デジタルの領域で利活用されるアイデンティティ情報は、「デジタルアイデンティティ*1」と呼ばれ、その情報に基づいてサービス提供者が利用者一人ひとりを識別することで、利用者の属性に応じた最適なサービスを提供することが可能になっています。
現在、デジタルアイデンティティやデジタルサービス上の行動履歴に関する情報の多くは、サービス提供企業や、プラットフォーマーと呼ばれる第三者の企業などによって取得、管理されています。しかしながら、これらの企業でデータ漏えい事件が発生する等、プライバシー上のリスクが顕在化してきており、世界各国でデータ保護に関する規制強化の動きも出ています。
このような内外のデジタル社会の動向を踏まえ、我が国においても、5年後、10年後に向けてあるべきデジタルアイデンティティの姿を描くことが求められています。その際、すでに欧米において議論が本格化している、「自己主権型アイデンティティ」や「分散型アイデンティティ」の考え方が、今後のデータ利活用の制度設計やサービスデザインの際に重要になると考えられます。
これらは、ブロックチェーンと分散型台帳の技術から発展した考え方であり、従来のアイデンティティ管理がいわゆる「GAFA」等の巨大IT企業や特定の組織によって実施されるのに対して、管理主体が「個人」である点で異なります。例えば、現在日本において構想されている様々なプラットフォームサービス(内閣府が進めている、スーパーシティ構想における「都市OS」機能*2等)の検討において、個人データを含むアイデンティティ情報は、限られた者に独占されることなく、セキュリティや個人情報保護の観点から、適切に扱うことが前提となっています。第三者ではなく個人による管理を前提とする「自己主権型アイデンティティ」「分散型アイデンティティ」は、これらの実現における重要な役割を担う可能性を秘めています。
本レポートでは、「自己主権型アイデンティティ」「分散型アイデンティティ」に着目し、これらを活用した海外の先進的な取組みを紹介するとともに、日本でのデジタルアイデンティティに関わる議論の本格化に向けて、提言を行っています。
レポートは、以下のWebサイトから全ページをご覧いただけます。
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このプレスリリースの付帯情報
用語解説
*1 デジタルアイデンティティ:
ある実体(個人)に関する、電子化された属性情報の集合を指しています。
*2 スーパーシティ構想における「都市OS」機能:
スーパーシティとは、内閣府の地方創生推進事務局が進めている構想で、国家戦略特区制度を活用しつつ住民と競争力のある事業者の協力のもと、AIやビックデータを活用することによって、暮らしやビジネスにおいて最先端を行くまちづくりを実現しようとする取り組みです。都市OS(Operating System)は、データ連携基盤や、認証・決済、センサーなど、各種サービスの共通機能を提供する基盤を指します。
詳細は、内閣府の次のサイトをご参照ください。 (リンク »)
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