概要
三重県の伊勢湾岸では黒のりの養殖業が盛んに営まれており、その生産量は全国でもトップクラスを誇ります。黒のりは色落ちすると取引価格が下落してしまいますが、その色落ちは「栄養塩」、すなわち、海水中の栄養物質が不足することによって起こるものです。そのため、三重県水産研究所はかねてより栄養塩の状況を定期的に調査し、「黒のり漁場栄養塩調査結果」としてホームページやLINEなどを通じてその情報提供を行ってきました。しかし、この調査結果は週に1度しか送信されず、黒のり養殖業者からは「採水から数日経過した情報ではなく、リアルタイムな情報を提供してほしい」という声が多く上がっていました。今回ご紹介する本校の取組は、そうした黒のり養殖業者の要望に応えるものです。
まず、鳥羽商船高専は三重県水産研究所と連携し、黒のり養殖漁場においてIoT海洋モニタリングシステム「うみログ」(※)による観測を行った結果、黒のりの色落ちにはクロロフィルの濃度が関係していることを発見しました。そして、この情報をクロロフィルの濃度に基づく「色落ち早期警戒情報」として、「三重県黒のり研究会」のLINEグループへ毎朝7時に送信することとなりました。
色落ち早期警戒情報では、漁場ごとにクロロフィルの濃度レベルが色分けされています。黒のりの色落ち早期警戒情報を導入することで、生産者は色落ちが危惧されるレベルになった際に速やかに黒のりの摘採(収獲)を行えるようになります。データの活用・発信については、気象観測・分析のノウハウを持ち、鳥羽商船高専と包括連携協定を締結している株式会社中電シーティーアイが実施しています。なお、本取組は三重県事業「次世代型海藻養殖による豊かな伊勢湾再生事業」の一環として実施しています。
例年、漁期の後半(2月3月ごろ)は、黒のりの色落ちが発生する傾向が見られるため、色落ちアラートの活用が期待されます。
※「うみログ」とは
鳥羽商船高専が株式会社アイエスイーと共同開発した、海洋データをリアルタイムでモニタリングするためのシステムです。水温、水位、画像、GPS等の機能を備えた海上観測機を複数個所に配置することで、利用者はスマートフォンやパソコンを通じて30毎に海の状況を把握することができます。
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鳥羽商船高等専門学校について
明治の六大教育家の一人、近藤真琴を校祖とする鳥羽商船高等専門学校は、明治8年(1875年)9月に現在の東京都港区浜松町に航海測量習練所として創基し、その分校として、明治14年(1881年)8月20日に三重県鳥羽町に鳥羽商船黌として創立された。その後、私立、市立、県立などの変遷を経て、昭和42年(1967年)6月に国立鳥羽商船高等専門学校となった。令和7年(2025年)には創基150周年を迎えます。
「進取・礼譲・質実剛健」を教育理念とし、世界と地域で活躍する、科学的思考を持つ高度な技術者を育成し、令和4年9月現在で7千人を超える卒業生・修了生を輩出しています。
【学校概要】
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学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 鳥羽商船高等専門学校
所在地:三重県鳥羽市池上町1番1号
代表者:和泉 充
設立:1881年
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事業内容:高等専門学校・高等教育機関
【本リリースに関する報道お問い合わせ先】
鳥羽商船高等専門学校 総務課総務係
TEL:0599-25-8000
e-mail:soumu-soumu@toba-cmt.ac.jp
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~2022年度、高等専門学校制度は創設60周年を迎えます~
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