ビジネスに求められる意識されないITインフラ
現在のオフィスのネットワーク環境は、無線LANが中心となっている。ノートブックPCはもちろんのこと、スマートフォンやタブレットなど、さまざまな端末で日常的に利用されるようになった。
無線LANには、電波の届く範囲であればネットワークに接続できるという「メリット」があるが、その一方で検討が甘いと情報漏洩につながる「デメリット」も抱えかねない。そのため、認証や暗号化といった技術を用いてネットワークの安全性を高めることが必要不可欠となっている。
ネットワークの整備は、昨今の「働き方改革」においても最初に取り組むべきポイントだ。上述のようなスマートフォンやタブレットなどの新しいデバイスを積極的に活用し、モバイルPCや自宅の個人PCなどを利用して、どこからでも安全に業務を遂行できる環境が求められている。
このことは、無線LANを整備する目的や、その導入時に解決すべきセキュリティの課題ともおおむね一致する。どこからでも業務を遂行できる環境とは、すなわち悪意ある攻撃者の不正侵入を誘いやすい環境でもあるからだ。したがって、働き方改革のためのITインフラ整備という側面からもネットワークセキュリティを強化しなければならないのである。
また将来にまで目を向けると、今後に新しいデバイスや新しいワークスタイルが登場する可能性は高い。現況にのみこだわるのではなく、今後の「マルチデバイス」「マルチワークスタイル」に柔軟に対応していくことも、現代の企業ITインフラに求められるだろう。
それらを踏まえて、まず十分なセキュリティと利便性が求められる無線LANが、利用者によってはどのような存在であるべきか考えよう。何者にも囚われない働き方を実現するためには、いずれの場所やデバイスでも、安全かつ快適なアクセスが自然と提供される必要がある。つまり、電気・ガス・水道のような社会インフラと同じような、「意識されないIT」になることだ。
ここで言う「意識されないIT」とは、すなわち「トラブルのないIT」という意味である。いつまでも稼働し続け、利用時に安全面での不安を感じさせないことが企業ITに求められている。特にその稼働を支えるネットワークは、極めて安定かつ安全でなければならないのだ。
もちろん、働き方改革を支える安心と安全のネットワークは無線LANアクセスポイントなどのネットワーク機器のみで実現できるものではない。無線LANセキュリティの中核でもある“認証”やネットワークの安定稼働を支える“DHCP”“DNS”といった「ネットワーク・コアサービス」の全体的な見直し、すなわちネットワーク改革も合わせて検討すべきである。