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発表のポイント
- 患者さんのスマホにインストールしたアプリ「ナースコープ」がAIによって大腸内視鏡検査の前処置の排便性状を自動で判定します。
- 「ナースコープ」を使用することで、患者さんの心理的負担や看護師の業務負担の軽減が期待できます。
- 今後、本アプリ「ナースコープ」の使用を実臨床において推進し、ナースコープの汎用性についても検証していきます。
国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区)東病院(病院長:土井 俊彦、千葉県柏市)と株式会社Jmees(代表取締役:松崎 博貴、千葉県柏市)は、大腸内視鏡検査前処置時の排便性状をAI(Artificial Intelligence: 人工知能)により判定するアプリ「ナースコープ」を開発し、リリースいたしました。本アプリを使用することで、患者さんの心理的負担や看護師の業務負担の軽減が期待できます。
なお、本アプリは、Jmeesのホームページ(後述)よりダウンロードいただき無料でご利用いただけます。
「ナースコープ」の概要
「ナースコープ」は、患者さん本人のスマートフォンにアプリをインストールし、大腸内視鏡検査前処置時の排便を撮影することで、その排便性状をAIが自動で判定します。患者さんや看護師は判定結果を瞬時に確認でき、判定結果を参考にして大腸内視鏡検査を実施することが可能となります。初めて本アプリを使用される場合を想定し、大腸内視鏡検査を受ける患者さんの心に寄り添った視認性の高いデザイン、初心者でも操作しやすい仕様を目指しました。「ナースコープ」は、看護師を意味する「nurse」と内視鏡を意味する「scope」に由来して名づけられました。
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Jmeesが開発したアプリ「ナースコープ」[画像3: (リンク ») ]
「ナースコープ」で患者さんが撮影
開発の経緯
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大腸内視鏡検査は、腸管内に便が残っていると適切な検査を行えなくなる場合があるため、適切な「前処置」の実施、及びその評価が欠かせません。前処置とは患者さんが大腸内視鏡検査前に腸管洗浄液(下剤)を服用し腸管内の便を排出することを意味していますが、患者さん自身、あるいは看護師等が検査前に患者さんの排便性状を最終確認してから検査を行うことがあります。
しかしながら、検査前に看護師等が患者さんの排便性状を確認し、検査可能な状態か判定する前処置では、看護師等の業務負担や排便性状判定の不一致が課題となっていました。加えて、患者さん自身が排便性状を確認する場合、自分で判定することに不安を感じたり、患者さん自身の排泄物を看護師に見られることに心理的負担を感じたりすることがあり、医療現場では「自分自身で排便性状を判定するのは不安だ」「看護師に声をかけづらい」「恥ずかしい」との声が寄せられてきました。
こうした課題を解決するため、国立がん研究センター東病院 消化管内視鏡科医長 新村 健介と株式会社 Jmeesは、NEXT医療機器開発センターの支援のもと、2020年より当院にて診療目的に大腸内視鏡検査が実施される症例を対象として、前処置のための腸管洗浄液服用後から大腸内視鏡検査直前までに撮影され、匿名化された排便画像を収集し、排便画像評価に関する機械学習を行いました。最終的に排便性状を判定するAIモデルを構築し、アプリへの実装及びアプリの検証を単施設で行いました。その結果、患者さんが本アプリを使用して前処置を行っても、大腸内視鏡検査の質を落とすことなく実施可能であることが示唆されました。現在、本アプリの汎用性を検証するために、日本国内で多施設共同の臨床試験を実施しています。今後は国内の多くの施設で本アプリを使用いただき、患者さんと医療従事者の負担軽減につなげていきたいと考えています。
NEXT医療機器開発センターについて
NEXT医療機器開発センターは、国立がん研究センター東病院に産学官・医工連携で臨床ニーズに基づいた次世代に望まれる革新的医療機器を開発するため、2017年5月に開設された組織です。医療機器企業、ものづくり企業、アカデミアそして地域との連携で、医療機器開発を推進するとともに、臨床試験・治験のフィールドで医療機器開発を支援しています。また、臨床と隣り合わせのインキュベーション施設として人材育成、情報発信に取り組んでいます。
国立がん研究センター東病院 消化管内視鏡科医長 新村 健介(研究代表者)のコメント
近年、医療分野においてもAIを用いた医療機器開発が盛んになってきています。AIが最も活用されているのが画像診断支援の領域になります。ナースコープは画像を判定しますが画像診断をするわけではないため、非医療機器に分類されます。非医療機器ではございますが、当院で臨床研究としてアプリの性能検証をしっかりと行っております。本アプリは開発当初から当院スタッフと看護師が携わり、患者さんと看護師の視点に立って作り上げられた素晴らしい製品です。ナースコープを使用することで大腸内視鏡検査前の皆様の不安が取り除かれ、安心して検査を受けていただければ嬉しく思います。
国立がん研究センター東病院 消化管内視鏡科医員 稲場 淳(プロジェクト担当)のコメント
「ナースコープ」は、AIによって排便性状を判定します。AIによる判定は再現性が高く、これまで前処置の排便性状判定に不安やストレスを感じておられた患者さんや医療従事者の方の助けになるものと期待しています。「ナースコープ」が、医療従事者の方の業務負担や患者さんの不安を軽減し、より多くの方々に少しでも大腸内視鏡検査を快適に受けていただける一助になることを願っています。
株式会社Jmeesについて
Jmees(ジェイミーズ)は2019年10月に設立された、国立がん研究センター東病院から生まれたスタートアップ企業です。国立がん研究センター発ベンチャーの認定を受け、「すべての人々に安全で質の高い治療を届ける」をミッションに、AIを用いて外科医を支援するサービスを開発しています。
Jmeesが強みとするAIを用いた外科手術支援の開発とは
従来の手術では熟練医が持つ優れた解剖構造の認識力、手術工程の計画力、術中の判断力すべてがブラックボックスであるため、それらを習得するには多くの経験を積む必要があります。特に手術中の臓器損傷は、患者のQOL低下や医療コストの増大につながりますので、社会的に大きな課題です。Jmeesが開発するAI手術支援システムは、手術中の映像を解析し、術者の認識力を支援することで、より安全に手術が行えるようにサポートしています。
※ 記載されている情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。
お問合わせ先
アプリに関する問い合わせ
株式会社Jmees 代表取締役 松崎 博貴
千葉県柏市柏の葉5丁目4番地6 東葛テクノプラザ605号室
Eメール:info@jmees-inc.com
ホームページ: (リンク »)
「ナースコープ」のダウンロード先: (リンク »)
研究に関する問い合わせ
国立研究開発法人国立がん研究センター東病院
NEXT医療機器開発センター事務局
電話番号:04-7130-0199
Eメール:NEXT_AxL@east.ncc.go.jp
国立がん研究センターへの取材に関する問い合わせ
国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局 広報企画室(柏キャンパス)
電話番号:04-7133-1111(代表)FAX:04-7130-0195
Eメール:ncc-admin@ncc.go.jp
プレスリリース提供:PR TIMES (リンク »)
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