本実証試験は、条件不利地域における有線ブロードバンドの代替手段、ユビキタスネットワークにおける基本的通信手段としての活用が見込まれるWiMAXなどの広帯域無線アクセス技術における利活用について検証するものであり、岐阜県可児市、岡山県赤磐市、長崎県長与町の3ヶ所で実施するものです。
実証試験の実施については、自治体関係者、大学、通信会社にて構成される調査検討会、作業部会からの指導を受けながら、平成19年11月より平成20年2月末までの4ヶ月間行う予定です。
岐阜県可児市における実証試験では、市内4ヶ所にWiMAX基地局を設置し、基地局間通信時の試験や、家庭設置を想定した端末機を用いての伝送確認、WiMAX補完として想定するメッシュ型WiFi無線機の動作検証や各種アプリケーションの試験などを行う予定です。(参照:実証試験概念図)
*実証試験概念図 説明
:WiMAXによる基地局間通信(オレンジ)を行うことで、光ファイバーが敷設
できないエリアにおいても無線LAN(雷印)ができるようになります。
今回の実証実験では無線LAN(WiFi)を通じて様々なユビキタスアプリケ
ーションの検証を行います。
実証実験における各社の役割は以下の通りです。
◎ビーム計画設計株式会社
ビーム計画設計は、デジタルデバイド是正とユビキタスネットワーク社会の実現を目指し、東海地区実証試験の主体として、全体の統括、窓口業務、申請業務を担当いたします。WiMAXを利用した実験は昨年度の飛騨市山之村に続く2年目であり、来年度から本格化する設計業務に対して公平・公正な設計でご協力いたします。
◎伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(略称:CTC)
CTCは総務省の唱えるu-Japan/e-Japan戦略の方針を実現するため、地域情報インフラの充実、公共・福祉サービスネットワークインフラの高度化、さらには緊急告知通報等の防災インフラの高度化に貢献することを目的に、広帯域無線ブロードバンドとして期待されているIEEE802.16e準拠システム(Alvarion社製)及びメッシュ型WiFi無線システム(Cisco社製)を用いた実証実験ネットワークの設計・構築および検証を担当します。CTCはこれまでにも大手通信事業社に提供してきた、無線網設計において重要となる、置局シミュレーション、干渉シミュレーションノウハウを本実証実験にも投入し、安定したネットワークの設計・運用に貢献しています。
◎Alvarion Japan株式会社
アルバリオンのIEEE 802.16e準拠システムBreezeMAXTMおよび4MotionTM(2.5GHz帯、TDD方式)は、本実証試験ではメッシュ型WiFiアクセスネットワークのバックホールおよびWiMAXアクセスとして使用されます。アルバリオンの4MotionTMは、ASN-GWと接続し、各種WiMAXアクセスに関する実証試験を実施する予定です。BreezeMAXTMおよび4MotionTMは将来、パーソナルブロードバンドサービスの提供を計画している通信事業者に理想的なソリューションです。
◎シスコシステムズ合同会社
シスコは、総務省によるユビキタスネット社会作りの方針を受け、各地域の地理条件に合わせて柔軟性のある広帯域無線アクセスネットワークの構築に取り組んでまいりました。今回の実証試験では、シスコは、グローバルで多くの実績のあるメッシュ型無線LANアクセスポイントCisco Aironet 1500 Mesh APによるユーザアクセスネットワーク及びWiMAX関連製品が採用されています。メッシュ型無線LANによる広帯域無線アクセスネットワーク上で、Cisco IPICS(IP Interoperability and Collaboration System)を用いた異なる業務無線チャンネル同士・無線機とIP電話との通話及び一斉同報や、Digital Signageによる緊急・災害情報告知、Cisco位置検出システムとWi-Fiタグを用いた子供見守りシステム、Cisco 3200シリーズ ワイヤレス/モバイル ルータを用いた緊急車両やバス等の移動体におけるシームレス通信といった、各種アプリケーションの連携を検証します。
◎株式会社ケーブルテレビ可児
ケーブルテレビ可児は岐阜県可児市・御嵩町の住民の情報生活向上を目的に、ワイドバンドDOCSISを利用した「120Mbpsサービス」、自主放送のOFDM化、緊急地震速報など最新技術の導入に積極的に取り組んでいます。本実証試験を通じWiMAXおよびメッシュ型WiFiの、ケーブルテレビ事業者としての利活用の検証を行い、今後の有線と無線を融合した事業展開の検討をすすめていきます。
◎株式会社トーエネック
代表取締役社長 野田泰弘、資本金7,680百万円 昭和19年度設立、中部電力㈱子会社、名古屋市中区栄に本社、電気設備工事、空調衛生設備工事、情報通信設備工事を行っています。中部電力エリアをはじめ、日本全国に事業所約100ヶ所、平成18年度売上高196,795百万円。情報通信設備工事分野では、ICTソリューション、FTTH・CATV工事、携帯電話基地局の建設工事を手がけています。本実験では、実験場基盤整備を担当
◎株式会社ビー・エイチ・エー
ビー・エイチ・エーはXVDコーデック(※)をはじめとする映像圧縮コーデックを用いたIP伝送ソリューション「CamCast®シリーズ」が本実証実験の一部に使用されるにあたり、機器の提供および技術サポートを行ってまいります。また、今回の実験が各地域に根ざした計画であることを意識し、安価で且つ現場での取り扱いが簡便なソリューションを提案することで本実証実験に具現性を持たせられるようご協力させていただきます。
