【特別対談】BI / Analyticsか浸透し始めた今、 IT部門が構築すべき「データ活用」の基盤とは

 データを活用して新たな知見を見いだし、迅速に行動して、ビジネスを加速させなければ、市場では生き残れない――。データ活用の重要性が指摘されて久しい。現場からの要請で、セルフサービス型のBIツールを導入し始めている企業も少なくないだろう。しかし、旧来のBIツールも含めて、そのツールは、本当に企業全体の売上げに貢献し、お客様に価値を提供できるものなのか――。

 いま企業にとって本当に必要なセルフサービス型のBIとは何か。データ駆動型のビジネスを実現させるために、IT部門は何をすべきなのか。SAS Institute Japanの執行役員である北川裕康氏と、IDC Japanでリサーチ第2ユニット(ソフトウエア&セキュリティ/ITスペンディング)グループディレクターである眞鍋敬氏が語り合った。

――BI/分析ツールの市場動向についてお伺いします。日本のBI/分析ツール市場は、海外の同市場と比較し、どのような特徴があるのでしょうか。 (聞き手:ZDNet Japan編集長 怒賀 新也)


IDC Japan
眞鍋 敬 氏
リサーチ第2ユニット (ソフトウェア&セキュリティ/ITスペンディング) グループディレクター

眞鍋氏グローバルにおけるBI/分析ツール市場は、他のIT市場と比較して急成長を遂げています。しかし、グローバル市場の中で日本市場の占める割合は、2015年の売上額予測で3.7%と低い数字です。米国市場の占有率が47%台であることを考えれば、日本は出遅れているといえるでしょう。

 IDCでは「BAによる情報活用レベル」を調査しています。これは、BA(Business Analytics)活用の成熟度合いを定量的に測定し、5段階にレベル分けをしているものです。それを見ると日本企業は、レベル1とレベル2が大半で、70%にも上ります。レベル1は「Excelなどのスプレッドシートを利用したアドホックな分析とレポーティング」、レベル2は「部門レベルでのBIツールによるビジネス可視化」です。つまり、ほとんどの企業では、全社で利用できるようなBIツールを利用していないのが現状です。


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SAS Institute Japan
北川 裕康 氏
マーケティング本部 兼 ビジネス推進本部
執行役員 本部長

北川氏欧米企業にとって分析は、「業務に貢献するもの」であり、「ビジネスにとって不可欠」と重要視されています。例えば、先進的な海外企業は業務のレベルに応じ、何が必要なのかを理解したうえで、BIを含めて適切なアナリティクスを取り入れていますね。

――日本企業が遅れている理由は何でしょうか

北川氏日本では多くの企業において、担当者の経験が豊富なので、「予測は人間がするもの」という考えが強い。一方、欧米でも、もちろん意思決定は最終的には人間が行いますが、「予測などのベースラインをデータ分析で導きだす」という傾向があります。残念ながら、そうした考えを持つ日本企業の経営者は、まだまだ少数です。

 今後、日本は労働人口が減少し、グローバル化によって海外の工場も管理するようになります。限られた人材でグローバル化に対応し、今まで以上に複雑なビジネス環境で競っていかなければなりません。もはや、「従来培った経験と勘」では通用しないのです。ちなみに米国の大手金融機関は、データ分析に5000人の人材を投入しているそうです。

眞鍋氏IDCでは経営層を対象にした「CIOサミット」を開催していますが、最近の話題は、データ分析できる人材――データサイエンティスト――獲得の話が出ています。そうした状況においては、セルフサービス型のBIツールが必須となることは明白でしょう。

そのデータはガバナンスが効いているか

     
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