AsiaNet 70676
バルセロナ(スペイン)、2017年10月31日/PRニュースワイヤー/ --
アスピリンの長期服用が消化器がんの発生率を大幅に低下させることが、本日第25回欧州消化器病週間(UEG Week)で発表された新たな研究で明らかになりました[1]。
60万人以上を対象とした研究において、研究者は長期(最短6か月、平均アスピリン処方期間は7.7年)にわたってアスピリンを処方された患者とアスピリン非使用者とを比較し、がんの発生数を調べました。アスピリンを処方された人たちでは肝臓と食道のがんが47%減少、胃がんが38%減少、膵臓がんが34%減少、大腸がんが24%減少したことが明らかになりました。
ヨーロッパにおいて、消化器がんはがんの症例のおよそ4分の1を占めています[2]。大腸がん、胃がん、膵臓がんは、大陸全体で死亡率の高いがんのトップ5に入り、消化器がんはがん死亡の30.1%にあたります。
アスピリンは短期の痛み止めから長期処方まで、世界中で数多くの健康状態の治療に使われています。アスピリンの使用が医学界において長く議論の対象になっている一方、アスピリンの服用を止めた患者では、処方薬を続けた患者に比べて、心臓発作や脳卒中など心血管系の有害事象の確率が37%高かったことが最近の研究で分かりました[3]。
アスピリン使用者のがん発生率減少
がんの部位 (非使用者との比較)
肝臓 47%
食道 47%
胃 38%
膵臓 34%
大腸 24%
表1-消化器がん発生の減少
アスピリン長期服用ががんに与える効果は、消化器以外のがんについても調査が行われました。大幅に減少したもの(白血病、肺、前立腺)もありますが、すべてのがん(胸、膀胱、腎臓、多発性骨髄腫)で減少したわけではありません。
研究主任である香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)のケルヴィン・ツォイ教授は、バルセロナの第25回欧州消化器病週間で研究を発表しました。教授は、次のようにコメントしました。「調査結果は、長期にわたるアスピリンの服用が多くのがんの発生リスクを減らすことを示しています。ここで注目したいのは、消化管内にがんを患った結果の重要性です。そこではすべてのがん、特に肝臓と食道がんの発生率が著しく減少していたのです」
参照:
1.ツォイ、K(Tsoi, K)他。アスピリンの長期服用は消化器以外のがんより消化管がんの発生減少により効果的:香港における10年間にわたる集団ベースの研究(Long-term use of aspirin is more effective to reduce the incidences of gastrointestinal cancers than non-gastrointestinal cancers: A 10-year population based study in Hong Kong)。2017年バルセロナ欧州消化器病週間で発表。
2.国際がん研究機関、グロボキャン(GLOBOCAN, IARC) (2012年)、がんの調査監視(Cancer Surveillance)セクション。
3.アスピリン治療中止は心血管系リスクを3分の1以上高める(Stopping aspirin treatment raises cardiovascular risk by over a third)(2017年)。 (リンク ») でご覧ください。
情報源:欧州消化器病学会(UEG:United European Gastroenterology)
(日本語リリース:クライアント提供)
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