携帯を「持ち込ませない」では子どものネット問題は解決しないとする保護者が8割

~携帯フィルタリング機能の改善を評価する一方、その他機能制限サービスの一層の充実にも期待~

ネットスター株式会社

2009-04-17 11:00

 URLフィルタリング製品技術・サービスの開発・提供およびURLリストの収集・分類・配信を行うネットスター株式会社(本社:東京都渋谷区 代表取締役社長:小河原 昇、以下「ネットスター」)は、このほど同社が実施した第九回「家庭でのインターネット利用実態調査」の結果をお知らせいたします。
 同調査は、家庭でのネット利用の実態を把握するために、保護者や子ども自身を対象に、同社が2004年から継続的に実施しているものです。今回は、小学生から高校生の子どもを持つ保護者、合計約2,000名を対象として、3月下旬にウェブアンケート方式で行ないました。調査結果の主なポイントとしては、以下の三点が挙げられます。

(1)携帯を学校に「持ち込ませない」だけでは子どものインターネット問題は解決しないと考える保護者が8割
地方自治体などが進める「学校に携帯を持ち込ませない」施策について、6割以上の保護者が賛成と回答しました。しかし、「この施策で子どものネット諸問題が解決するか」との問いには、8割以上が「そうは思わない」と回答しています。その理由としては、「携帯電話以外、学校外」でのネット利用の存在や、ネット利用教育の重要性が挙がり、多くの保護者が、より抜本的な解決につながる具体策を求めていることが分かります。

(2)フィルタリングも含め、子どもの発達に応じた「段階的な機能制限緩和」サービスの充実を望む保護者が多い
本年1月に始まった携帯電話事業者によるフィルタリングサービス機能の改善(カスタマイズ設定等)は、7割の保護者が「望ましい」とする一方で、今後はフィルタリングによる閲覧先の制限以外にも、「ダウンロードの制限」(68.9%)や「買い物の制限」(60.6%)、「月当たり総利用時間の制限」(47.1%)など、子どもの成長に応じた段階的な利用緩和を実現する為の、よりきめ細かな支援機能の提供が期待されていることが分かりました。

(3)保護者の9割が「ネット利用教育は保護者自ら行なうべき」とするが、具体的な指針や手引きも必要と
ネット利用リスク教育を実施すべき主体を、保護者であるとする回答が9割を超え、学校に期待する(63%)とする回答を大きく上回りました。また小学生の子どもを持つ保護者では、半数近くが、「子どもの成長に応じて適切なネット利用をさせるための段階分けや判断目安等についての指針やガイドブック」を必要としていると回答しています。

 子どもたちのネット利用のトラブルを恐れるあまりに、ただ「持たせない」とする対策では、ネット利用リスク教育や、段階的な利用解禁支援についての議論が進まず、トラブル解決にもつながらないことが懸念されます。今回の調査では、保護者の多くも「持たせない」「持たせる」の二択では不十分と考えており、「段階的なネット利用解禁」のあるべき姿について、さまざまな調査研究や提言などの情報提供が望まれていることが明らかになりました。
 
ネットスターは、今後も様々な場所からのインターネットアクセスについて、誰もが安全・安心に利用できる環境を実現することで社会に貢献すべく、技術・商品開発だけでなく基礎的な調査研究にも取り組んでいきます。

■調査の背景
現在、子どもたちを取り巻くインターネット環境では、参加型サイトに関連した犯罪の発生など、さまざまなトラブルの発生が問題となっています。今回の調査は、小学生から高校生の子どもを持つ保護者を対象にネット利用実態と現状の課題を把握し、今後の対策に役立てることを目的としています。

■調査方法について
本調査は、ネットスターが株式会社マクロミルに委託して、2009年3月27日および28日に実施したものです。調査方法はウェブアンケート方式です。小学生から高校生(高専生)の子どもを持つ保護者を対象としています。学年構成比は小学生1年~3年、4年~6年、中学生、高校生の男女(子どもの性別)それぞれ12.5%。保護者の年齢構成比は20代 0.9%、30代 33.8%、40代 58.0%、50代 7.0%。60代以上 0.3%。有効回答数は2064件でした。

