データセンター固体変圧器(SST)市場規模は2026年138百万米ドル、成長率31.2%で拡大予測

QY Research株式会社

From: DreamNews

2026-09-28 09:00

データセンター固体変圧器(SST)とは
データセンター固体変圧器(SST)とは、従来の電磁式変圧器に代わり、高周波パワーエレクトロニクスを用いて電圧変換・電力制御を行う次世代の電力変換装置である。SiCやGaNなどのワイドバンドギャップ半導体を活用し、電圧の高速制御、双方向電力潮流、リアルタイム監視、再生可能エネルギーや蓄電池との連携を実現する。特にAIデータセンターでは、高密度GPU負荷への対応と電力変換段数の削減を両立できる点から、データセンター固体変圧器(SST)は次世代電力インフラの重要技術となりつつある。

データセンター固体変圧器(SST)の写真



データセンター固体変圧器(SST)の世界市場規模
QYResearch調査チームの最新レポート「データセンター固体変圧器(SST)―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」によると、データセンター固体変圧器(SST)の世界市場は、2025年に35.50百万米ドルと推定され、2026年には138百万米ドルに達すると予測されています。その後、2026年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)31.2%で推移し、2032年には704百万米ドルに拡大すると見込まれています。



上記の図表/データは、QYResearchの最新レポート「データセンター固体変圧器(SST)―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」から引用されている。

AIデータセンター拡大でSSTの導入意義が変化
データセンター固体変圧器(SST)市場は、AI計算需要、ハイパースケールデータセンター、高効率な電力供給方式への移行を背景に成長している。2025年の世界生産量は約46.6MW、生産能力は約50MW、平均市場価格は約762米ドル/kWで、標準的な粗利益率は20~40%とされる。現時点では商用化初期段階にあるものの、クラウド事業者や電力機器メーカーによる実証・投資が進み、AIクラスタ、高密度ラック、再エネ連携型データセンターが主要な導入候補となっている。

特に2026年は、データセンター固体変圧器(SST)を単独の変圧器としてではなく、HVDCや800VDCを含む電力アーキテクチャの一部として評価する動きが強まっている。TrendForceは、AIデータセンターの電力供給が従来方式からHVDCへ移行し、中長期的にはSSTを含む集中型高電圧DCシステムへ向かう可能性を指摘している。

800VDC化がSSTの技術価値を押し上げる
データセンター固体変圧器(SST)の最大の技術的特徴は、交流から直流への変換を高度に統合できる点にある。従来の電力系統では複数段階のAC/DC、DC/DC変換が必要だったが、SSTでは中圧ACからDCバスへ直接変換する構成が可能となる。EatonのMVSSTは中圧ACを800VDCへ直接変換する設計で、2MW級、800VDC出力で97%超の変換効率を示す。

この方向性はAIラックの高密度化と密接に関係する。AI向けラックでは従来型サーバーを大幅に上回る電力密度が求められ、将来的には数百kWからMW級ラックも想定される。そのため、データセンター固体変圧器(SST)には高効率だけでなく、急激な負荷変動への応答速度、電力品質、冗長性、保護協調まで含めたシステム性能が要求される。

実証導入では「高効率」から「システム統合」へ
2026年6月には、Alderbuck Energyがカリフォルニア大学サンディエゴ校のSan Diego Supercomputer CenterでSSTを導入し、AIデータセンター向け高電圧DC電力アーキテクチャを実証するプロジェクトが発表された。これはSSTの性能だけでなく、実環境における系統連系、負荷変動、保護、安全性などを検証する取り組みであり、商用化に向けた重要な段階といえる。

また、シンガポールではEatonがNUS主導の実証プログラムに約300万シンガポールドルを拠出し、2.5MWのMVSSTコンテナを実環境で試験する計画を進めている。こうした事例からも、データセンター固体変圧器(SST)の競争軸が「変換効率」だけでなく、熱帯環境を含む実装信頼性、モジュール化、保守性へ広がっていることが分かる。

今後はマルチポートSSTとSiCが焦点
データセンター固体変圧器(SST)の技術競争では、Single-port SSTからMulti-port SSTへの進化、SiC MOSFETの採用拡大、AC-DC/DC-DC統合が主要テーマとなる。特にマルチポート構成では、系統、蓄電池、再生可能エネルギー、DC負荷を単一の電力変換基盤上で連携させることが可能となり、AIデータセンターを「電力を受け取る施設」から「電力を動的に制御する施設」へ転換する可能性がある。

今後のデータセンター固体変圧器(SST)市場では、Eaton、Delta、Amperesand、SolarEdge、Vertiv、TBEA、China XD Electric、JST Power Equipment、Newonder Special Electric、TGOOD Electric、Sifang Automation、Kehua、Schneider Electric、Kerun Intelligent Control、Eaglerise、WG Energyなどが競争する。

企業評価では、単体SSTの性能だけでなく、SiC/GaN半導体、蓄電システム、HVDC、800VDC、制御ソフトウェアまで含めた統合能力が重要になるだろう。地域別では北米、欧州、中国、日本が主要市場となり、AIデータセンターの電力密度上昇とDCアーキテクチャの普及が、データセンター固体変圧器(SST)の商用化速度を左右する重要な要因となる。

本記事は、QY Research発行のレポート「データセンター固体変圧器(SST)―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」に基づき、市場動向および競合分析の概要を解説します。

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会社概要
QYResearch株式会社は、2017年に東京で設立された市場調査会社であり、各種業界に向けた調査・分析サービスを提供しています。主な業務内容には、市場規模分析、業界ポジション評価、フィージビリティスタディ、競争環境分析、事業計画策定支援などが含まれます。さらに、米国、韓国、ドイツ、スイス、ポルトガル、中国、インド、インドネシア、ベトナムをはじめとする世界10カ国に調査ネットワークを構築し、現地視点を活かしたグローバル市場調査レポートを展開しています。


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