アストラゼネカ ACQUIRE-2研究データによる日本におけるコントロール不良の重症喘息患者さんの臨床的特徴を発表

アストラゼネカ株式会社

From: Digital PR Platform

2017-11-27 11:00


アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長:マーク・デュノワイエ、以下、アストラゼネカ)は、日本において専門医(アレルギー学会または呼吸器学会、もしくはその両方の認定を受けている医師)を受診している成人喘息患者さんを対象とした調査研究(以下、ACQUIRE-2 研究)のサブグループ解析結果を発表しました。今回の解析結果では、解析の対象となった喘息患者さんのうち、12.3%がコントロール不良の重症喘息患者さんであると特定されました。また、これらの患者さんの75.3%が夜間症状を経験し、27.2%が睡眠障害を経験していることが明らかになりました。コントロール不良の重症喘息患者さんの生活の質(以下、QOL)が損なわれている現状が浮き彫りになり、いまだ満たされていない治療ニーズの存在が示唆されました。

今回の解析では、ACQUIRE-2研究に登録された患者さんのうち、10 pack-years以上の喫煙歴を有する患者さんを除外した計870名を対象に、コントロール不良の重症喘息患者さんの割合と臨床的特徴を評価しました。対象とするコントロール不良の重症喘息患者さんの定義は、ERS/ATSガイドラインを参照に、高用量の吸入ステロイド薬と長期管理薬の併用治療を受けている、または、経口ステロイド薬を長期管理薬として使用していて、以下のいずれかに当てはまる患者さんとしました。


ACQスコア※1が1.5超
全身ステロイド投与が連続3日以上必要な喘息の増悪を研究への登録の前年に2回以上経験
1秒量(FEV1)が80%未満


臨床的特徴の評価には、喘息患者さんの喘息管理状態の測定を目的とした自己記入式の質問票(ACQ)※1および、喘息患者さんのQOLの測定を目的とした自己記入式の質問票(MiniAQLQ)※2のスコアと、1週間の喘息症状日誌が使用されました。
その結果、評価対象となった喘息患者さん計870人のうち、12.3%(107例、女性:68.2%、平均年齢:59.5 ± 16.8)がコントロール不良の重症喘息患者さんと特定されました。また、コントロール不良の重症喘息患者さん107例の臨床的特徴について得られた結果は以下のとおりです。


喘息によって日中の症状、夜間の症状、睡眠障害を示した患者さんは、それぞれ74.1%、75.3%、27.2%でした
平均ACQ※1スコアは1.4 ± 1.1(非重症喘息患者さんの平均は0.6 ± 0.8)でした
MiniAQLQ※2スコアは5.1 ± 1.1(非重症喘息患者さんの平均は5.9 ± 0.9)でした
気道炎症の指標となる呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)の平均値は51.6 ± 52.2 ppb(33例)(非重症喘息患者さんの平均は29.4 ± 22.3)、血中好酸球率は6.3 ± 6.9%(36例)(非重症喘息患者さんの平均は4.3 ± 4.6)でした


広島アレルギー呼吸器クリニック 理事長 兼 統括院長で、本研究の科学委員会のメンバーである保澤 総一郎先生は、「ACQUIRE-2研究の全体的な解析では、専門医による治療を受けている成人の喘息患者さんの約半数(44.9%)の患者さんが夜間症状を経験している※3 ことが明らかとなりました。さらに今回の解析では、専門医による治療を受けていても、症状コントロールが不良で重症化している患者さんが一定数いること、またそのような患者さんにおいて夜間症状を経験している患者さんは7割以上に上ることが分かり、喘息治療のさらなる課題が示されました。これらの患者さんにおいては、喘息症状のみならず、病変部位である気道あるいは全身で好酸球性炎症が亢進していることが示唆されます。今回の結果は、重症喘息治療の難しさを表しているとも考えられ、今後フェノタイプやエンドタイプに基づく、より患者さんの症状に沿った層別化医療が必要になるでしょう」と述べました。

アストラゼネカ執行役員 呼吸器事業本部 事業本部長の松尾恭司は、「コントロール不良の重症喘息が引き起こす夜間症状や睡眠障害によるQOLの低下や、経済的負担に悩まされている患者さんが一定数存在することが認識されていた一方で、そのような患者さんの治療に関して十分な研究がなされていませんでした。今回の解析結果が、日本における重症喘息治療の発展に貢献し、患者さんの症状コントロールの改善と、精神的・経済的負担の軽減につながることを願っています」と述べました。

