ヴイエムウェアが提唱する「デジタルビジネスの勝者になるためのITインフラ」
デジタル時代にふさわしいITインフラ基盤をつくるには、何に気をつけるべきか。続く、ヴイエムウェアのセッション「デジタルビジネスの勝者になるためのITインフラ」では、その要件やポイントが解説された。
ヴイエムウェア
マーケティング本部
チーフストラテジスト
高橋洋介氏
登壇したのは、ヴイエムウェア マーケティング本部 チーフストラテジスト 高橋洋介氏。高橋氏はまず、デジタル時代に求められるITインフラ基盤の要件として、ネットとリアルを連携させたビジネスチャネルを展開できることや、トライ&エラーでサービスをすばやくリリースし改善できる仕組みを持つこと、ビジネスニーズに迅速に対応できることなどを挙げた。
そのうえで「データセンターのモダナイゼーション」「パブリッククラウドとの連携」「デジタルワークスペースの実現」「セキュリティの変革」のIT施策を優先的に実施することを提唱。それを実現していくためのIT基盤やサービスとして、VMwareの「Software-Defined Data Center」や「Cross-Cloud Architecuture」などを解説した。
なかでも、Amazon Web Servicesが展開するパブリッククラウド基盤で、VMwareのソリューションを提供する「VMware Cloud on AWS」は、実際のデモ画面を見せながら、メリットや効果を説明。そのうえで「ITインフラ基盤からアプリケーションまで、VMwareのさまざまなサービスでお客様のデジタルトランスフォーメーションを支えていきます」と訴えた。
ラベルプリンタ製造販売をIoTサービスへと発展させたサトー
特別講演には、サトーのサービス事業統括部 SOS推進グループ グループ長の北村久嗣氏が登壇。「『攻めの情シス』を既に実現--広がる需要のすばやい取り込みに成功したIoT導入の現場」と題し、サトーが新たに開発提供したIoTサービスの舞台裏を紹介した。
株式会社サトー
サービス事業統括部 SOS推進グループ
グループ長 北村久嗣氏
サトーは、1962年に値札などのラベルの印字と商品への貼り付けを行うハンドラベラーを世界で初めて開発した企業だ。1981年には熱転写式バーコードプリンタを世界で初めて開発し、日本での市場占有率は約4割に達する。ラベルに印字されるバーコードやRFIDの読み取りといった「自動認識技術」を使って、モノや人の動きをデータ化して収集し、情物一致を支援している。
「自動認識技術は、製造現場、百貨店、病院、物流・倉庫、スーパー、図書館などあらゆるところで活用されています。IoT時代に入り、画像や文字、音声、指紋、温度などといったセンシング情報と、NFC/RFIDやバーコード、マーカーなどの技術が組み合わさり、多様な形態が生まれています。自動認識技術を使って、情報のライフラインの"最後の1cmをつなぐ現場力"こそ当社の強みです」(北村氏)
リアルなモノと情報をつなぐには、モノを情報として正しく認識する必要がある。RFIDやバーコードなどの多彩なメディアを発行、貼り付けし、1つ1つに付番していく作業は、"ラストワンマイル"どころか、"最後の1cm"にも満たない世界であり、それを支えているのがサトーということだ。
成功のポイントは「顧客志向のイノベーション」
そんなサトーが顧客価値を高める新しいサービスとして提供しているのが「Sato Online Services(SOS)」だ。SOSは、「バーチャルカスタマーエンジニアを、お客さまのそばに」をモットーにした同社のラベルプリンタの遠隔サポートサービスだ。
ラベルプリンタは物流の1つの要であるため、ラベルが発行できないと出荷できないという事態に陥る。故障時にサービスマン到着が遅れたり、顧客側で操作に手間取ったりすることもある。それを遠隔からサポートし、現場の課題をその場で解決するとともに、稼働効率の可視化や、機器停止の未然防止などを提供するのがSOSだ。
システムとしては、Salesforceを基盤にして顧客サイトに置かれたプリンタの稼働状況をリアルタイムにリモート監視する仕組み。障害が発生した場合にはメールが通知され、すみやかに障害対応を実施する。リアルタイムにネットワーク接続する方式のほか、故障時にエラー表示されるQRコードをスマートフォンで読み取って遠隔サポートを受けるオンデマンド方式がある。
「全国の拠点に分散した機器の稼働状況を管理したり、故障が発生する前に部品を交換して安定稼働につなげたりといったケースで活用されています。海外では資産の把握や使用量の把握で役立ったという声を多くいただいています。現在は、SOS標準搭載のプリンタ販売の拡大と、グローバルヘルプデスクの立ち上げに向けて、グローバル体制強化に取り組んでいます」(北村氏)
北村氏はIoTサービス開発の成功のポイントとして「IoT開発を目的にするのではなく、顧客の課題解決から取り組んだこと」を挙げた。最後に「今後もゲームチェンジを起こすよう顧客志向のイノベーションに取り組んでいきたい」と話し、講演を締めくくった。