近畿大学(大阪府東大阪市)と機能性原料メーカーのオリザ油化株式会社(愛知県一宮市、代表取締役:村井 弘道、以下「オリザ油化」)は、産官学連携の共同研究で、ヒトの皮膚に存在するセラミドと同一の化学構造を持つ保湿成分「Elasticamide(エラスティックアミド)」が、米糠エキスに含まれていることを世界で初めて明らかにしました。
【本件のポイント】
●米糠エキスにヒト型セラミド※1 「Elasticamide」が含まれていることを世界で初めて発見
●ヒト型セラミド「Elasticamide」に高い皮膚保湿作用があることを発見
●米糠エキスの保湿作用メカニズムの解明や、米糠エキスが健康食品・化粧品の素材として有用であるというエビデンスの構築に期待
【本件の内容】
植物由来の脂質の一種であるグルコシルセラミド※2 は、経口摂取や塗布によって皮膚の保湿作用を示すことが報告されており、これを含む植物エキスは機能性素材として販売され、機能性表示食品にも受理されています。オリザ油化は、平成11年(1999年)から長きにわたり、米糠由来のグルコシルセラミドを含む製品「オリザセラミド*」を、国内外の食品・化粧品メーカーに販売してきました。
近畿大学薬学総合研究所 教授 森川 敏生を中心とする研究チームは、オリザ油化と「2020年度新あいち創造研究開発補助金」を利用した産官学連携による共同研究によって、「オリザセラミド」にヒト型セラミドと同一の化学構造を持つ保湿成分「Elasticamide」が含まれていることを世界で初めて明らかにしました。「Elasticamide」は、「オリザセラミド」の原料となる米糠エキスから、グルコシルセラミドを高濃度化させたものより単離・同定され、その化学構造がヒトの皮膚角層に存在し、バリア機能に寄与するセラミド種のうち、セラミド6※3 と同一であることが判明しました。ヒト型のセラミドが米糠エキスから単離・同定されたのは、世界で初めてのことです。
また、「Elasticamide」が皮膚保湿・バリア機能に及ぼす作用について、ヒト表皮三次元培養モデル※4 を用いて評価した結果、「Elasticamide」は「オリザセラミド」に含まれる成分の中でも極めて高い保湿作用を示すことが明らかになりました。さらに、ヒト表皮三次元培養モデルの角層セラミド量を、有意に増加させることも明らかとなりました。
これらの研究成果により、米糠エキスの保湿作用メカニズムの解明や、健康食品・化粧品の素材として有用であるというエビデンス構築が期待されます。近畿大学とオリザ油化は、本研究結果をもとにした特許を共同で出願しました。
*オリザセラミドは、オリザ油化の登録商標です。
【用語説明】
※1 ヒト型セラミド:ヒトの皮膚に存在し、肌を外部刺激から守るバリア機能のための必須成分であるセラミドと同一の構造を持つセラミド。
※2 グルコシルセラミド:セラミドに糖(グルコース)が結合した構造を有する化合物の総称。主に植物に含まれる。
※3 セラミド6:ヒト型セラミドはその構造から12種類に分類され、そのうちセラミド6は構造中の水酸基(OH基)の数が多いことを特徴とする。
※4 ヒト表皮三次元培養モデル:ヒトの皮膚表皮組織を再現した三次元構造を持ちながら培養が可能な実験モデル。
【オリザ油化 会社概要】
商号:オリザ油化株式会社
所在地:愛知県一宮市北方町沼田1(本社)
代表者:代表取締役社長 村井 弘道
事業内容:食用米油、機能性食品原料、化粧品原料の製造・販売
設立:昭和14年(1939年)4月
資本金:3,000万円
【関連リンク】
薬学総合研究所 教授 森川 敏生(モリカワ トシオ)
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薬学総合研究所
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