DB性能のボトルネックとなりがちなI/Oとストレージ。ここに焦点を当てて日立製作所が開発したのが、「DB高速化ソリューション for Oracle RAC on SSD」だ。既存アプリケーションには一切手を加えることなく、DBのハードウェア基盤を移管するだけで劇的なDB高速化を実現するという。
DB高速化の秘けつは「I/Oとストレージの改善」にあり
企業システムが抱えるデータ量が年々増加するに従い、多くの企業でデータベース(DB)の処理性能が限界を迎えつつある。既にシステム運用の現場では、夜間バッチが始業時間までに終わらない、あるいはオンライン処理の応答時間が低下するなどといった悪影響が出始めている。特にバッチ処理の問題は、業務遂行に与えるインパクトが大きいだけに深刻だ。
しかし一方で、バッチ処理の対象となるデータの量は、年々増加の一途を辿っている。放置しておけばDBに掛かる処理負荷はますます高くなり、事態は悪化する一方だ。そのため、こうした問題を抱えている企業では、バッチ処理の高速化と処理時間の短縮が急務になっている。
ただし、バッチ処理時間短縮のためのシステム改修には、常にコストとリスクが付きまとう。DBの構造やアプリケーションの造りを根本から見直し、適切な改修を行うには、それ相応のスキルを持ったエンジニアを一定期間アサインする必要があり、コストや時間を要する。また、たとえ開発リソースを確保できたとしても、既に長期間に渡って運用してきたバッチ処理に手を加えることには、かなりの開発リスクが伴う。
もちろん、思い切ってシステムを丸ごと刷新してしまうという方法もあるが、こちらは既存システムの改修以上の手間とコストを要するため、ほとんどの企業はシステムのリプレイス時期を迎えるまでは、何とか現状の仕組みのまま運用し続けていかざるを得ないのが実情だ。
しかし近年、こうした課題を解決するための製品やソリューションが、さまざまなベンダーから提供され始めている。これらのソリューションの特長は、アプリケーションには極力手を加えることなく、DB基盤にのみ変更を施すことで、手間やリスクをなるべく小さく抑えながらDBシステムのスループット向上を実現できる点にある。中でも、比較的容易にDB高速化を実現できる手段として現在注目を集めているのが、「ストレージとI/Oの見直し」だ。
HDDをSSDに入れ替えるだけでは、期待通りにスループットは向上しない
ストレージに関して言えば、近年HDDに変わるストレージとして、不揮発性メモリを採用したSSDの採用例が徐々に増えてきている。SSDはHDDのようなディスクやヘッド装置を持たず、メモリにデータを読み書きするため、HDDと比べ圧倒的に速いI/O性能を発揮する。既存のストレージがHDDで構成されている場合には、これをSSDに置き換えることでIOPSを劇的に向上させることが可能だ。現に、今多くのストレージベンダーが自社のストレージ製品にこぞってSSDを採用し始めている。
しかし、一般に考えられているように、単にHDDをSSDに置き換えるだけでDBシステムのスループットが期待通りに向上するとは、必ずしも限らない。たとえストレージのIOPSが劇的に向上したとしても、サーバとストレージの間を結ぶチャネルのI/O帯域に十分な容量がなければ、大量のデータが流れるとそこがボトルネックになってしまうのだ。このボトルネックを解消するためには、ストレージのFC(ファイバチャネル)の接続パス数を増やしたり、あるいは高性能なストレージコントローラを採用するなど、I/O高速化のための最適な構成とチューニングが必要になってくる。
つまり、ストレージとI/O双方の性能のバランスを加味しながら、うまくハードウェア全体のバランスを調整する必要があるのだ。言うまでもなく、これを行うには極めて高いハードウェアの知識が要求されるため、多くの企業にとってはハードルが高いかもしれない。しかし、もしこのあたりのバランス取りとチューニングがすべて終えられた形でシステムが提供されれば、あらゆる企業がストレージとI/Oの見直しによるDB高速化の恩恵を受けられるはずだ。
これをまさに実現したのが、日立製作所が提供する「DB高速化ソリューション for Oracle RAC on SSD」だ。