なぜ営業部門へのIT導入は難しい、と言われるのか--ITツールを使って営業を強くする勘所 - (page 2)

小池晃臣 小松恭郎

2014-11-10 11:00

営業部門へのIT導入は難しい、といった声はよく聞かれる。その背景にある問題点や、企業が陥りがちな失敗とは何だろうか?「営業とIT」をテーマに、ITRの代表取締役/プリンシパルアナリストの内山悟志氏に聞いた。

営業プロセスの無駄を洗い出し、IT導入の目的を明確にすべし

 営業プロセスを効率化するためには、まずは現状の業務に潜んでいる無駄を見つけ出し、そこを改善していかねばならない。そのために有効なのが、ワークサンプリングによる問題点の洗い出しだ。その手順は次のようなものだ。まず代表的な営業マン数人を対象に一日の行動を記録してもらう。そして数週間分の記録を分析し、どこに時間の無駄が発生しているのかや、スムーズな業務の流れの妨げになっている役割権限など、現状の問題点を見つけ出す。続いてこれらの問題点を踏まえ、どうすれば営業が効率的に動けるのかへの筋密を立てて、その支援のために有効なツールを導入していくのである。

 「今はクラウドサービスなども充実してきたので、必要なツールはすべて市場に揃っています。目的さえしっかりしていれば、ITの導入はまず失敗しないはずなのです。なのに経営者も、目的を定めず安易に考えてしまいがちなのではないでしょうか。ただ、営業にタブレットを持たせれば効率上がるだろう、SFAに情報を蓄積すれば管理が行き届き正確な動きになるだろう、ではうまくいきません。営業マンがどう動いているか、それをどう改善したいのかを無視してツールだけを導入してしまったのでは、無理が生じるのも当然なのです」と内山氏は強調する。

 目的を明確化した上であれば、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスは極めて有効なツールの1つとなる。営業マンに時間的な余裕をつくり、その武器である機動力を最大限に発揮することに対し、モバイルデバイスは大いに役立つからだ。会社に戻らず外出先から社内システムにアクセスし、事務作業が行えるだけでも、営業マンにとって時間の無駄をかなり省けるはずだ。その際には、セキュリティを保ちつつ、社外から社内ネットワークへのアクセスを可能にするための制度の改正や仕組みづくりも求められる。

 「基本的には、電子メールやカレンダーなど、社内の情報共有の仕組みからモバイルで利用できるようにしていくことを推奨します」(内山氏)

ホワイトペーパー

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