ACQUIRE-2 研究は、専門医を外来受診している20歳以上の喘息患者さんで、喘息の診断を研究登録の1年前もしくはそれ以前に受けている患者さんを診療データから判定し、喘息のコントロール状態 や症状の状況、患者さんのQOL、発作治療薬使用の有無、心理実態について評価した、多施設共同横断観察研究です。全体的な解析結果は2017年9月に開催された欧州呼吸器学会(ERS)国際会議において主要な結果が発表されました。

この解析結果は、オーストラリア・シドニーで開催されたアジア太平洋呼吸器学会(APSR)国際会議で2017年11月25日に発表され、今後論文公表される予定です。
以上

※1  Juniper EF, et al. The European Respiratory Journal, 1999 Oct;14(4):902-7.
※2  Juniper EF, et al. The European Respiratory Journal, 1999 Jul;14(1):32-8.
※3  ACQUIRE-2, Hozawa S et al. PA646, Session 102. ERS International Congress 2017, Milan, Italy, 9-13 September.

*****

重症気管支喘息について
日本では約800万人※4 が喘息に罹患していると推定されています。欧州呼吸器学会(ERS)と米国胸部疾患学会(ATS)の重症喘息に関するガイドラインによると、重症気管支喘息は、高用量吸入ステロイド薬に加えて、その他の長期管理薬(および/または全身性ステロイド薬)による治療を要する喘息、あるいはこうした治療にもかかわらず「コントロール不良」である喘息と定義され、喘息患者さん全体の5~10%※5,6 にあたるとされています。
コントロール不良の重症気管支喘息は死に至ることもある過酷な疾患で、患者さんは頻回な症状増悪や、呼吸機能の低下という身体的な負担のほか、生活の質(QOL)の著しい制限など社会経済的な負担を余儀なくされます。
重症喘息の治療には、患者さんの背景や臨床的特徴から、好酸球性、好中球性、アレルギー性、慢性気流閉塞、増悪の繰り返し、ステロイド薬に対する非感受性というフェノタイプ(表現型)※3 が治療選択に応用されています。
重症喘息の治療は経口ステロイド依存を引き起こす可能性があり、全身性ステロイドの投与によって、体重増加、糖尿病、骨粗鬆症、緑内障、不安感、うつ、循環器疾患および免疫抑制を含む重篤な副作用を短期間または長期間起こすことがあります。

※4  厚生科学審議会 疾病対策部会 リウマチ・アレルギー対策委員会 報告書, 2011
※5  一般社団法人日本アレルギー学会 喘息ガイドライン専門部会 監修:喘息予防・管理ガイドライン 2015
※6  一ノ瀬正和監修: 重症喘息-定義、評価、治療に関するERS/ATSガイドライン日本語版-, 2014

アストラゼネカにおける呼吸器疾患について
呼吸器疾患はアストラゼネカの注力疾患領域のひとつで、製品ポートフォリオは年々成長し、2016年には世界中の1,800万人以上の患者さんに当社製品をお届けしました。アストラゼネカは、吸入配合剤を中心に、特定の疾患治療のアンメットニーズに応える生物学的製剤や、疾患原因を解明する革新的なサイエンスを通じて、喘息およびCOPD治療を向上させることを目指しています。
アストラゼネカは、呼吸器領域における40年の歴史をさらに発展させており、当社の吸入器技術はドライパウダー吸入器(DPI)、加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)、ならびに画期的なAerosphere Delivery Technologyなどに及びます。また、当社の生物学的製剤には、米国での承認およびEUでの肯定的見解を取得し、日本において現在薬事承認審査中のベンラリズマブ(抗好酸球、抗IL-5受容体ɑ抗体)、現在第III相試験を実施中のtralokinumab(抗IL-13抗体)、および第IIb相試験の主要評価項目の達成に成功した tezepelumab(抗TSLP抗体)が含まれます。アストラゼネカは、肺上皮組織、肺免疫および肺再生に焦点を当てた、基礎疾患のドライバーを解明する研究を行っています。

アストラゼネカ株式会社について
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、呼吸器疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、自己免疫疾患、ニューロサイエンスおよび感染症の領域における一部の疾患に関する活動も行っています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については (リンク ») または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・代謝/消化器疾患、呼吸器疾患を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社については (リンク ») をご覧ください。
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