が徐々に増え始め、後半に入ると、小規模ながら実際に導入したいという引き合いが増えてきました。そして現在、そうした"アーリーアダプタ層"に続く企業が、RH-OSPの検証に動き始めています。その意味で、PoCセンターの開設は時宜をとらえた施策と言え、これをテコに日本でのRH-OSP普及に一層の弾みをつけたいと考えています」(藤田氏)。
IDCジャパンの調査でも、2015年の国内企業のOpenStack導入は本番環境での導入が7.0%と前年より3.5ポイント増加し、未導入企業でも導入に向けた具体的な動きが見られている。まさに現在は、OpenStackの国内普及が本格的に始まろうとする段階であり、レッドハットのPoCセンターがその普及を大きく後押しする可能性は高い。
また従来、日本企業のIT環境は欧米の2年~3年遅れで同様の変革が起こるとされ、とりわけインフラ周りについては能動的に変革を引き起こそうとする意識が低いとされてきた。だが、そうした傾向もすでに過去の話になりつつあると、藤田氏は言う。
「日本のユーザー企業の間でも、OSSを使って自らの手でシステムやインフラを改革しようとする動きが活発化しています。OpenStackやDevOpsに対する関心や採用気運の高まりを見ても、OSSを用いて自らの力でIT環境を変えようとするユーザー企業の強い意志を感じます」
こうしたなか、PoCセンターに関しては、OpenStackによるインフラ改革、あるいは運用の自動化のみならず、アプリケーションデプロイの自動化検証にも積極的に活用してほしいと、藤田氏は言う。
「例えば、構成管理ツールの"Ansible"を用いれば、OpenStackによる仮想インフラ構成からDockerによるアプリケーションデプロイまでを一括で自動化することが可能です(図3)。現状ではサーバノード数がさほど多くなく、こうした検証で想定されるユースケースに対してノード数が不足するといったケースが出てくるかもしれません。ですが、ノード数については今後さらに拡張していく計画です。PoCセンターを通じて、是非、さまざまなイノベーションに挑んでいただきたいと願っています」
図3:Ansibleを通じた自動運用の例~OpenStackによる仮想インフラ構成とDockerによるアプリケーションデプロイのフローを一括して自動化する例
