日立のサーバ戦略が描く、企業のIT活用の今後とは?後編

日立製作所(以下、日立)は、4月12日に新サーバのエンハンスを発表し、ブレードサーバの新モデルとなる「BladeSymphony BS500」(以下、BS500)と、「HA8000シリーズ」のラインアップを追加し、クラウド基盤に適した製品ポートフォリオを強化した。日立のサーバ事業のキーマンであるITプラットフォーム事業本部 事業統括本部PFビジネス本部の担当本部長を務める森山隆志氏に、IT市場専門調査会社のノークリサーチでシニアアナリストとして活躍する岩上由高氏がインタビューする後編では、岩上氏が読者に成り代わり、サーバ管理者の視点でさまざまな角度から鋭いチェックを行った。

CPUやメモリーの増強と並行してNICの論理分割にも対応


日立製作所 森山隆志氏
(ITプラットフォーム事業本部
事業統括本部 PFビジネス本部
担当本部長)

森山:新たにラインアップに加えたBladeSymphony BS500とHA8000新モデルでは、最新のインテル® Xeon® プロセッサーE5ファミリーを採用し、メモリースロット数も最大化しました。さらに、iSCSIやFCoE(Fibre Channel over Ethernet)にも対応することで、LANとSAN環境を統合し、アダプタ、ケーブル、スイッチなどのハードウェア環境も共通化を可能にしています。

 また、仮想化の集約を高めていくとI/Oの複雑化が課題となります。そのため、BS500では10Gbpsのイーサネットをサポートするとともに、1つのサーバブレードに多くの仮想マシンが稼働することも考慮し、10Gbpsのポートを最大4つに論理分割して、管理LANやメール、Web、データ転送などの用途別に割り当てることができるようにしました。

岩上:確かに中堅・中小企業におけるサーバ集約は単にタワーやラックをブレードに移設する「物理集約」に留まっていて、ネットワーク部の構成がそのままで、集約メリットが出せてない、ということも珍しくありませんでした。ですが、今後は仮想化によって一つのサーバブレード上で複数の仮想サーバが動作する「論理集約」も徐々に増えていくと予想されます。そうなるとポートの論理分割も不可欠になってきますね。

森山:そうですね。将来集積度が高まっていっても、ネットワークは、1サーバあたり10Gbpsが最大8ポート、ポートの論理分割をすると最大32ポートで運用が可能になるので将来的な拡張を考えた場合でも安心です。

 また、従来はLAN構成時にループを回避するSTP(Spanning Tree Protocol)などで冗長構成を設定しなければならず、多くのスイッチが必要とするなどで管理が複雑化したり、2本のLANのどちらかしか使えないため、帯域が無駄になっていました。

 BS500では、サーバのI/Oをイーサネットに統合する10Gbps DCB(Data Center Bridging)スイッチを採用し、「イーサネットファブリック」という新たなネットワークアーキテクチャをサポートしました。これにより、ロスレス転送を実現してLANとSANを1つに集約することが可能です。さらに、スイッチ間を複数本のリンクで接続することが可能であり、その場合、自動的に論理トランクを生成し、設定を共有して負荷を分散するほか、リンク異常時は瞬時に他の経路に迂回することが可能となります。


10Gbps DCBスイッチによりポートを最大4つに論理分割し、用途別に割り当てを可能に。また、イーサネットファブリックは設定を自動共有して負荷を分散。リンク異常時は他の経路に迂回する

独自のサーバ仮想化機構「Virtage」

森山:BS500には、サーバ集約を高めるだけではなく日立ならではの仮想化へのこだわりが反映されています。その1つが、LPAR(Logical PARtitioning:論理分割)方式のハイパーバイザーを採用したサーバ仮想化機構「Virtage」(バタージュ)です。ハードウェア論理分割方式により、UNIXサーバと同レベルの高信頼・高性能の実現を目ざした製品となっています。

 他社の論理分割技術はエミュレーションでサーバを仮想的に分割しCPUのコアを共有割り当てしますが、ある仮想サーバの負荷が重くなった時に他の仮想サーバまで影響を与えてしまうことが難点です。

 日立のVirtageではCPUサービス率を動的に変更できる「共有モード」に加え、性能が求められるシステムにはコア単位でCPUを占有する「占有モード」が選択可能です。また、高い独立性を備えるVirtageでは、障害発生時の影響範囲の局所化や、クラスタリングやN+1などの可用性機能を適用することで信頼性を高めるとともに、ハイパーバイザーのオーバーヘッドが小さいという性能面でのメリットもあります。


高信頼・高性能を両立した日立独自のLPAR方式仮想化機構。BS500では4LPARライセンスが標準添付し無償で利用可能

 なお、「VMware vSphere」や、「VMware® ESX®/ESXiTM」、「Windows® Server 2008 Hyper-V®」は従来からサポートしていましたが、今回新たに「Red Hat® Enterprise Linux 6® KVM」も提供していくことになりました。

岩上:Virtageは日立におけるサーバ仮想化の特徴的な技術でもありますが、ユーザーやSIerが日立のサーバを活用する上で、Virtageと他のハイパーバイザーとをどのように使い分け、あるいは組み合わせればいいのか、指針はお持ちでしょうか。

森山:やはり、高信頼かつ高性能にサーバを守る必要があるところ、すなわちミッションクリティカル性の高いシステムにVirtageは優れた機能を発揮すると考えます。

提供:株式会社 日立製作所
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2012年7月30日