社内の各部署ではオフィス文書や電子メール、動画や画像などのデータが日々蓄積されています。部署や部門ごとに立てたファイルサーバの空き容量もそろそろ限界……、そしてこれらの管理の手間も相当負担になってきています。そんなときに役に立つのが、NAS。では、NASとはどんなもので、どんなことができるのでしょうか。
NAS(ナス)という言葉は聞いたことがあるけど、「詳しく説明して」と言われると少し困ってしまう。そんな方のために、まずはNASとは何かを説明しましょう。
NASの正式名称は、Network Attached Storage。ネットワークに直接接続(Attach=接続)して使うストレージ専用機(Storage=記憶装置)のことで、ハードディスクやOSはもちろん、データの保存、運用管理に必要なソフトウェアが搭載されている装置です。一般的にファイルサーバを構築する場合は、ユーザー自身がOSやアプリケーションのインストール、設定する必要があり、構築にも運用管理にも手間がかかります。この点NASは、必要な機能があらかじめ備わっており、専用の管理ツールも充実しているため、構築の手間を最小限に抑えながら、システムのパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。
また、ファイルサーバは、それぞれのハードウェア、ソフトウェアごとにメーカーが異なることもあり、構築や管理で分からないことがあったときに、あちこちに問い合わせをしなくてはならず、管理者が頭を悩ませる場合が多々あります。しかしNASの場合は、基本的に1つの製品を1つのメーカーがサポートするので、安心して運用管理を行うことができます。
ではNASを導入したいと思ったとき、どんなことを検討すればよいのでしょう。
まず考えたいのが次の3点です。
新しいNASを導入したあと、クライアントOSやユーザー認証方法などが変わってしまっては混乱を招きますし、なにより移行作業が大変です。現在のクライアントOSやユーザー認証方法が引き継げるNASを選びましょう。複数のOSやユーザー認証方法に対応している製品であれば、もし将来、業務環境が変わっても、長く使うことができます。
日々の業務で利用するデータは、消失してしまうと企業の存続が危ぶまれることもあるほど、重要な資産です。大切なデータを格納するNASは、信頼性の高い製品であることが不可欠。ストレージ製品の確かな実績があり、さらに日本国内でのサポートが充実しているメーカーの製品であれば安心です。
いくら製品の信頼性が高くても、日々の業務の中でデータが破損してしまうこともあります。そんなときに備えて、定期的なバックアップが必要です。自動でバックアップを行い、データのリストアも簡単にできれば、運用管理の手間を削減することができます。
NASのバックアップ機能の1つにスナップショットがあります。Windows Serverの「Volume Shadow Copy Service(VSS)」にあたる機能で、元データの差分をバックアップし、データが破損したときにはユーザー自身でリストアすることができます。バックアップの時間や回数などを細かく設定できる製品だと、自社業務に合った運用方法が可能ですので、さらに管理の手間が少なくなります。