2016年11月 SIMフリースマートフォン端末の品質調査

株式会社ICT総研

2016-11-04 14:00

株式会社 ICT総研(東京都千代田区)は11月4日、SIMフリースマートフォンの端末品質調査の結果をまとめた。MVNO事業者による格安SIMの契約数が右肩上がりで増加しており、それに伴って格安SIMを挿すためのSIMフリースマートフォン端末のラインナップも充実してきている。この調査では、主なSIMフリースマートフォン端末の品質を調査して、実使用にあたっての機種ごとの特徴を明確にすることを目的とした。
 電池性能やネット接続の快適さ、CPU性能など、11項目を実測調査し、その性能を比較した。調査対象としたスマートフォン端末は、21種類。LTE通信する際には、ワイモバイルのSIMを利用した。調査期間は2016年10月15日から11月1日まで。


■ 最も長時間使用できるスマホは、ZenFone Max。最大輝度で電池消費時間は752分。

 調査の結果、各端末の画面を最大輝度にして常時点灯状態を維持し、電池残量が100%から0%になるまでの時間を実測した「電池消費時間」は、ZenFone Maxが752分でトップとなった。この試験は、最大輝度である点、画面を消灯する時間がない点で、実際の利用シーンよりもかなり過酷な試験であるが、それでもZenFone Maxは752分(約12時間半)も点灯し続けており、驚異的と言える。次点はZenFone2 Laserであり、680分。ZenFone Selfieが645分でこれに続いた。
 逆に、電池残量が0%から100%になるまでの充電所要時間を実測した「充電時間」では、ZenFone Zoomが95分でトップ。電池残量が0の状態から、満充電まで1時間半強というのは、実際に使用するにあたってかなり助かるだろう。Moto G4 Plusが119分で次点となった。
 バッテリー容量が大きければもちろん電池消費時間は長くなるが、充電時間も長くなるのが一般的であり、実際に電池消費時間でトップであったZenFone Maxも、充電時間は323分と非常に長い。そんな中で、ZTE BLADE V7 MAXは、電池消費時間が546分と長いにもかかわらず、充電時間も125分と短く、長時間使用と充電時間の短さを両立できた端末と言える。


■ Webや動画接続が最も快適なスマホは、HUAWEI P9。Web待機4.0秒、動画待機1.8秒。

 次に、Web接続や動画接続の快適さを見てみると、Web接続待機時間が最も短い端末は、HUAWEI P9とZenFone 3 Deluxe 5.5がトップで並び、ともにヤフージャパンへの接続に4.0秒を要した。HUAWI P9 liteが4.9秒、ZenFone 2が5.5秒で続いた。 
 また、動画接続待機時間が最も短い端末は、ZenFone Selfieであり、YouTubeの動画が開始されるまでに1.6秒かかった。HUAWEI P9が1.8秒で続く。Webと動画の接続を総合的に見ると、最も快適な端末は、HUAWEI P9であると言えそうだ。


■ LTE通信速度が速いスマホは、ZenFone Selfie、ZenFone Zoomなど。昼夜の差も少ない。

 次に、ワイモバイルSIMを利用して同じ場所、同じ時間帯で、LTEの通信速度を実測比較した。SIMが同じため、端末ごとの速度差はほとんど見られないとも想定されたが、意外にも差は見られた。
 特に良好な結果を記録したのは、ZenFone Selfie (日中 下り 56.97Mbps、夜間 43.32Mbps)、ZenFone Zoom (日中 下り 54.34Mbps、夜間 44.80Mbps)、ZenFone 2 (日中 下り 52.07Mbps、夜間 44.13Mbps)。この3端末は、昼夜の差も大きくはなく、上りの通信速度も同様に好結果であった。


■ 端末の処理性能のスコアが最も良いスマホは、HUAWEI P9。ZenFone 3がこれに続く。

 続いて、端末の処理性能について、ベンチマークソフトを使って実測比較した。まず、ブラウザ表示速度をベンチマークする「Sunspider」では、HUAWEI P9が681.5msでトップとなり、ZenFone Zoomが759.5msで次点、ZenFone 3が856.6msでこれに続いた。この数値は、小さい方が速い表示速度であるとされる。
CPU等の総合処理性能ベンチマークアプリ「Antutu」でも、トップはHUAWEI P9であり、スコアは88839。ZenFone 3が62718でこれに続いた。これは、数値が大きいほど性能が高いとされる。
 同様のCPU等総合処理性能ベンチマークアプリ「Quadrant Standard Edition」では、トップは入れ替わったが、ZenFone 3がスコア38888、HUAWEI P9がスコア35488でトップ争いする形となった。こちらも数値が大きくなるほど性能が高い。
 上記を総合的に判断すると、端末の処理性能(CPU等)のスコアが最も良い端末は、HUAWEI P9であり、ZenFone 3が次点であるとみなすことができそうだ。

 ちなみに、今回調査した11項目の実測結果を10段階評価に換算してみると、総合評価でトップだったのは、HUAWEI P9とZenFone 3 Deluxe 5.5であり、ともに合計112ポイント。ZenFone 3が105ポイントでこれに続いた。

 参考として、表3に各端末のカタログスペック値を掲載した。連続待受時間は公表されているが、「電池消費時間」や「充電時間」など、より実利用面で実感のわきやすい指標はカタログ掲載されていない。もちろん、LTE通信速度や処理性能スコアなども、カタログには掲載されていないため、今回の調査結果を参考にしていただきたい。
 MVNO事業者による格安SIMの普及が進み、それによってSIMフリースマートフォンの市場も拡大を続ける中で、ICT総研では今後も、ユーザーにとって指標となる実測データを定期的に提供していく方針である。

このプレスリリースの付帯情報

表1.SIMフリースマホ端末品質実測調査結果

用語解説

* 本資料における全ての文章、数値、表、データは、調査実施時点のものである。
* 通信速度は、同じ地点であっても、測定日時や天気、測定端末の向き・高さ、ネットワークの混雑状況などにより、変動するものである。
* ベンチマークアプリは、同じ端末であっても測定日時や端末のコンディションなどにより、変動することがある。
* 本資料に記載された文章、グラフ等を報道、各種ホワイトペーパー、セミナー資料、学術研究資料等に転載する場合は、「ICT総研調べ」、「出典:ICT総研」などの表記を加えて下さい。

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