2018年 クラウドストレージサービス市場動向調査

株式会社ICT総研

2018-09-13 00:00

株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は9月13日、クラウドストレージサービスの市場動向に関する調査結果をまとめた。

■クラウドストレージサービス利用者は2020年度に5,169万人、市場規模は819億円へ拡大

 個人ユーザーが保有する写真・動画・音楽・文書などのデジタルデータの容量は年々増え続けており、貴重なデータを消失させないために様々な保存方法が模索されてきた。かつては、パソコン上の膨大な電子データを外付けハードディスクなどに保存してバックアップを取る方法が主流だったが、ここ数年でクラウド型オンラインストレージサービスが多くの事業者から無料で提供されるようになり、クラウド上に電子データを保管するユーザーも増えている。
 ICT総研の調査・推計では、2015年度(2016年3月末)に3,447万人だった日本国内の個人向けクラウドストレージサービス利用者は、2019年度に4,950万人となり、2020年度には5,169万人へと増える見込みだ。このうち有料サービスの利用者数は、2018年度で1,294万人に達し、2020年度に1,502万人へと増加する。さらに、有料サービスの利用者が増加することで、個人向けクラウドストレージサービスの市場規模は2018年度で738億円、2020年度には819億円に拡大する見込みである。


■クラウドストレージ有料サービス利用者は全体の12.4%、無料サービスを含めると約4割が利用

 ICT総研では個人向けクラウドストレージサービスの利用実態を把握するため、2018年7月にインターネットユーザー 4,169人へのWebアンケート調査を実施した。その結果、「現在有料サービスを利用している」と回答した利用者は前年の10.9%から12.4%に伸びた。また、「現在無料サービスを利用している」利用者は29.1%であり、ほぼ前年並みに留まった。多くのサービス事業者は自社のサービスを優先的に導入してもらうため、1ギガバイト〜10ギガバイト程度までの利用を無料とするサービスを行っており、多くのユーザーがこれらの無料サービスを導入している。
「有料サービス」「無料サービス」の利用者を合わせると41.4%となるが、まだストレージサービスを利用していない非利用者は全体の58.6%を占めている。今後クラウドストレージ市場を拡大させるためには、まだ利用していない潜在ユーザーを開拓することが必要である。
 また、有料サービス利用者のうち、毎月300円〜1,000円までの料金を払っているユーザーが全体の54%を占めており、平均的な月額利用料金は500円程度となっているようだ。
 男女別の利用率で見ると、有料サービスの利用率は男性が15.2%であるのに対して女性は9.3%と少なめである。年齢別では20代の有料サービス利用率が14.7%で他の年代と比べて高く、10代は無料サービスの利用率が52.6%で高い傾向が見られた。


■アップル iCloudが利用者数トップ、Dropbox、Google Drive、マイクロソフトOne Driveが続く

 インターネットユーザー4,169人へのアンケート調査の結果、クラウドストレージサービスの中で最も利用者数が多かったのは、iCloud Drive(アップル)で717人、次いでGoogle Driveが645人、3位はDropboxで522人、マイクロソフトOneDriveが4位で517人だった。最も利用者が増えたのはGoogle Driveで、昨年の3位から2位に浮上している。米国系企業のサービスが上位を占める中で、ヤフージャパンが提供するYahoo!ボックスが313人で5位につけている。この他、Evernoteが6位で205人、Amazon Driveが170人という回答結果となった。多くのユーザーは複数のサービスを併用して使い分けているが、今後はサービスの取捨選択が進み、大手事業者のシェアがさらに高まると思われる。


■顧客満足度1位は昨年に続きGoogle Drive、2位以下はAmazon Drive、Dropbox、Evernote

 続いてクラウドストレージサービスの顧客満足度アンケートでは、Google Driveが最も満足度ポイントが高く75.1ポイントを記録した。続いてAmazon Driveが73.4ポイントで2位、Dropboxが71.9ポイントで3位、Evernoteが69.9ポイントで4位となった。5位はマイクロソフトOneDrive で69.3ポイント、以下Yahoo!ボックスが68.4ポイント、iCloud Driveが67.3ポイントと続いている。満足度の順位は昨年と変わっていない。
アンケート結果によれば、満足度の高い事業者のサービスは、「データ保管容量が大きい」「ユーザーインターフェースが良い」「データの共有がしやすい」といった点が評価されている。
 サービス利用者がクラウド上に保管しているデータ量を見ると1〜10ギガバイトが全体の43%、1ギガバイト未満が20%となっている。10ギガバイト以上が19%であった。データ量は昨年と比べて増加しており、今後も増加傾向は続きそうだ。
 

■クラウドストレージサービスの主用途は写真・動画、Googleマイクロソフトユーザーは文書保管も

 クラウドストレージサービスの主な用途は、文書の保管や、写真、動画、音楽コンテンツの保管などである。アンケート調査の回答結果では各社とも写真・動画の保管のために利用する傾向が見られる。Dropbox、Google Drive、マイクロソフトOneDriveのユーザーは文書保管としての利用も多く、iCloud Drive、Amazon Drive、Yahoo!ボックスのユーザーは特に写真・動画を多く保管する傾向が見られた。これはDropbox、Google Drive、マイクロソフトOneDriveのユーザーがビジネス利用の頻度が高いのに対して、iCloud Drive、Dropbox、Yahoo!ボックスのユーザーは個人のエンターテイメント利用の度合いが大きいためと思われる。
 また、どのサービスにおいても写真・動画の保管を目的とした利用者が昨年の調査結果と比べて増加しており、容量の大きい写真・動画を保管するためのサービスとしてクラウドストレージサービスのニーズはますます高まってきた。音楽コンテンツは、クラウドストリーミングで利用されることが多くなってきたため保管のニーズが低下するが、写真・動画コンテンツは自分で撮影したものを端末やストレージ上に保管しておく必要がある。そのためクラウドサービス事業者は、写真・動画を無料で保管するサービスの提供に注力しており、写真・動画管理アプリがユーザー囲い込みのための重要な手段として位置付けられている。
 今後は写真、動画、重要文書などを安全に保管するツールとしてクラウドストレージのニーズはさらに高まり、様々なクラウドサービスの中で最も重要なサービスの一つとして普及していくことは間違いなさそうだ。

用語解説

【本資料の調査結果・推計データについて】

*この調査は、クラウドストレージサービス運営会社・関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー4,169人へのWebアンケート調査、各種公開資料などをまとめて分析したものである。Webアンケート実施期間は2018年7月10日~7月13日。
*表4の顧客満足度の分析で100件以下のサービスは対象から除外した。
*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、ICT総研スタッフによる取材やアンケート調査、各種文献等を元に当社アナリストが記述・推計したものであり、当該企業や公的機関等の公表値と異なる場合がある。
*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、資料公開時点のものであり、その後の市場環境等の変化や新たな分析に基づき予測データ等を予告なく変更する場合がある。
*本資料は報道・ニュースメディア向け資料であり、ICT総研の許可無く、データ、グラフ等を広告および販促活動に利用することを禁止する。
*本資料に記載された文章、グラフ等を報道、各種ホワイトペーパー、セミナー資料、学術研究資料等に転載する場合は、「ICT総研調べ」「出典:ICT総研」などの表記を加えて下さい。

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