OSDLとFSGが合併し、新「The Linux Foundation」として活動開始

Open Source Development Labs

2007-01-23 10:00

・世界のリーディングベンダ70社以上が参加 ・Linuxの普及促進/保護/標準化に、統合された組織として取り組む ・Linux開発者のLinus Torvalds氏を今後も継続して支援
サンフランシスコ発 2007年1月22日

Linuxの発展に取り組む主要なコンソーシアムであるオープン・ソース・デベロップメント・ラボ(Open Source Development Labs、以下 OSDL)とFree Standards Group (FSG)は、本日、両者の組織を統合し、新たに「The Linux Foundation」を設立することに合意したことを発表いたしました。新組織は、クローズドなプラットフォームに対抗すべく、必要とされるいろいろなサービスを効率よく提供することで、Linuxの成長をいっそう加速させます。

新しいThe Linux Foundationの創設プラチナメンバは、富士通、日立、HP、IBM、Intel、NEC、Novell、ならびにOracleで、FSGにおいてExecutive Director(エクゼクティブ・ディレクタ)を務めていたJim Zemlin(ジム・ゼムリン)がThe Linux Foundationのトップとなります。
この他、Red Hatを含むLinux業界のあらゆる主要企業、多数の開発コミュニティのグループ、大学、ならびにエンドユーザ企業がThe Linux Foundationのメンバとなっています。

Jim Zemlinは次のようにコメントしています。
「コンピュータの世界は、2つのプラットフォームが優位を占める時代に突入しています。それは、LinuxとWindowsです。Windowsでは、一社で何事も決められるために、一貫性の良さがあります。これに対してLinuxでは、選択の自由、カスタマイゼーション、フレキシビィティが保障され、ベンダーロックインの心配が無いのです。 The Linux Foundationは、幅広い企業ならびにLinuxエコシステムを支持する団体や支援者を組織することにより、Linuxの普及を促進し、保護し、標準化に取り組むことで、Linuxの次のステージへの成長を加速する働きを行います。」

The Linux Foundationは、Linux開発者であるLinus Torvaldsの支援を継続します。 また、Linux市場の拡大に資するために、オープンソース開発そのものと同じようなリソース共有戦略をとって、プラットフォーム開発に向けた協調を行います。

◆なぜ いま The Linux Foundationでしょうか
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OSDLとFSGがそれぞれ設立されてから6年以上が経ち、Linuxは、サーバ、デスクトップ、ならびに組み込み領域の用途において、世界中で目覚しい成長を遂げました。その上、オープンソースモデルは、ソフトウェア開発の手法を一変させ、ユーザの需要を迅速に反映し、高い品質、優れたセキュリティを提供し、短期間の開発サイクル、さらに低価格を実現しました。これまで、OSDLとFSGは、オープンソースの普及促進を支援し、Linux市場の分裂を防ぐ重要な役割を果たしてきました。

Linuxがオープンであり続け、いたるところで利用可能できるようになるためには、法的保護、標準化作業、プロモーション、協働体制などが提供されなければなりません。たとえば、成功しているプロプライエタリなソフトウェア企業は、後方互換性、プロモーション、相互運用性、開発者支援など、いくつかの重要な点をうまく行っています。Linuxのような自由意志による分散開発の世界で、こういった特性をさらに高めるためにはコンソーシアムモデルをうまく使うことが必要です。 The Linux Foundationは、オープンソースソフトウェア特有のオープン性、選択の自由、そして技術的な優位性を保ちながら、オープンソースとプロプライエタリなプラットフォームとの違いをなくすために設立されました。


◆The Linux Foundationの活動について
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The Linux Foundationは、Linuxを開発する訳ではありませんし、また、既存のLinux企業と競合することはありません。Linuxの成長を促進するために、以下の分野に注力します。

◇主要なLinux開発者を支援し、法的サービスを提供することでLinuxを保護する
Linux開発者であるLinus Torvaldsや他の主要なカーネル開発者が無所属であり続けることは極めて重要なことです。 The Linux Foundationが彼等を支援することにより、Linuxの機能向上にフルタイムで取り組むことができます。また、The Linux Foundationは、Linuxの商標(www.linuxmark.org)を管理し、「Open Source as Prior Art project」 (www.osapa.org)、「Patent Commons」 (www.patent-commons.org)のような取り組みや、「Linux Legal Defense Fund」のスポンサーとなることを通じて、開発者に知的財産権に関わる法的保護を提供します。

◇Linuxを標準化し、ソフトウェア開発のための安定したプラットフォームとして発展させる
プラットフォームの強さは、それをサポートするアプリケーションによって決まります。 The Linux Foundationは、アプリケーション開発者に標準化のサービスとサポートを提供し、これにより、Linuxは開発に取り組むのに魅力的なターゲットとなります。この活動には、「Linux Standard Base」や「Linux Developer Network」が含まれます。現在、すべての主要LinuxディストリビューションはLSBに準拠しています。

◇協働とプロモーションのための中立的な話し合いの場を提供する
The Linux Foundationは、Linuxの利点を拡大し、競合者の攻撃に厳然と対抗するための中立的な代弁者としての役割を果たします。また、The Linux Foundationは、デスクトップインタフェース、保守性、プリンティング、アプリケーションパッケージング、などLinuxエコシステムの技術的な課題を解決するために、Linuxの開発コミュニティ、アプリケーション開発者、産業界、ならびにエンドユーザ間の協調を主導します。


