企業のビジネス分析と意思決定の統合 クラウド型アナリティクス「SAP BusinessObjects Cloud」が描き出す

 近未来風の経営者会議。エグゼクティブたちが、大型ディスプレイに映し出された多数の経営指標を取り囲んで、それをダイナミックに操作しながら、企業の行く末について意思決定していく。でも、これはSF映画の一場面ではない。すでに、SAP Digital Boardroomで実現可能になのだ。では、このような意思決定の光景を、どのように実現するのだろうか。

事業分析と意思決定の分断が、企業のスピードに影響を与える

 生産・流通・販売など多くのビジネス活動のデジタル化が進んでおり、日々刻々と膨大なデータが生み出されている。データウェアハウス(DWH)やビジネスインテリジェンス(BI)と呼ばれるデータ分析ソリューションの活用が進んできた。けれども、まだまだアナログ部分も残されている。そこで、現在の一般的な企業の意思決定の状況を思い浮かべてみよう。

 従来も、ExcelやBIツールを使って、事業部門の担当エグゼクティブがデータを探索することは不可能ではなかった。しかしその裏側で、システム部門がDWHやBI環境を構築したりしておく必要があった。会議の資料作りでも、数週間前から現場の実績データを収集し、時間をかけて膨大なデータを整理しなければならなかった。にもかかわらず、会議に提出されるのは、静的なファイルであったり、まだまだ紙であったりする場合も少なくない。それを経営会議の場でディスカッションして意思決定を行う。不明点が出てきたり、別の視点での分析を求められたりすれば、持って帰ってまた分析と資料作りをやり直すことになる。

 つまり、事業分析と意思決定は分断されたままになっているためのだ。

 また、事業部門や現地法人・中堅企業におけるビジネス分析と意思決定の環境は、決して潤沢ではない。本社と同様の分析環境を整えたくても、オンプレミスのサーバー運用の負荷が重くて、結局、エクセルとパワーポイントで作成した資料で、事業部門会議に臨むことになる。

 これでは、スピーディーな意思決定はおぼつかない。

SAP Digital Boardroom がインタラクティブな双方向のディスカッションを実現

 では、最新のテクノロジーを使って、アナリティクス環境を構築したら、どうなるだろうか。いつまでも、静的なパワーポイント資料や紙に頼る必要はない。期待できる効果の1つは、ビジネスデータを分析する事業担当のエグゼクティブが、システム部門に頼らず、自由にデータを探索できること。2番目は、意思決定の場で、その場でデータの詳細を掘り下げたり、パラメーターを変えて再計算したり、シミュレーションしたりできる、ダイナミックな資料を提供できることだ。


SAPジャパンの栃本 成尚氏
(ソリューション統括本部 シニアソリューションスペシャリスト)

 「このようなツールを使うと、資料や数字を見ながらの会議の形は、まったく変わっていくと思います」

 このように語るのは、SAPジャパンの栃本 成尚氏(ソリューション統括本部 シニアソリューションスペシャリスト)である。

 「これまでの一方的な報告と意思決定の会議ではなく、インタラクティブな双方向のディスカッションが実現できます。その結果、会議の準備時間を大幅に短縮すると共に、持ち帰り事項を減らすことができます。なにより、企業の意思決定が大幅にスピードアップできるでしょう」

ビジネスデータ活用の4つのステップ

 SAP Digital Boardroomを備えた、SAPの新たなSaaS型アナリティクスソリューション「SAP BusinessObjects Cloud」では、次のような4つステップに沿って意思決定が進んでいく。


※クリックすると拡大画像が見られます

 まず最初に、各種データソースへの接続である。SAP S/4HANAなどSAPのERP群から、CSV・Excelファイルまで多彩なデータソースに対応している。パートナーらが提供するクラウドサービスのデータも利用できる。また、SAP BusinessObjects Cloud自体がSaaSとして提供されていることから、利用できるデータソースも刻々と増加している。これにより、事業担当のエグゼクティブは、膨大なビジネスデータから必要なものを確実に利用できるだろう。

 続いて、分析モデルや計画モデルの構築である。これは、企業や事業によって異なるため、あらかじめ構築しておく必要がある。ただ、SaaSとして提供されているので、サーバーなどは準備しなくていいし、運用の手間も最小限に抑えることができる。

 それから、事業の担当エグゼクティブが、従来の会議資料の作成に当たるストーリー作成を行う。これは、各データのコンポーネントに対して、プロパティ設定をしていくだけで良い。どのような数値データに対して、どのような軸でどのようなチャートで見せるか、伝えたい物語そのものを画面上で組み合わせて見せていくのだ。

 また、データ分析についても、スプレッドシートライクな画面で直観的に多次元データを参照/分析できる。参照したいデータの行/列を指定するだけで、情報の参照や分析が可能になっており、勘定科目階層に沿ったドリルダウンや、直観的なフィルタリング操作により、ほしい情報をすぐに確認できるのだ。そのために、システム部門に頼らず、データ分析担当者自身が自由に探索し、ストーリーを構築できる。

 そのために、データ分析と資料作成自体の作業時間を大幅に効率アップすることができるだろう。

 そして、SAP Digital Boardroomでは、動的なレポートを使って、その場でデータセットを修正したり、計画・実績・予測をシミュレーションしたりできる。参加者からの発せられた質問や提案をその場で検証して比較することも可能になっている。操作自体も、大型ディスプレイ自体がタッチパネルになっており、直観的にデータセットを操作できる。

 その他に、一般的なグラフや表に加えて、地理情報サービスであるESRIとシームレスに連携し、地図を利用した表現も可能になっている。また、iPadなどのスマートデバイスを利用したり、オンライン参加者と画面を共有したりできる。

 これまでも、事業担当者が直観的に使えるデータ分析ソリューションが数多く登場してきた。また、ディスカッションと意思決定の場で、情報共有を促進する工夫も多数成されてきた。しかし、データの分析と意思決定の場が分断している限り、そのリードタイムが企業のスピード感に大きな影響を与えてしまうのではないだろうか。

 SAP Digital Boardroomを備えた、SAPの新たなSaaS型アナリティクスソリューション「SAP BusinessObjects Cloud」を利用すれば、分析と意思決定の分断を統合することが可能になる。そして、企業の意思決定の姿を、近未来のエグゼクティブ会議に近づけることができるだろう。

 SAPジャパンの東京本社内には、SAP Digital Boardroomに実際に触れて体感することができる「カスタマー・エクスペリエンス・センター(CxC)」を開設しているので、足を運んでみるのをお勧めする。(プレスリリース

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