Bluetooth low energy対応のシングルチップSoC(システム・オン・チップ)「nRF52840」は、NordicのnRF52シリーズSoCのハイエンド製品ラインナップの水準を、性能向上と機能拡充で引き上げます。nRF52840は、近く発表されるBluetooth 5の新たな特長である、通信距離とスループットの向上に加えて、IEEE 802.15.4の無線サポート、フラッシュメモリおよびRAMの可用性向上、送信出力とリンク・バジェットを高めた新しい無線ハードウェア・アーキテクチャといった特長を備えています。
2016年12月6日 、ノルウェー・オスロ発 - 超低消費電力無線ソリューションのリーディング・プロバイダーであるNordic Semiconductor(OSE:NOD、以下Nordic)は本日、Bluetooth low energy対応シングルチップ・アプリケーションの性能限界を根本から覆す機能や特長を備えた、Bluetooth 5対応SoC「nRF52840」を発表しました。nRF52840はスマートホームをはじめ、決済用や医療用のウェアラブル端末などの先進的なウェアラブル・アプリケーション、それに産業用センサーやその他のIoT(モノのインターネット)機器にとりわけ適しています。
nRF52840は、Bluetooth SIG(Special Interest Group)によって近く公式に採用されるBluetooth無線技術の最新コア仕様であるBluetooth 5をサポートするように設計されています。Bluetooth 5では、通信距離やスループットなどの改良が加えられ、これによりBluetooth無線技術はスマートホームやウェアラブル端末、IoTアプリケーションとの適合性が大幅に向上します。この仕様に準拠することにより、nRF52840は、従来のBluetooth 4.2を実装したBluetooth low energy製品と比較して、最大で4倍の通信距離、あるいは2倍のRAWデータ帯域幅(2Mbps)をBluetooth low energy無線接続において実現できます。
Bluetooth 5のサポートに加えて、nRF52840 SoCはIEEE 802.15.4にも対応しています。802.15.4無線技術は、ZigBeeやThread(さらなる上位レイヤは規格で定義されていません)といったスマートホーム技術の基礎を成すものです。また、IEEE 802.15.4は、ネットワーク適応層(NAL:Network Adaptation Layer)として6LoWPANや標準的なインターネット・プロトコルとともに採用することもできます。802.15.4のサポートによってnRF52840 SoCは、複数のワイヤレス技術を使用するIoTやスマートホーム、あるいは産業用センサー無線ネットワークに用いられる相互運用可能な基盤技術としての実力が大幅に拡大しました。
nRF52840は、Nordicの既存のnRF52シリーズSoCの成熟したアーキテクチャに基礎を置いたSoCであり、従来はシングルチップ・ソリューションでは不可能だった、複雑なBluetooth low energyその他の低出力無線用途をサポートすべく設計されました。nRF52840は、NordicのnRF52832に採用されている、実績ある64MHzの32ビットARM(R) CortexTM M4Fプロセッサを、潤沢な汎用処理能力と浮動小数点演算およびDSP性能を備えたCPUとともに採用し、どんなに要求の厳しい無線アプリケーションのニーズにも対応できます。
Nordicの従来品SoC「nRF52832」と比較した場合、nRF52840のハードウェアの改良点としては、PA内蔵の新しい無線アーキテクチャによって出力が大幅に向上し、「住宅全体」を対象とする用途のリンク・バジェットが拡大した点が挙げられます。加えて、フラッシュメモリが2倍の1MBに、RAMが4倍の256kBに拡大されたほか、Bluetooth 5や802.15.4、ANT、および独自仕様による2.4GHzワイヤレス技術、フルスピードUSB 2.0コントローラ、さらにQuad SPIインターフェイスなど各種の最新ペリフェラル(多くはEasyDMAを搭載)をサポートしました。また、nRF52840は充電式バッテリーなど、5Vを超える電源でも動作可能です。
さらに、IoTが直面する内在的なセキュリティ上の課題に対応すべく設計されたnRF52840 SoCは、Cortex-MベースのSoCにクラス最高のセキュリティを提供する、ARM(R)の暗号化アクセラレータCryptoCell-310を搭載しています。また、豊富なクリプト・サイファーや鍵生成およびストレージ・オプションも利用できます。
nRF52840 SoCの投入とともに、NordicのRFプロトコル・ソフトウェア「スタック」ファミリーに最新製品として加わるS140 SoftDeviceもリリースされます。S140 SoftDeviceは、Bluetooth 5の通信距離とデータスループットの向上をサポートする、Bluetooth 5準拠のソフトウェア・スタックです。
Nordicのプロダクト・マネジメント担当ディレクター、Thomas Bonnerudは、次のように述べています。
「nRF52840はnRF52シリーズの成功を土台としていますが、このSoCをご利用いただくことで、ワイヤレス製品の開発者の皆様は、いっそう意欲的なシングルチップのスマートホームやウェアラブル端末、IoTアプリケーションの開発に乗り出すことができます。これらのアプリケーション分野の範囲は急拡大しており、ウェアラブル端末は決済端末や識別装置などにも広がっています。Bluetooth 5の新しい特長である通信距離の向上によってBluetoothはスマートホーム・デバイス通信向けとして本格的な競争力を獲得することになり、nRF52840は開発者の期待に応え、それを超えるべく設計されています。また、今日のネットワーク接続型製品においてセキュリティは事後対策的であってはなりません。もし侵害が起きてしまえば甚大な被害が生じかねないからです。」
「ARM CryptoCellの内蔵によって、Nordicは開発者の皆様に、安全な製品を開発するための、まさにクラス最高レベルのハードウェアおよびソフトウェアの選択肢をご提供します。こうした方針を具現化した最新の製品が、ハードウェアの増強、Bluetooth 5の通信距離および帯域幅の向上、802.15.4のサポートを特長とするnRF52840 SoCなのです。」
Nordicでは、12月初めのBluetooth 5規格の公式採用とともに、Bluetooth 5の長到達距離・高スループットの通信モードに対応したS140 SoftDeviceおよび関連のnRF5 SDKをリリースする予定です。
エンジニアリング・サンプルと開発キットは12月6日からNordicのグローバル販売ネットワークを通じてご注文いただけます。nRF52840は2017年第4四半期より量産供給開始の予定です。
ARM CryptoCellについて(英語サイト)
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Nordic Semiconductorについて
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