原発不明がんに新たな治療法を! 原発不明がんにおけるオプジーボの有効性を証明

近畿大学

From: Digital PR Platform

2020-06-03 02:05




近畿大学医学部内科学教室(腫瘍内科部門)講師の林 秀敏を中心とした研究チームは、治療開発が難航している原発不明がんに対して、分子標的治療薬オプジーボ(一般名ニボルマブ)の有効性を検討した第2相臨床試験(医師主導治験※1)で、その有効性を示すことを世界で初めて確認しました。
令和2年(2020年)5月31日(日)、腫瘍学における世界最大の学会である米国臨床腫瘍学会の、非常に注目率の高い研究結果を報告する「Special Clinical Science Symposium」内にて、筆頭著者である近畿大学医学部内科学教室(腫瘍内科部門)助教の谷崎 潤子が、この成果をオンラインで発表しました。




【本件のポイント】
●近畿大学医学部・病院チームが主導した医師主導治験において、原発不明がんにおける分子標的治療薬オプジーボの有効性を証明
●原発不明がん患者の20%以上においてがんの面積が半分以上縮小したことを認める
●標準治療がない原発不明がんにおいて、オプジーボが標準治療となることに大きな期待

【本件の背景】
通常のがんの場合、肺がんであれば肺、胃がんであれば胃に原発巣が存在しますが、原発不明がんはその出元が見つからないまま、リンパ節や肝臓などへの転移のみが出現し全身に広がります。原発不明がんは全がん患者の内2~5%であり、一般的にその予後は非常に悪く、診断時からの1年生存率が50%程度とされています。診断時には既に進行・転移している状況であり、複数の臓器に転移が認められる患者が全体の半数以上を占め、生存期間の中央値は約6~9ヶ月、5年生存率は2~6%と極めて予後が悪いのが特徴的です。また、診断の難しさや様々な病態の患者が含まれる集団であるなどの特徴から、他のがんと比べて治療開発が進んでいません。
オプジーボを含む免疫チェックポイント阻害剤※2は、多数のがん腫において標準治療の一部となっていますが、原発不明がんにおける免疫チェックポイント阻害剤の効果については、少数例の報告があるのみでした。近畿大学医学部内科学教室(腫瘍内科部門)では、原発不明がんにおける免疫プロファイリングを解析した結果から、原発不明がんにおいても免疫チェックポイント阻害剤の効果が期待できる可能性を令和元年(2019年)に下記論文で報告しています。
Haratani K, et.al, J Immunother Cancer. 2019 Sep 13;7(1):251, Clinical and immune profiling for cancer of unknown primary site.

【本件の概要】
上記の背景をもとに、原発不明がん患者に対するオプジーボの医師主導治験となる第2相臨床試験(NIVOCUP試験)が、近畿大学医学部内科学教室(腫瘍内科部門)および近畿大学病院臨床研究センターをリーダーとして、国内10施設にて行われました。その結果、化学療法による治療を過去に受けたことがある原発不明がん患者の奏効率※3が22.2%でした。また32%の患者さんで治療によりがんを6ヶ月以上制御することに成功し、今後オプジーボが原発不明がんの標準治療となることが期待されています。なお、本試験は、小野薬品工業株式会社からの資金提供および治験薬の無償提供を受け実施されました。

【学会発表】
米国臨床腫瘍学会(ASCO):Special Clinical Science Symposium: Redefining
              Cancer of Unknown Primary: Is Genomics the
              Answer?Saturday, May 30, 2020: 3:30 PM-4:30
              PM(CDT)
              (日本時間令和2年(2020年)5月31日(日)
              AM5:30 AM-6:30)
演題名  :NivoCUP : An opne label Phase 2 study on the efficacy of
      nivolumab in patients with cancer of unkwnon primary (CUP)
      原発不明癌に対するNivolumabの有効性を検討する第II相試験(NivoCUP)
筆頭演者 :谷崎 潤子 近畿大学医学部内科学教室(腫瘍内科部門)助教・市立岸和田
      市民病院 腫瘍内科
共同研究者:谷崎 潤子1,2, 米盛 勧3, 秋吉 宏平4, 南 博信5, 上田 弘樹6, 瀧口 裕一7,
      近藤 千紘8, 畝川 芳彦9, 高橋 信10, 岩本 康男11, 木寺 康裕12, 福岡 和也12,
      伊藤 彰彦13, 千葉 康敬12, 西尾 和人14, 中川 和彦1,
責任著者 : 林 秀敏1 近畿大学医学部内科学教室(腫瘍内科部門)講師

近畿大学医学部 1内科学教室(腫瘍内科部門), 13病理学教室, 14ゲノム生物学教室/ 2岸和田市民病院 腫瘍内科/ 3国立がん研究センター中央病院 乳腺・腫瘍内科/ 4大阪市立総合医療センター 腫瘍内科/ 5神戸大学医学部附属病院 腫瘍・血液内科/ 6和歌山県立医科大学附属病院 呼吸器内科・腫瘍内科/ 7千葉大学医学部附属病院 腫瘍内科/ 8虎の門病院 臨床腫瘍科/ 9埼玉医科大学国際医療センター 腫瘍内科/10東北大学病院 腫瘍内科/ 11広島市立広島市民病院 腫瘍内科/12近畿大学病院臨床研究センター

