マイクロソフトと国立高専機構は8月7日、国際競争力のある高度IT人材のエリートを育成するにあたって連携を強化すると発表した。両者は、2007年10月より高度IT人材の育成に向けた取り組みを実施している。今回は、優秀な高等専門学校生を集めた「ITリーダー育成キャンプ」を含め、2008年8月から2009年3月までの8カ月間で集中的に取り組む。
ITリーダー育成キャンプは、その取り組みの第1弾となる。同キャンプは人材育成のための強化合宿で、8月11日から13日の3日間、八王子セミナーハウスにて行われる。参加者は全国18校の高専より選出された21名で、合宿中に技術力やコミュニケーションスキル、チームマネジメント能力などの習得を目指す。
合宿後に参加者は、自分がプロジェクトリーダーとなってチームを結成し、テーマに沿ったアプリケーションを作成するよう課題を与えられる。2008年3月までの間、レポートの提出と添削が繰り返される。
今回のIT人材育成において両者は、技術力はもちろんのこと、ヒューマンスキルの向上にも焦点を当てる。その理由についてマイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の大場章弘氏は、「ベースとして技術力が大切であることに疑いの余地はないが、グローバル社会で活躍するにはプラスアルファの能力が必要となる」と話す。大場氏は、米Microsoftの本社にて数年勤務した経験もあるが、その時に各国から集まった優秀な技術者が「自分の意見をはっきり主張し、他人を巻き込んで大きなことを達成する能力を持っていた」と述べ、「日本の学生も、若いうちに世界規模で物事を考える力をつけることが大切」と力説した。
国立高等専門学校機構 理事の小田公彦氏も、「技術力については、高専でも教えることが可能だが、ヒューマンスキルやマーケティング力、マネジメント力などまではなかなか教えられない」と述べる。今回マイクロソフトと組んだ経緯について小田氏は、「マイクロソフト自身、人材教育に力を入れているほか、同社が実施した『全国高専キャラバン』の感想を学生に聞くと、満足度が高かった」と話す。
グローバルな視点を養うためにも、今回の合宿にはスピーカーとして世界学生技術大会「Imagine Cup 2008」に日本代表として参加した同志社大学の学生も参加する予定だ。