【特別対談】BI / Analyticsか浸透し始めた今、 IT部門が構築すべき「データ活用」の基盤とは
そのデータはガバナンスが効いているか
――近年、セルフサービス型のBIに対する需要が高まっています。その理由は何でしょうか。
北川氏旧来製品が、お客様のニーズに迅速に対応できなくなっていることが挙げられると思います。先ほど眞鍋さんが紹介された「BAによる情報活用レベルのガイドライン」で、今はレベル1/レベル2の作業をしている企業でも、“その先”を求めていらっしゃる。実際、多くの企業では、「全社レベルでのBIツールによる業績把握」(レベル3)といった分析機能を求めていらっしゃいます。また、IT部門主導からビジネス部門へBIの主導権が移ってきているのも理由です。
眞鍋氏そうですね。さらに分析に対する“裾野”が拡がったことも一因でしょう。IDCが行った調査で「データ分析を活用する主な目的」をたずねたところ、トップは「マーケティングの強化」だったのですが、「リスク管理」「業績評価」に使いたいという企業も増加しています。
セルフサービス型のBI、特にビジュアライゼーションを備えている製品は、ユーザーインターフェイス(UI)が簡単で、専門的な知識がなくても利用できます。事業部門だけでなく、極端に言えば各店舗でも使えるようになりました。こうしたツールが登場してきたことも背景にあると思います。
北川氏確かにビジュアルの美しさ、操作性などを訴求しているセルフサービス型のBIツールは多く見受けられるようになりました。しかし、セルフサービス型のBIツールを検討する際に留意していただきたいのは、「データ視覚化は、データから知見を得るための手段であり、データ分析の本質ではない」ということです。
セルフサービス型のBIツールには「分散型」と「中央集約型」があります。分散型は、エンドユーザーがデスクトップ型ツールをインストールするモデルで、データ視覚化の簡易性が特徴です。こうしたツールはポイントソリューションにはなりますが、ガバナンスの効いた大きなデータを扱うことができません。
エンタープライズのBIで必要なのは、データガバナンスが効いた環境でセルフサービス型を実現させるBIです。IT部門がデータガバナンスを保ちながら、エンドユーザーがセルフサービス型で自分のニーズに合わせてデータ分析できる、そしてコラボレーションを誘発可能なBIが求められるのです。
眞鍋氏事業部門ごとに異なるBIを使うと、異なるデータベースが乱立してしまいます。これではデータガバナンスが効かなくなるだけでなく、有効な分析を阻害する要因にもなります。
例えば、あるメーカーでは商品ごとに事業部が別れており、事業部ごとに異なるセルフサービス型のBIを導入していたんですね。その結果、種類が違う商品――例えば飲料メーカーだとお酒と清涼飲料水のような――のデータを相関分析ができないという事態に陥りました。
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部 掲載内容有効期限:2016年8月31日