城西大学(埼玉県坂戸市、藤野陽三学長)の薬学部薬科学科と経営学部の学生が、ハンドクリーム開発を巡って1年間にわたりコラボレーション授業を展開しました。薬科学科の学生がバラの香り豊かなハンドクリームを製品化、経営学部の学生がネーミングとパッケージデザインを担当しました。
薬科学科は創薬技術を機能性化粧品の開発にも応用できる研究者・技術者を目指す学科として、授業と実習を通じて肌の機能や化粧品の成分について学び、化粧品業界にも人材を輩出してきました。これまで成分や品質にこだわったハンドクリームを企画開発していましたが、製品の良さが伝わりきらないことが課題でした。マーケティングの研究室がある経営学部に相談したことがきっかけで、新たにハンドクリームの内容やネーミングとパッケージデザインを全面変更することになり、学部横断型産学連携の合同授業として取り組んできました。
ハンドクリームは化粧品受託製造も手掛ける株式会社シャローム(本社・山梨県南都留郡忍野村)に製造を依頼。薬科学科がハンドクリームの成分を処方し、キャンパス内にあるバラ園をイメージしたバラエキスに上質なオイルを組み合わせることによって、肌馴染みよくサラッとしながらも保湿が続き、バラを主体とした香りによるリフレッシュ効果も感じる仕上がりになりました。
一方、マーケティングについて学んでいる経営学部の学生が、ネーミングとパッケージデザインを考えました。この間の授業では、薬科学科の学生がハンドクリームの特長についてプレゼンテーションを行い、ヒアリングした内容をもとに経営学部の学生が、薬科学科の学生や教員に対し、打ち出す特長やターゲットとする客層、ネーミングとパッケージのデザインの理由などについてプレゼンテーションを実施しました。
この結果、6つの案から幅広い年齢層を考慮した「ディパーチャーローズ」が最優秀作品に選ばれました。このデザイン案を基に生産し、3月以降のオープンキャンパスで配布することにしています。
今回の''コラボ授業''について、経営学部の学生は「パッケージのデザインを考える際、商品イメージをもとにデザインを考えがちだが、薬科学科のオリエンテーションでは成分や効用の詳細な説明を聞き、商品を使う側と作る側では目の付け所が全く違うことが興味深かった。広く視野を持つことで同じ商品でも全く違う印象を与えることができることがよく分かった」と感想を述べました。
また、薬科学科の学生は「経営学部の授業に参加したことで、普段は触れる機会のないマーケティングの戦略的な考え方を知ることができて新鮮だった。自分たちは商品の成分や効用面をもとに使用を勧めることが多いが、使う人に合わせた紹介の仕方ができるのではないかと新しい発見があった」と手応えを語りました。また同科の別の学生は「良い物を作っても、適切な戦略がなければ売れないということを理解することができた。低学年のうちから専門性を極めると同時に多様な価値観を知り、城西大学が掲げる『協創』ができる人間になる必要性を感じることができた」と述べました。
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