ランセット委員会:認知症の3分の1は予防可能

アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Association)

From: 共同通信PRワイヤー

2017-07-20 13:13

ランセット委員会:認知症の3分の1は予防可能

AsiaNet 69337 (1075)

【ロンドン2017年7月20日PR Newswire=共同通信JBN】
*ランセットが認知症の予防、介入、ケアに関する国際委員会リポートをリリース
*米国立老化研究所(NIA)アルツハイマー病の健康格差に関する研究助成金を分担

ランセット認知症予防、介入、ケアに関する国際委員会(Lancet International Commission on Dementia Prevention, Intervention and Care)は20日、ロンドンの2017年アルツハイマー病協会国際会議(Alzheimer's Association International Conference)(AAIC 2017)に提出したリポートで、グローバルな認知症症例の3分の1以上が、個人のリスクに影響を与える生活習慣要因に対処することで予防できる可能性があると報告した。これらの潜在的に修正可能なリスク要因は、老後だけでなく、人生の多岐にわたる段階で確認されている。

ランセット委員会のリポートはAAIC 2017に提出されると同時に、ランセット誌にも掲載された。

AAIC 2017ではまた、米国立老化研究所(NIA)がアルツハイマー病の健康格差を調査するための最初の研究助成金を発表した。

アルツハイマー病協会(Alzheimer's Association)の最高科学責任者(CSO)であるマリア・カリージョ博士は「本日の調査結果は極めて有望である。個々のレベルでは、多くの人々が、簡単で健康的な行動変化を通じて、認知低下リスク、おそらくは認知症を軽減する可能性を持っている。公衆衛生の水準では、このエビデンスに基づく介入は、世界中のアルツハイマー病および他の認知症の人的および経済的コストを管理する上で極めて大きな影響を与える可能性がある」と語った。

アルツハイマー病協会は、最新の研究に基づいて認知症リスクを軽減するための実践的な指導を含む、「10 Ways to Love Your Brain」(あなたの脳を愛する10の方法)( (リンク ») )を提供している。

▽ランセット認知症予防、介入、ケアに関する国際委員会
ランセット委員会は、24人の国際的専門家を集め、認知症の危険因子、治療とケアの知識と理解、認知症を予防し管理するために何をすべきかについての新たな知識によりもたらされた大きな進展を一本化する。委員会は新しいレビューとメタ分析を実施し、それに基づいて、難聴や社会的孤立性を含めて、現在のリスクモデルを拡張した。潜在的に修正可能なリスク要因をライフスパンから取り込み、リスクの新しいライフコースモデルを提案し、予防の機会を強調した。

委員会の重要な勧告は以下の通り:
*予防についてはより積極的であるべきだ。確立されたリスク要因の治療は、認知症の3分の1を遅らせるか、または予防する可能性がある。
*認知症状を治療する。認知を最大限にするために、アルツハイマー型認知症またはレビー小体型認知症の患者は、すべての段階でコリンエステラーゼ阻害剤または重度の認知症治療薬のメマンチンを投与されるべきである。
*認知症ケアを個別化する。良好な認知症ケアは、医療的、社会的、支援的ケアに及んでいる。ユニークな個人や文化のニーズ、嗜好、優先順位に合わせて調整する必要がある。
*家族介護者のケア。家族介護者はうつ病のリスクが高い。リスクを軽減し、症状を治療するために、効果的な介入を利用できるようにすべきである。
*未来を計画する。認知症患者やその家族は、将来に関する議論や今後の重要な決定を重視している。
*神経精神症状を管理する。興奮、落ち込んだ気分または精神病を含む認知症の神経精神症状の管理は、通常、心理的、社会的および環境的であり、薬物治療はより重度の症状のために留保される。
*人生の終わりを考慮する。高齢者の3分の1が認知症で亡くなる。従って終末期ケアで働く専門家は、患者が自分のケアについて意思決定やニーズや希望の表明ができない程度の認知症があるかどうかを検討することが不可欠である。

▽予防に焦点
ランセット委員会は認知症リスクの新規な寿命ベースのモデルを発表、認知を最大化し、関連症状の苦しみを軽減し、危機を軽減し、生活の質を改善する介入を示した。チームは、集団レベルでの認知症の全発生率に対する各リスク因子の寄与を推定した。現在までのエビデンスによれば、認知症の全症例の約35%が、潜在的に修正可能な9つの危険因子に起因することが示されている。リスク要因の多くは、特定のライフステージで発生するが、喫煙や高血圧などの一部の要因は、すべてのライフステージで違いを生む可能性がある。9つの修正可能なリスク要因は以下の通り:
*若年期-最高15歳までの教育
*中年期-高血圧; 肥満; 難聴
*老年期-うつ病; 糖尿病; 物理的な不活動; 喫煙; 社会的接触が少ない

より一般的なリスク要因は、人口リスクでの高い割合を占める。例えば、著者らは、すべての認知症症例の8%が初期の貧しい学校教育に関連する可能性があると推定している。 5%が喫煙に関連する可能性がある。教育、高血圧、糖尿病、喫煙を認知症に結びつけるメカニズムは比較的よく理解されているが、難聴の潜在的な危険因子としての認識はまだまだ新しいものであり、研究の初期段階である。