■主な調査項目についての結果とコメント

▼インターネットは日常生活に必要なものとして浸透、利用開始も低年齢化が進む
-子どもに「(パソコンや携帯電話で)インターネットを利用させる理由」は「調べ物」が64.7%で最多。父親では「将来困らないように能力をつけさせたい」との回答が、母親では調べ物や学校で使うなど「日常生活で利用するから」が目立つ。
-子どもがインターネット利用を始めた(始めさせた)時期については、パソコンでは「小学校高学年から」が31.5%、携帯では「中学生から」が20.1%でそれぞれ最多。
-ところがパソコンでのネット利用開始時期を現在の学齢別に分けてみると、小学校低学年では「小学校入学前」、小学校高学年、中学生では「小学校高学年」、高校生では「中学生」との回答が目立ち、この10年で浸透した一般家庭へのブロードバンド接続が影響してか、インターネット利用開始時期の低年齢化が進んでいることがわかる。
-一方、携帯電話でのインターネット利用については、小学校低学年で8割以上、高学年では7割以上が「まだ利用させていない」と回答。中学生では割合がぐっと下がり、高校生で携帯インターネットを利用しない子どもは約4%だった。
-まだインターネット利用させていない子どもを持つ保護者に、「いつから利用開始させたいか」を聞いた質問では、パソコンでは「小学校高学年・中学生から」、携帯では「高校生から」だった。

▼子ども専用のネット利用機器としては携帯電話所持率が高く、パソコンは低い
-既に子ども専用としている機器では、携帯電話の方がパソコンよりも全体で20ポイントほど高い。今後「持たせたい」時期についても、保護者はパソコンではなく携帯電話が先と考えている。高校生の専用パソコン所持率は40.4%だが、携帯電話は95.6%と大きな差があった。
-自分専用の機器を子どもに持たせるきっかけは、パソコンは「年齢的に大丈夫だと思った」41.6%、携帯は「緊急時の連絡用」43.6%がそれぞれ最多となった。

▼「子どもが一人でインターネット利用は不安」だが、「段階的な利用解禁」派は少数
-回答者の75%が「子どもが一人で自由にインターネットを利用するのは不安」。学齢が上がるほど、不安を感じる回答者は減る。
-インターネットを利用する際の家庭のルールとして、パソコンでは「買い物はしない」(46.2%)、「困ったことがあったらすぐ相談する」(46%)、「個人情報は書き込まない」(45.8%)などを定めている。携帯電話については、「困ったことがあったらすぐに相談する」(32.3%)、「人に迷惑をかけない」(31.9%)、「個人情報は書き込まない」(30.6%)と続く。全体的に母親が利用ルールを策定する比率が高く、学齢が上がると共にルールを策定しない割合も上がっていく。
-インターネットの段階的利用(解禁)の手順として、パソコンでは「初めは保護者が見ているところでのみ、その後子どもだけで利用」(61.3.%)、携帯電話では、「初めは通話のみでメールやサイト閲覧は認めない」(28.6%)がそれぞれ最多。パソコンについては家庭内の共有で利用し始めることが多く、目が届きやすいと考えるためか、むしろ段階的な解禁の必要性は携帯電話でのネット利用について強く意識されている。

▼子どものインターネット利用能力の判断基準はさまざま
-保護者が「インターネット利用に関する子どもの能力」の判断基準としているのは「個人情報の書込みの危険性を理解している」(65.1%)、「危険なサイトの存在を認知し、回避できる」(62.8%)が多い。母親は「危機管理」や「使いすぎ」を、父親は「操作能力」を重視する傾向。普段からブログやSNSなどに「閲覧・書込み」をしている保護者では、 「ネット上で知り合った人と会うことの危険性を理解している」や「オンラインでのコミュニケーションスルキル」を判断基準として用いる傾向が強い。

▼9割以上が「子どもにインターネット利用について教えるのは保護者が適切」と回答
-回答者の92.3%が「自分たち保護者自身が子どもにインターネット利用を教えるべき」と回答。また子どもの学齢が挙がるほど、「携帯電話事業者」や「サイト運営者」に教育を期待する比率が上がる。