※DVDクオリティ(MPEG-2:約5~7Mbps)と同等の画質を約1Mbpsで実現する独自のビデオ圧縮技術
◎シンクレイヤ株式会社
シンクレイヤはケーブルテレビシステム及び情報通信システム関連の機器開発をはじめ、当該分野におけるシステムインテグレータとして設計施工、保守及びコンサルタント業務を行っています。本実証実験では、システム機器の設計施工を担当してWiMAXシステムの技術取得につとめ、今後のICTソリューションに反映させていただきます。
◎日本ソフト開発株式会社
日本ソフト開発は、ケーブルテレビを利活用したネットワークシステムにより、地域情報の有効活用や、安心・安全サービス向上の支援等、地域貢献に取り組んでおります。今回の実証試験では、移動体(車)にGPS受信機とカメラを搭載し、その各種情報をWiMAXでケーブルテレビ局に送信し、ケーブルテレビ網を利用して移動体の位置情報(地図)やカメラ映像をリアルタイムにテレビ放送できる可能性を検証します。
◎レシップ株式会社(LECIP)
レシップは、バス・鉄道用電装機器で培った情報処理技術のノウハウを生かし、本実証実験では、WiMAXを通じて、コミュニティバスの車両情報(車号、行き先、現在運行位置等)をセンター局へ、また地上側の情報をバス車内へ表示提供といった情報伝達における運用面での検証を行って参ります。
■本件に関するお問い合わせ先 参加企業10社(五十音順)
Alvarion Japan株式会社
マーケティング部 岡澤
03-5419-8324
noriko.okazawa@alvarion.com
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 (CTC)
コーポレートコミュニケーション部 渡邊
03-6203-4100
press@ctc-g.co.jp
株式会社ケーブルテレビ可児
技術グループ 兼氏・山下
0574-63-7211
info@ma.ctk.ne.jp
株式会社トーエネック
情報通信本部 森下
052-659-1153
kiyoshi-morishita@toenec.co.jp
株式会社ビー・エイチ・エー
営業部 濱野・松岡
03-3257-1172
xvd_tv@bha.co.jp
シスコシステムズ合同会社
プレスルーム 前田・岡本
03-6434-6500
press-jp@cisco.com
シンクレイヤ株式会社
システム統括部 青山・岩井
0574-63-4752
ビーム計画設計株式会社
地域情報課 システムグループ 奥堀・福森
0584-83-7700
fukumori@beam-keikaku.co.jp
日本ソフト開発株式会社
第3営業本部 ITメディア事業部 竹内・三原
0749-52-5331
sofit@nihonsoft.co.jp
レシップ株式会社
産業機器営業部 二見
058-323-6183
tfutami@mb.lecip.co.jp
以上
このプレスリリースの付帯情報
用語解説
■広帯域無線アクセスシステム(Broadband Wireless Access System)
無線を利用した高速インターネットアクセス手段の一つであり、市販の無線LAN(802.11b,g)と比較し、車などの高速移動体に対応、サービスエリアが広範囲という特徴をもつ。我が国では周波数の利用状況から、2.5GHz帯域での利用が想定され、現在国内全域における移動通信を対象とした特定基地局の開設認定申請受付が行われている。今後は、地方で発生しているデジタルデバイド対策を目的とした固定利用にかんする免許受付が開始される予定。
■WiMAX:Worldwide Interoperability for Microwave Access ワイマックス
米国電子電気学会で制定された、中域エリアを対象とする無線アクセス装置の名称。規格名称はIEEE802.16eであり、各メーカーや通信事業者等によって構成される業界団体WiMAX Forumにより規格準拠の確認や相互通信を行っている。
同機器は、使用する周波数帯域や出力によって変わるものの最大50km前後の伝送距離、最大70Mbps程度の伝送速度があるといわれている。イタリアや韓国では既に民間事業者による商用が始まっています。
■メッシュ型無線LAN
従前の無線アクセスポイント同士を有線ではなく無線で接続することにより、より簡易にサービスエリアを広げることのできる手法。
従前の無線LAN設備では、上位設備から有線によりアクセスポイントまで敷設、アクセスポイントから端末までを無線利用していた。メッシュ型無線LANはそのアクセスポイントからの上位までの接続をも無線に置き換えたものであり、このため、アクセスポイントを自由に設置できるほか、場所の移動も容易に可能となる。
各アクセスポイント同士は、自立的に最適ルートを経由して上位に接続するため、特定の経路のみにトラフィックが集中したり、特定のアクセスポイントの故障により全ネットワークが停止することはない。
米国を初め各地で実用化がはじまり、多くのメーカーから機器が提供されている。今後は中継とアクセスの方式や周波数変更を行うことでより高速、安定なネットワークの開発が期待されている。
本実験ではWiMAXをメッシュ状に配置し、中継回線としての利用を検討するための基礎的検証である。
お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。