■2014年度末の公衆無線LAN利用者は前年度比33%増の2,278万人
公衆無線LANサービスの2014年度末(2015年3月末)利用者数は2,278万人、そのうち個人利用者は1,987万人、ビジネス利用者は291万人であった。2015年度末には22%増の2,779万人に拡大する見通しで、個人利用者だけでも2,448万人に達する勢いだ。
今後も利用者数は毎年400~500万人程度のペースで伸び続け、2016年度には3,000万人を突破、2018年度には4,000万人を超えると予想する。
■ スマートフォンユーザーの過半数(56%)が公衆無線LANサービスを利用
ICT総研が2015年3月に実施したアンケート調査では、4,412人のアンケート回答者のうち、公衆無線LANサービスを利用していると回答したのは全体の36.1%にあたる1,592人であった。このうちスマートフォン利用者に限れば、スマートフォンユーザー2,159人のうち56.1%にあたる1,212人が公衆無線LANサービスを利用していると回答した。スマートフォンの利用者は年々増え続けており、既に契約数ベースで6,000万件を超えている。スマートフォン利用者の多くが契約時に携帯電話事業者の公衆無線LANサービスに加入するため、公衆無線LANサービスの契約者数は今後も増え続ける見通しだ。ただし、公衆無線LANサービス契約に加入しても、屋外でのWiFi利用設定をOFFにしてしまうユーザーも多いため、公衆無線LANサービス契約数と実際の利用者数(アクティブユーザー)には乖離が見られる。
■キャリア系事業者ではNTTコムが顧客満足度1位、施設系事業者ではスターバックスがトップ
携帯電話事業者はLTEなどの高速無線ブロードバンドサービスインフラを拡充しているが、電波が混み合う時間帯には通信速度が低下するため、人が集まるエリアでは公衆無線LANを利用することを推奨し、無線LAN基地局の増設を進めてきた。固定系通信事業者も、主に宅内で利用するブロードバンドサービスを屋外でも利用できるようにするため、公衆無線LANサービスの拡充に注力している。
また、カフェやコンビニ、交通機関などを運営する企業も、自社施設内でのブロードバンドサービスの利便性を高めるため公衆無線LAN基地局を設置することが一般的になっている。
キャリア系事業者の公衆無線LANサービスでは、OCNホットスポット(NTTコミュニケーションズ)の利用者満足度が59.5ポイントで1位、次いでフレッツスポット(NTT東西)が2位、ソフトバンクWi-Fiスポットが3位となった。
施設運営事業者の公衆無線LANサービスでは、at_STARBUCKS_Wi2の利用者満足度が65.8ポイントで1位、2位はHANEDA-FREE-WiFi(羽田空港)が62.9ポイントで2位となっている。
■無線LAN対応のモバイル情報端末は2017年度に5,159万台へ
Wi-Fi通信機能が標準装備されたモバイル情報端末は、伸び率が鈍化しているものの台数ベースでは増加し続けている。2012年度に出荷台数4,455万台だった無線LAN対応モバイル情報端末は、2014年度に4,693万台となった。今後もスマートフォンやタブレット端末の増加とともにWi-Fi対応端末は増え続け、2017年度の年間出荷台数は5,159万台に達する見通しだ。自宅や職場など屋内での無線LAN利用環境が整備されてきたこともあり、これらの規格に対応したモバイル情報端末は今後も増え続けるだろう。
近年、日本を訪れる外国人旅行者は激増しており、訪日外国人の公衆無線LANニーズも拡大している。さらに2020年の東京オリンピック開催に向けてより多くの外国人が来日することが見込まれるため、外国人観光客が利用しやすい公衆無線LANサービスのインフラ構築が進み、その相乗効果で国内の利用者数も拡大しそうだ。
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用語解説
*公衆無線LANサービス利用者数: Wi-Fi規格の通信機能を利用した商用通信サービスの利用者数。月に1回以上の利用があるアクティブユーザーで、ユニークユーザー数(個人数)としてカウントしている。公衆無線LANサービスを利用できる環境にあっても屋外でWi-Fi機能を全く利用していない場合は利用者としてカウントしない。
*無線LAN対応モバイル情報端末: 主に屋外や携帯用途で利用される持ち運び可能なWi-Fi通信機能付きの情報端末。モバイルPCは画面サイズ13.3インチ以下のものを対象とする。
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