委員会の報告書は、研究者がアルツハイマー病および他の認知症の世界的なコスト負担を大幅に軽減することを期待しているとされた対象を絞った公衆衛生戦略に関する勧告を提示した。例えば:
*著者らは、認知症発生率を減らすために、認知症のない中高年層の高血圧を積極的に治療することを強く推奨する。
*他の推奨される介入には、より多くの幼児教育、定期的な運動、社会的関与の維持、禁煙、難聴、うつ病、糖尿病、および肥満の管理が含まれる。

著者らは、データ不足のために、食事要因、アルコール使用、視覚障害、大気汚染、睡眠はリポートには含まれてないと述べた。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの教授でありランセット委員会の筆頭著者のギル・リビングストン医学博士は「公衆衛生の介入は、潜在的に修正可能なすべての認知症を予防ないし治癒しないが、心血管リスク因子、精神衛生および聴力の介入は、多くの人々の発症を何年も遅らせる可能性がある。この一部でさえもが実現すれば、大きな改善であり、認知症発症が何年も遅れていることが既にいくつかの人口集団で見られる。認知症の発症が5年遅れた場合、認知症の有病率は半減する可能性がある」と述べた。

委員会によると、7つの主要な健康・生活習慣ファクターが10%減ることにより、世界中の認知症患者数が100万人超減少する可能性がある。認知症発症を1年遅らせる介入は、2050年に世界で認知症に罹患している人口を900万人減少させる可能性がある。

委員会リポートの共同著者で南カリフォルニア大学のロン・シュナイダー医学博士は「全体的に予防の十分な潜在的可能性があり、認知症を発症して高品質なケアにアクセスしやすくするには、医療サービスが行き届いていない人口を重視することだ。効果的な認知症予防とケアは、社会の未来を変え、認知症とその家族の生と死を大幅に改善する可能性がある。われわれがすでに知っていることに基づく行動により、このような状況改善が起こる可能性がある」と語った。

▽アルツハイマー病の健康格差研究の進展-米国立老化研究所の研究助成金
アルツハイマー病協会の2017年アルツハイマー病年次報告書(Alzheimer's Disease Facts and Figures)( (リンク ») )によると、アフリカ系米国人のアルツハイマー病や他の認知症の患者は白人老齢層の約2倍、ヒスパニックは白人老齢層の約1.5倍である。しかし、これらの人口集団に対するアルツハイマー病および認知症の研究は不十分である。

NIAは、研究集団を多様化し、アルツハイマー病および他の認知症に関する健康格差研究を実施するための方法およびツールを改善する明確な必要性を確認した。多様なコホート項目を使用してアルツハイマー病の格差を調べる研究を促進するため、2つの資金提供機会が創出された。NIAは、AAIC 2017において、助成金受領者とそのプロジェクトを発表し、これらの資金によって生み出されると予想される新しい情報の重要性を強調する。

NIAのSpecial Populations部長のカール・V・ヒル博士&公衆衛生学修士(MPH)は「多様なレベルの因子を組み込んだフレームワークを用いた老化研究は、多様な人種を抱える人口を対象に実施される必要がある。コホートが多様な場合、環境、社会文化的、行動的および生物学的要因を結びつける新しい経路を特定することができる。研究助成金にはこうした希望が込められている」と語った。

研究助成金に関する発表によると、健康格差人口には以下が含まれている:黒人/アフリカ系米国人、ヒスパニック/ラテン系、アメリカンインディアン/アラスカ原住民、アジア系米国人、原住ハワイ人およびその他の太平洋諸島系、社会経済的に不利な人口、農村人口。追加的集団としては、身体障害人口、性的少数派が含まれる。

▽アルツハイマー病協会国際会議(AAIC)について
アルツハイマー病協会国際会議(AAIC)は、アルツハイマー病や他の認知症に特化した世界中の研究者が集まる世界最大の会議である。アルツハイマー協会の研究プロジェクトの一環として、AAICは認知症についての新たな知識の創出、生命に関する共同コミュニティーを育成するための触媒の役割を果たしている。
AAIC 2017ホームページ:www.alz.org/aaic/
AAIC 2017ニュースルーム:www.alz.org/aaic/pressroom.asp

▽アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Association)について
アルツハイマー病協会は、アルツハイマー病のケア、支援、研究において世界をリードするボランティア健康組織である。同協会の使命は研究を前進させアルツハイマー病を撲滅し、すべての患者へのケアと支援を提供、強化し、脳の健康の推進を通じて認知症のリスクを軽減することである。同協会のビジョンはアルツハイマー病のない世界である。詳しい情報は (リンク ») 、または電話+1 800-272-3900へ。

*ギル・リビングストン氏(Gill Livingston)、MBChB(外科学士)、博士;ロン・S・シュナイダー氏(Lon S. Schneider)、医学博士、MS(理学修士)。The Lancet International Commission on Dementia Prevention and Care. (Funder(s): University College London, Alzheimer's Society UK, Economic and Social Research Council, Alzheimer's Research UK)  -- www.thelancet.com/commissions/dementia-2017

*カール・V・ヒル氏(Carl V. Hill)、博士、MPH(公衆衛生学修士)および、レイチェル・ウィットマー氏(Rachel Whitmer、博士、National Institute on Aging (NIA)のAdvancing Health Disparities Research主宰 (Funder: U.S. National Institute on Aging)

ソース:Alzheimer's Association

▽問い合わせ先
Alzheimer's Association International Conf. Press Office
+44 (0) 20-7069-6000
media@alz.org

Niles Frantz
Alzheimer's Association
+ 1 312-335-5777
nfrantz@alz.org

Emily Head,
Press Officer, The Lancet
+44 (0) 207 424 4249
emily.head@lancet.com

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