株式会社メディネット
自己腫瘍組織を用いた樹状細胞ワクチン療法とスニチニブとの併用療法に関する臨床試験結果について「Journal for Immuno Therapy of Cancer」で発表
株式会社メディネットは、平成21年7月1日付(1)で開示しておりますとおり、東京大学医学部附属病院(以下、「東大病院」)と共同で、腎細胞がんを対象に、樹状細胞ワクチン療法と分子標的薬スニチニブを併用した臨床試験を進めておりました。この度、本臨床試験の結果がまとめられ、その研究成果が米国がん免疫学会(Society for Immunotherapy of Cancer)の学会誌「Journal for Immuno Therapy of Cancer」(2014年8月19日電子版 “A pilot study of autologous tumor lysate-loaded dendritic cell vaccination combined with sunitinib for metastatic renal cell carcinoma”)に掲載されましたので、お知らせします。
本臨床試験(研究責任医師:東大病院 泌尿器科・男性科 本間之夫教授)は、腎細胞がんを対象に、手術で採取した患者様自身の腫瘍組織を調製したもの(ライセート)を樹状細胞に導入する樹状細胞ワクチン療法と分子標的薬スニチニブを併用し、その治療法の安全性と有効性を評価することを目的として実施されました。本臨床試験では、当社独自の樹状細胞加工技術(米国MaxCyte社と共同開発したセル・ローディング・システムと、ゾレドロン酸によって樹状細胞を感作させることで治療効果を向上させる技術を組み合わせる)が用いられています。
その結果、登録した8名(男性5名、女性3名、55-75歳)において、樹状細胞ワクチン療法に起因した重篤な有害事象はなく安全に実施可能であり、CR(Complete Response:腫瘍が完全に消失した状態)を1例、PR(Partial Response:腫瘍の大きさの和が30%以上減少した状態)を1例、SD(Stable Disease:PRとするには腫瘍の縮小が不十分ではあるが、腫瘍の大きさの増大もしていない状態)を3例に認めました。
分子標的薬は、がん細胞の増殖や生存に関わる分子シグナルの伝達経路を阻害することを目的とした治療ですが、本臨床試験結果における重要点としては、そのような分子標的薬が、体内の免疫機構に変化を与えることが確認できたことです。スニチニブを使用することで骨髄由来抑制細胞(MDSC)や制御性T細胞(Treg)といった免疫抑制に関与する細胞を減少させることができました。こうした分子標的薬による免疫抑制状態の解除は、腫瘍組織を用いた樹状細胞ワクチンの免疫応答を高め、治療効果をより引き出すことが可能であることが示唆されます。
今後、東大病院と共同で、本臨床試験の研究成果をさらに発展させ、新たな治療技術の確立に向けた研究開発を一層推進してまいります。
以上
(1) 2009年7月1日リリース (リンク »)
「メディネット、東大病院と腎がんに対する共同臨床研究を開始」
お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。