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NPO法人eboardは外国につながる日本語指導が必要な子の学習・コミュニケーション環境の改善に向けて、学校・教育現場における「やさしい日本語」活用に関する実証を開始します。
eboardは、2020年より、外国の方にとってもわかりやすい「やさしい日本語」のコンセプトを元に、団体が提供する約2,000本の映像授業に対して「やさしい字幕」を付ける活動を進めてきました。この度、eboardでは、この活動の知見を活かし、生成AIを活用した「やさしい日本語」への自動変換ツールを開発、日本語指導が必要な子をとりまく学習・コミュニケーション環境の改善に取り組みます。なお、この活動は、公益財団法人トヨタ財団による助成を受けて行われます。
増加する「外国につながる子」と支援の課題
1.日本語指導が必要な子の増加
海外から日本に帰国した、外国で生まれて日本に来た、日本生まれだが保護者の母語が日本語ではない等の理由から、日本の学校においても、日本語の支援を必要としている子どもたちがいます。文部科学省の調査では「日本語指導が必要な児童生徒」は年々増加し、2021年度には約5.8万人に達しています。こうした子どもたちの支援の多くは、自治体や学校、地域の市民団体等に担われていますが、地域による支援体制のばらつきも大きく、子どもたちは授業や学校生活の中で、つまずきを抱えてしまうことがあります。
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▲文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和3年度速報、平成30年度)」よりNPO法人eboardが作成
2.「外国につながる子」が集住する都市部、散在する地方
日本語指導が必要な子は、全国で同じように増えているわけではなく、地域による偏在が発生しています。全国の公立学校の約25%に「日本語指導が必要な児童・生徒」は在籍していますが、その多くは都市部に集中しており、複数言語の通訳や日本語教師を必要としている学校もあります。一方で、該当児童・生徒が在籍している学校の約40%は「1人のみの在籍」となっており、地方に多く見られるこうした学校や地域では、継続的な予算措置や体制づくりが進みづらく、十分な支援が受けられないことも多くなっています。こうした地域による偏在は、全国一律での対応を難しくしています。
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▲文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成 30 年度)」よりNPO法人eboardが作成
3.日本語指導人材の不足
日本語指導ができる人材が学校教育現場に求められる一方、日本語教師の数は伸び悩んでおり、支援者の待遇面の課題などから、子どもの日本語指導ができる人材の確保は難しい状況にあります。
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▲文化庁「令和4年度日本語教育実態調査」よりNPO法人eboardが作成
「やさしい日本語」のニーズの高まりと利用可能性
「やさしい日本語」は、阪神・淡路大震災をきっかけに考案され、外国の方にも分かるように配慮された日本語です。現在、行政機関や外国人支援団体などで広がっており、外国の方からのニーズも高まっています。
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生成AIを活用した「やさしい日本語」化ツールによる実証
NPO法人eboardでは、2020年から約1年半をかけて、19の企業・団体と1,000名以上のボランティアの協力を得て、約2,000本の映像授業に字幕をつけるプロジェクトを実施し、義務教育課程を網羅的に扱う映像授業としては、国内で唯一、字幕による機会保障を実現しました。この字幕は「やさしい日本語」の考えを元に、文章構造や語彙の簡素化が図られており、聴覚障害のある子や外国につながる子にもわかりやすいよう編集されています。
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▲「やさしい字幕」が表示されたICT教材eboardの映像授業
「やさしい字幕」は、2024年3月時点で、全国約100 ヶ所以上の教育現場で利用され、字幕が表示された状態での映像授業の再生回数は150 万回を超えています。「やさしい字幕」を利用した子や支援者からは「音だけだとわからない言葉が、字幕があるとわかる」「(字幕を自動)翻訳できるので、自分の国の言葉と日本語の両方で理解することができた」等の声が寄せられています。
この度の実証では、NPO法人eboardは、この「やさしい字幕」プロジェクトで培った知見を元に、生成AIを活用した「やさしい日本語」変換ツールを開発、「やさしい日本語」の教育現場での活用実証に取り組みます。
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▲開発中の「やさしい日本語」化ツールによる変換の例
この活動は、公益財団法人トヨタ財団が、外国人受け入れの総合的な仕組み構築への寄与が期待できる調査・研究・実践に対して助成する「2023 外国人材の受け入れと日本社会」プログラムでの助成を受けて行われます。
NPO法人eboardの取り組み
NPO法人eboardは、「学びをあきらめない社会」をミッションに、インターネットを通じて、経済的理由、不登校、障害などの事情を抱える子どもたちの学習機会の保障を目指して活動しています。団体が開発・運営するICT教材eboardは、約2,000本の映像授業と約10,000問のデジタルドリルで構成され、公立学校・非営利活動、ご家庭での利用(個人)には無料で提供。全国の公立学校や学習支援団体、フリースクール、地方の公営塾など11,000カ所以上の教育現場で導入され、毎月20~30万人に利用されています。
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プレスリリース提供:PR TIMES (リンク »)
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