【ケンブリッジ(米マサチューセッツ州)2022年10月3日PR Newswire=共同通信JBN】財産税はアジアで地方政府の歳入源として大きな潜在力を秘めているが、課税状況は一様ではない。Lincoln Instituteの新刊書「Property Tax in Asia: Policy and Practice(アジアにおける財産税:政策と実務)」( (リンク ») )(ペーパーバック版60ドル、552ページ:ISBN: 978-1-55844-423-2)は、この基本的な財政手段が世界最大の大陸各地でいかなる役割を演じてきたかについて初の包括的な分析を提供している。
代表的な専門家チームが執筆し、William McCluskey、Roy Bahl、Riel Franzsenの3氏が編集した同書は、世界人口の半分近くが住んでいる地域にまたがった13の綿密なケーススタディーによって、比較分析と詳細にわたる提言をもたらしている。
執筆者らは「これら13の国・地域に関するわれわれのケーススタディーにより、財産税を近代化する手法はそれぞれの国・地域の間で大きく異なっていることが分かった。どのように歳入獲得手段として活用し、土地利用政策を合理化し、社会の社会的公正を促進するための手段にすることなどである」と指摘している。
研究者や政策立案者にとっての資料となる同書は、あらゆる規模と収入水準の国で財産税を形成している法律、行政実務、改革提案、技術、政治討論について、これまでで最も綿密な報告を提供している。
同書は、日本や韓国、シンガポールなどの富裕国は、日本で増えている空き家の不明確な所有権などの諸課題に直面しているとはいえ、総じて十分に機能している財産税制度があると指摘している。土地の私的所有を認めない中国とベトナムでは、地方政府は経常課税に比べて信頼性と安定性に劣る一時的土地利用料に大きく依存している。さらに多くの低所得国は限られた課税基盤や資産の過小評価、コンプライアンスの乏しさ、政治的課題に苦しんでいる。
約50カ国の状況を示すために、執筆者は、財産税の利用、革新的な管理、技術の活用、財産税に関する歴史に基づき、13のケースを選定した。ケーススタディーは東南アジアにおけるすべての経済大国、少なくともGDPの1%の経常的財産税を有するすべての法域、アジア全域でのさまざまな低所得国を対象にしている。このケースには中国、香港、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナムが含まれている。
同書は状況が大幅に多様であることを認識し、改革に向けて次の10点の方向性を推奨している。
*財産・土地税戦略の策定
*包括的改革アプローチの採用
*中央政府、省・州・県政府、地方政府のそれぞれの役割の明確化
*不必要な税控除の撤廃
*税率体系の簡素化
*財産譲渡税利用の理論的説明
*法定再評価周期による評価とコンプライアンスの質の改善
*財産税への自発的なコンプライアンスの改善
*公的管理の簡素化と改善
*情報技術力の活用
Property Tax in Asia: Policy and Practice( (リンク ») )は、世界の大部分の地域の財産税を分析したLincoln Instituteの書籍シリーズの最新刊である。同シリーズには、Property Tax in Africa: Status, Challenges, and Prospects (アフリカにおける財産税:現状、課題、将来の見通し)( (リンク ») )(2017)、Property Tax Systems in Latin America and the Caribbean(中南米・カリブ海地域における財産税制)( (リンク ») )(2016年、スペイン語で刊行)などがある。詳細はLincoln Instituteのウェブサイト( (リンク ») )を参照。
▽Property Tax in Asiaへの賛辞
「Property Tax in Asiaは、世界で最も誤解されている課税形式の1つについて待ち望まれた知見を提供している。政治家や主要な利害関係者は健全な政策原理に基づいた課税が基本的な地方サービスのための十分な歳入をもたらすよう、税のあらゆる側面を理解する必要がある。同書は著名な執筆者と編集者による他にない経験を活用し、アジアのさまざまな国の成功した税制度を描き出し、推奨されている改革によってどこに一段の改善余地があり得るかを明確にしている」
-International Property Tax Institute(国際財産税研究所)のPaul Sanderson所長
「これは、とりわけ財政が制約されているこの時期に、歳入創出に関心のあるすべての人にとって権威ある原典であり、必読書である。McCluskey、Bahl、Franzsen各氏は、豊富なケーススタディーを活用してアジアにおける財産税に関連する現在の政策や実務を専門的に検証している。財産税のあらゆる側面を詳細にわたって検証することにより、同書は研究者や政策立案者、実務担当者に極めて貴重な教訓をもたらしている」
-世界銀行の元シニアディレクター(ガバナンス担当)でInstitute for State Effectivenes(国家有効性研究所)のシニアフェロー(ガバナンス担当)のDeborah Wetzel氏
「この本は財産税の改革、設計、課税の未来の方向付けを手助けする。政策立案者、研究者、学生はこの包括的な巻が極めて貴重なものである。分析に関する枠組みや国を横断した比較、詳細にわたるケーススタディーが財産税改革の設計と戦略的な課税を成功させる方法について知見と教訓を提供する」
-デューク大学サンフォード公共政策大学院のRoy Kelly実務教授
「3人の卓越した財産税研究者によって編集されたProperty Tax in Asiaは、大部分の国が自立した歳入源をもたらし、公共支出に効率と説明責任を高めていくことを必要としている大陸での財産税の設計と課税を深く掘り下げている。この革新的な書物はアジアおよび世界の研究者、実務担当者、政策立案者にとって基本的な資料になるだろう」
-ジョージア州立大学のJorge Martinez-Vazquez名誉指導教授(経済学)
「これはアジアの財産税に関する政策と実務について、専門家や学生にとっての基本的な手引書である。対象を絞った国を拠点にした研究者と実務担当者による13のケーススタディーは、アジアにおける税制度の背景、進化、機関、分析に関する専門的な知見を提供している」
-シラキュース大学マックスウェル行政大学院のYilin Hou教授
「この書物は立法者、行政官、実務担当者が効果的な財産評価と課税制度を考案し、履行するための優れた参考文献であり、とりわけベトナムにおいてはそうである。専門的な研修や高等教育の発展にとっての貴重な教育的資料である」
-Hanoi National Economics University(ハノイ国立経済大学)およびケベック大学モントリオール校のLoan H. Trinh講師
▽執筆者について
William McCluskey氏は南アフリカのプレトリア大学African Tax Institute(アフリカ税研究所)の特任教授である。
Roy Bahl 氏はジョージア州立大学の名誉指導教授(経済学)で、Andrew Young School of Policy Studies(アンドリュー・ヤング政策研究大学院)の創設院長である。プレトリア大学African Tax Institute(アフリカ税研究所)の特任教授も務めている。
Riel Franzsen 氏はプレトリア大学教授で、African Tax Institute(アフリカ税研究所)の所長であり、税政策とガバナンスの南アフリカ調査委員長を務めている。
▽Lincoln Institute of Land Policyについて
Lincoln Institute of Land Policy(リンカーン土地政策研究所)は、土地の効果的な利用、課税、管理を通じた生活の質の改善を探求している。Lincoln Instituteは設立が1946年までさかのぼる非営利民間運営による財団であり、経済、社会、環境面での課題への解決策として、土地に対する創造的なアプローチを研究し、勧告している。教育、研修、出版、イベントによって理論と実務を統合し、世界中で公共政策の決定事項を明らかにしている。
ソース:Lincoln Institute of Land Policy
▽問い合わせ先
Will Jason
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