今後飛躍的に普及が見込めるコンシューマエレクトロニクス製品分野においても、本LSIを採用したHD DVDプレーヤ、HD DVDレコーダを順次商品化して参ります。
◆主な特長
1.HD DVD記録再生回路、DVD/CD記録再生回路及びCPUをワンチップで構成。シンプルな回路系で3方式互換プレーヤ・レコーダを実現可能。
2.HD DVD専用デジタルリードチャネル(1)回路と自動調整回路を新規開発し、各種ディスクの高品質な信号再生を実現。
3.エラー訂正回路ブロックなどにおいてDVD/CD系回路とHD DVD系回路を共用化したアーキテクチャとし、コンパクトな回路構成で低消費電力化を実現。
・HD DVD処理に関する関連特許 国内17件、外国5件(出願中も含む)
1.開発の背景
三洋電機は、DVDプレーヤ・レコーダといったコンシューマエレクトロニクス製品、ならびにこれらのDVD機器を実現するためのキーコンポーネントである光ピックアップ、DVD用LSIの開発、商品化を行っています。
近年、地上デジタル放送の開始や、液晶・プラズマディスプレイ等の大画面フラットTVの普及とともにハイビジョン映像を2時間以上記録再生できる次世代DVDの登場が待望されるようになりました。この次世代DVDには、Blu-ray方式・HD DVD方式の2方式がありますが、三洋電機は現行DVDとの親和性が良く、ROMディスク製造コストが安価でROMコンテンツ普及に有利であるHD DVD方式に関してキーコンポーネントからセットまでのトータルな開発に取り組んできています。
当社はこの度、HD DVDプレーヤ・レコーダ開発のキーコンポーネントとなるドライブ用LSIを開発致しました。本LSIは、HD DVD記録再生LSIとDVD/CD記録再生LSI、CPUを1チップ化したHD DVD、DVD、CDの3種類の光ディスクに対応する3方式互換LSIです。1チップ化を実現したことにより、HD DVD/DVD/CD互換ドライブ装置の回路系をシンプルに構成できるため、省スペース・低消費電力化を実現するとともに、低コスト化にも大きく貢献致します。
2.新技術の特長
(1) 新規開発のHD DVD記録・再生回路と、DVD/CD用信号処理LSI、CPUの3チップを統合し、3方式に対応したデジタル信号処理回路を1チップで実現しました。 HD DVD方式のみならずDVD/CDへも対応でき、3方式互換ドライブを容易に実現できます。
(2) 新規に独自開発したHD DVDデジタルリードチャネル(1)により、良好な再生信号品質を実現しました。また、デジタルPLL(2)・PRML(3)などのデジタル信号処理により優れたプレーヤビリティーも発揮できます。
(3) 現行DVDとの信号処理の統合を進め、夫々の規格に最適な信号処理回路を共通の基盤回路により実現しました。この結果、回路規模を最小にしながらもHD DVD/DVD/CDに対して広く互換性を発揮できます。また、コストの低減、低消費電力などの点で大きなアドバンテージを発揮できます。
3.その他の特長
(1)著作権管理回路
各種DVDフォーマットで扱われる全ての著作権管理システムへ対応しています。またHD DVDで採用されるAACS(4)*へも対応する予定です。*一部搭載済み
(2)デジタルサーボ回路
光ディスクの回転などの制御を行うサーボ回路は、最適化された回路によって構成されたデジタルサーボ方式を採用しており、夫々のディスクに対して良好な回転制御を実現しています。
4.用途
次世代DVDシステムであるHD DVDプレーヤ・レコーダ用LSIとして最適であり、HD DVDのみならず、現行DVDやCDの記録・再生にも広く互換性を持っています。また、1チップ構成で回路を構成できることからデスクトップPC用ドライブ装置・ノートPC用薄型ドライブ装置などへの搭載も期待できます。
5.仕様
新開発した3方式互換ドライブLSIの概要
【パッケージ】216pin LQFP
【プロセス】0.18μm CMOS
【電源】アナログ:3.3Vデジタル:3.3V(内部:1.8V)
【機能】HD DVD:記録再生DVD:ROM再生、±R/RW記録再生、
RAM再生CD:ROM再生、R,RW記録再生
[語句の説明]
(1)デジタルリードチャネル
ディスクから読み出した信号からビット情報を抽出する回路ブロックで、サンプリングしたデータをデジタル信号処理で扱う回路系のことを指します。
(2)デジタルPLL
PLL(Phase Locked Loop)とは、光ディスクに記録されたビット情報を正しく再生するため、同期クロックを発生する回路のことを言い、アナログ式とデジタル式があります。従来のDVD・CDではアナログ方式のPLLが一般的に用いられていました。ハイビジョン映像を2時間以上収録できるディスクは記録信号がかなり小さくなり、再生波形は歪み、PLL性能に悪影響があります。今回、高性能なデジタル方式PLLを採用することで安定な再生を実現しています。
(3)PRML(Partial Response Maximum Likelihood)
PRMLは、波形干渉を受け歪んだ再生波形から、ディスク上のビット情報と同じ信号をデータとして復号するために使用されるデジタル信号処理技術です。PRという波形処理を行った後、MLにより最も確からしい再生波形を選択します。
(4)AACS(Advanced Access Content System)
HD DVDで採用が決定されている著作権管理システム。従来のDVDの著作権管理システムより強固な暗号を使用し安全性を高めると共に、不正に対する排除機能を併せ持っています。
以 上
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