【研究詳細】
本研究は医師主導治験として日本全国の10施設が参加し、近畿大学医学部内科学教室(腫瘍内科部門)〈主任教授 中川 和彦、講師 林 秀敏、助教 谷崎 潤子〉および近畿大学病院臨床研究センター(センター長・教授 福岡 和也、准教授 千葉 康敬(統計解析責任者)、木寺 康裕(科長代理・薬剤師)の主導で実施されました。
試験には、原発不明がんに対して抗癌剤治療歴のある患者(既治療群)45人と、抗癌剤治療歴のない患者(未治療群)11人の合計56人が参加しました。
主要評価項目である既治療群における奏効率は22.2%(95%信頼区間:11.2-37.1%)であり、本試験の主要評価項目を達成しました。また、既治療群における無増悪生存期間(治療開始後からがんが悪化するまでの期間)の中央値は4.0ヶ月(95%信頼区間:1.9-5.8ヶ月)、6ヶ月時点での無増悪生存割合は32%、生存期間中央値は15.9ヶ月(95%信頼区間:8.4-21.5ヶ月)でした。未治療群における奏効率は18.2%(95%信頼区間:2.3-51.8%)、無増悪生存期間中央値は2.8ヶ月(95%信頼区間:1.1-6.5ヶ月)、6ヶ月時点での無増悪生存割合は27%、生存期間中央値は未到達(95%信頼区間:2.6ヶ月-未到達)であり、過去に報告されている化学療法による治療成績と比べても有効な治療成績が認められました。
また、本試験では世界で初めて原発不明がんにおいて腫瘍におけるPD-L1発現※4(近畿大学医学部病理学教室(伊藤 彰彦 教授)にて評価)が高い患者で治療効果が高いことが示され、オプジーボの治療効果(奏効率、無増悪生存期間、全生存期間)が関連することが示されました。
この試験で示された既治療群のオプジーボ奏効期間は12.4ヶ月(95%信頼区間:2.8ヶ月-未到達)であり、みなし標準治療として実地医療で最も頻用されるプラチナ製剤とタキサン製剤の併用療法の奏効期間中央値の報告(約4~7ヶ月)と比較して良好な結果でした。オプジーボの最大の臨床的特徴として長期間にわたる奏効の持続がもたらす延命効果が挙げられますが、これが原発不明がんでも期待できる可能性が示されたことも重要なポイントです。
本試験は世界で初めて報告された原発不明がんに対しての有効性を報告した医師主導治験であり、この結果から今後オプジーボが原発不明がんの標準治療となることが期待されます。

【用語説明】
※1 医師主導治験
企業が主体で行う治験と異なり、企画・立案から管理まで医師自らが行う治験。

※2 免疫チェックポイント阻害剤
免疫チェックポイント阻害薬は、免疫細胞からの攻撃を免れるためのブレーキを阻害し、免疫細胞の攻撃を強めることで抗腫瘍効果を発揮する。

※3 奏効率
がんの面積が約半分以下まで縮小した割合。

※4 PD-L1発現
ニボルマブ(オプジーボ)はPD-1に対するモノクローナル抗体であり、PD-1とPD-L1の結合を阻害する。腫瘍におけるPD-L1の発現は、ニボルマブを含む抗PD-1抗体・抗PD-L1抗体の治療効果の指標となることが複数のがん腫で証明されている。

【研究者紹介(近畿大学医学部・病院チーム)】
■近畿大医学部内科学教室(腫瘍内科部門)
主任教授:中川 和彦
講  師:林 秀敏
助  教:谷崎 潤子

■近畿大医学部ゲノム生物学教室
主任教授:西尾 和人

■近畿大医学部病理学教室
主任教授:伊藤 彰彦

■近畿大学病院臨床研究センター
教 授:福岡 和也
准教授:千葉 康敬
薬剤師:木寺 康裕

【関連リンク】 医学部 医学科 医学博士 中川 和彦 (ナカガワ カズヒコ)
(リンク »)

医学部 医学科 博士(医学) 林 秀敏 (ハヤシ ヒデトシ)
(リンク »)

医学部 近畿大学病院 医学博士 福岡 和也 (フクオカ カズヤ)
(リンク »)

医学部 近畿大学病院 社会健康医学博士 千葉 康敬 (チバ ヤスタカ)
(リンク »)

医学部 医学科 博士(医学) 西尾 和人 (ニシオ カズト)
(リンク »)

医学部 医学科 医学博士 伊藤 彰彦 (イトウ アキヒコ)
(リンク ») 関連URL: (リンク »)


▼本件に関する問い合わせ先
広報室
住所:〒577-8502 大阪府東大阪市小若江3-4-1
TEL:06‐4307‐3007
FAX:06‐6727‐5288
メール:koho@kindai.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター (リンク »)
本プレスリリースは発表元企業よりご投稿いただいた情報を掲載しております。
お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。

【企業の皆様へ】企業情報を掲載・登録するには?

御社の企業情報・プレスリリース・イベント情報・製品情報などを登録するには、企業情報センターサービスへのお申し込みをいただく必要がございます。詳しくは以下のページをご覧ください。

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]