▼子どもの学齢が低い保護者ほど、段階的ネット利用解禁の指針や手引きを求める声は多い
-段階的利用の目安となる指針や手引きについては、全体では「利用すると思う」が41.7%だった。小学生の保護者では半数近くになるなど、学齢が低いほど期待度が高い傾向。

▼子どものパソコンや携帯でフィルタリングを利用するきっかけは「報道」や「店頭からの薦め」、利用しない理由は、「不適切なサイトにはアクセスしないから必要ない」
-子どものパソコン、携帯電話でフィルタリングを利用していると回答したのは約2割。きっかけについては、「報道などで必要と感じた」、「店頭で勧められた」とする回答が、パソコンと比べ携帯電話の方で高かった。日常的にブログやSNSを利用(閲覧・書込み)する保護者ほど、「自由に使わせるのは怖い」や「自身の経験から」が目立つ。
-フィルタリングを利用しない理由としては、パソコン、携帯電話共に「不適切なサイトにはアクセスしない」が最多。現在、無料で利用可能な携帯フィルタリングについても、「お金がかかるから利用しない」とする回答が10.2%あった。

▼約半数が「携帯フィルタリングのカスタマイズサービス」を知らなかったが、支持は高い。
-一部の携帯電話事業者が提供している、携帯フィルタリングのカスタマイズサービスを「知らない」とする回答が51.4%。同サービスについては父親の方が認知度は高い。
-「携帯フィルタリングが改善され、カスタマイズ機能などが搭載されることについて」は、70.9%が「望ましい」と回答した。学齢別にみると、子どもの学齢が低い保護者ほど支持率が高い。

▼フィルタリング以外の段階的利用の支援機能充実への期待は高い
-フィルタリング以外の携帯電話の利用制限関連サービスについては、「知らなかった」が76%。
-利用したい携帯電話向けサービスとして、現時点では提供されていないものも含めて選択肢を用意したところ、「ダウンロードの制限」(68.9%)、「料金の制限」(65.2%)、「月あたりの総利用時間制限」(47.1%)などへの期待が多い。全般に、母親の方が料金制限以外の項目についての期待が目立つ。コミュニティサイトを利用する頻度の高い保護者では、「ログの閲覧」(51.9%)への期待が高かった。

▼自治体などの子どもの携帯電話所持に関する取り組みは評価するものの、「持ち込ませない」ではネット問題は根本的には解決しないと思っている保護者が多い
-携帯所持に関する自治体の取り組みとして目立つ「学校には持ち込ませない」について、62.3%の保護者が「授業中など学校では不要」などの理由から賛成と回答した。また子どもの学齢が低いほどこの施策への支持率は高い。
-しかし、子どものインターネット利用に関するトラブルについて、80.9%が「学校へ持ち込ませないという施策ではトラブルは解決しない」と回答。その理由としては、「インターネット利用は携帯電話だけではないから」(57.6%)、「学校外でのインターネット理容が問題だから」(57%)が多かった。
-母親では「携帯電話以外、学校以外のインターネット利用が問題だから」の回答が目立つが、父親は「使わせながら正しく教育すべき」の回答が多い。

■ネットスター株式会社について
ネットスターは、URLフィルタリングエンジン技術・サービスの開発とURLリストの収集・分類・配信を行なう専門企業です。同社のURLフィルタリングエンジンおよびURLリストは、法人市場では国内最大の4割を超えるシェアを獲得しています。また、家庭向けフィルタリングサービスでも多くのお客様に利用されています。その収集・分類工程の品質と配信工程の信頼性が認められ、業界のデファクトスタンダードとして、国内全ての携帯電話事業者およびPHS事業者のフィルタリング(閲覧制限)サービスにURLリストを提供しています。 (リンク »)

■商標等
NetSTAR、ネットスターはネットスター株式会社の商標または登録商標です。その他記載の商品名、社名は一般に各社の商標または登録商標です。

本件についての報道関係お問い合わせ先 
ネットスター株式会社 コーポレートコミュニケーション部
担当:吉井、高橋  電話:03-5795-4937  電子メール:pr@netstar-inc.com
本プレスリリースは発表元企業よりご投稿いただいた情報を掲載しております。
お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。

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