本統合には、両組織のメンバによる議決を要しますが、2月初めには完了するする見込みです。


[創設メンバ各社のコメント] …………………………………

◆富士通
富士通株式会社 サーバシステム事業本部 Linux開発統括部 統括部長 吉田正敏 氏は次のようにコメントしています。
「従来からOSDLとFSGは協調してLinuxを推進し、現在の成功を助けてきました。富士通はLinuxを企業システムに適用することを推進しており、かつOSDLやFSGのメンバでもありました。これからは、統合されたLinux Foundationと協調し、Linuxコミュニティと共にLinuxの標準化、Linuxの推進、Linuxの機能強化を通して、Linuxのエコシステム構築、育成を進めていきます。」

◆日立
株式会社日立製作所 ソフトウェア事業部プラットフォームソフトウェア本部  本部長藤崎一博 氏は次のようにコメントしています。
「Linux Foundationの設立により、OSDLとFSGの2組織が担ってきた役割が統合され、Linux/OSSで実現されるEco systemがさらに進化するものと期待しています。日立は、Linux/OSSの発展のために、Linux Foundationが推進する標準化活動を含むさまざまな活動に、積極的に協力していきます。」

◆HP
HPのオープンソースおよびリナックス部門副社長のChristine Martino(クリスティン・マルティーノ)は次のようにコメントしています。
「HPは、長期間OSDLとFSGの両方の会員であり、The Linux Foundationの設立のボードメンバーとしてLinuxとオープンソースの進歩をサポートし続けるのを誇りに思っています。」ベンダー、開発者、および、顧客の全てが、開発コミュニティの中で法的問題、技術的課題、マーケティングの問題に取り組むThe Linux Foundationの活動から利益を得るでしょう。」 

◆IBM
IBMのOpen Systems Development部門副社長のDaniel Frye(ダニエル・フライ)氏は次のようにコメントしています。
「Linuxとオープンソースの技術がIT市場で広汎に利用されるようになり、オープン化の動きは新しい時代に入っています。今日の合併はLinuxとオープンソースがいっそう成長していく上で画期的な出来事であることを意味しています。Linuxは世界的な市場でエマージングな技術から顧客革新のための止めようのない力に進化しました。」

◆Intel
インテルのシステムソフトウェアディビジョン副社長兼ゼネラルマネジャーのDoug Fisher(ダグ・フィッシャー)氏は次のようにコメントしています。
「The Linux Foundationの設立は、OSDLとFSGの極自然な進化の形であり、Linuxの成熟をあらわしています。それぞれの組織の専門性と経験を生かすことにより、Linuxの水準を更に高め、それによって利用者のニーズに応えていくことができます。」

◆NEC
日本電気株式会社 執行役員常務 丸山好一 氏は次のようにコメントしています。
「NEC は Linux Foundation が Linux ディストリビューション上でのソフトウェアのインターオペラビリティを確立し、企業のエンジニアとオープンソース開発コミュニティの架け橋となることの両面において、重要な役割を担うことを期待しています。当社は活動的な Linux コミュニティのメンバとして、Linux Foundationや関係各社との密な連携の下で、今後とも活動を継続してまいります。」

◆Novell
ノベルのサービスストラテジー部門副社長であり、また、FSGとOSDLのボードメンバーであるMarkus Rex(マーカス・レックス)氏は次のようにコメントしています。
「相互運用性と標準化はLinuxの成功には不可欠な要素です。The Linux Foundationがもたらす標準と認証、法的サービスや開発コミュニティに向けた活動、さらには、アドバイザリカウンセルなどは、利用者とオープンソースコミュニティに重要な意味を持ちます。ノベルが、FSGの設立メンバであったこと、また、OSDLにおける唯一の主要商用Linuxディストリビューターであったという事実は、LSBの採用と認証に早期に取り組んだこととも相俟って、ノベルのLinuxの標準化に向けたコミットメントを表していますし、また、このことのために、私どもの利用者が安心してlinuxを採用できるのです。」

◆Oracle
オラクルのリナックスエンジニアリング部門副社長のWim Coakaerts(ウイム・コーカーツ)氏は次のようにコメントしています。
「The Linux FoundationはLinuxのための発展のこの新しいステージにおいて、業界の参加者が協調して行う最も重要な仕事にうまく優先順位をつけました。私たちはLinuxとオープンソース・ソフトウエアのこの新しい日に参加することでThe Linux Foundationや他の仲間と仕事ができることに期待しています。」

◆Red Hat
レッドハットのエンジニアリング部門の取締役副社長のPaul Cormier(ポール・コミール)氏は次のようにコメントしています。
「私たちはThe Linux Foundationが産業とコミュニティーに高い価値をもたらすビジネスの基盤を提供することを期待しています。The Linux Foundationで一緒に活動することを楽しみにしています。」

用語解説

■The Linux Foundationについて
(リンク »)
The Linux Foundationは、Linuxの成長促進に取り組む非営利のコンソーシアムです。2007年、Open Source Development Labs(OSDL)と Free Standards Group(FSG)が合併して設立され、Linux開発者であるLinus Torvaldsの活動を支援し、Linuxならびにオープンソース関連の主要企業に支援されています。The Linux Foundationは、Linuxの普及促進、保護、ならびに標準化に取り組み、Linuxがクローズドなプラットフォームに対抗するのに必要とされる統合されたリソースとサービスを提供します。

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