ネットワンならではのサービスに今後も期待
リソースの有効活用という点では、EVO:RAILを災害対策サイトとして運用する一方、コンピューティングリソースの一部を開発環境に利用することで、利用効率を高めている。
「EVO:RAILを導入したことで、これまで運用に割かれていた時間を開発の時間に当てることができるようになりました。EVO:RAIL上に開発環境を立ち上げて、日々活用しています」(吉田氏)
また、吉田氏は、専門知識を持つパートナーと協働することは、エンジニア教育の面でも高い効果が期待できると指摘する。教育の初期段階から、プロに任せられる部分と自分たちで行う部分とを見分ける目を養い、ユーザーとして必要な知識を効率的に得ていくことができるという。「ネットワンさんは幅広いサービスを展開しており、セキュリティなど、ユーザー企業のIT部門だけでは対処が難しい課題のサポートもしていただきたい」と期待を寄せる。
EVO:RAILの今後の活用については、他と信用金庫との共同利用という形で、広域な災害対策サイトが構築できないかを検討中だ。勘定系システムについては、すでに共同センターをつかった複数の信用金庫によるシステム利用を行っている。導入と運用が簡単であるEVO:RAILは、必ずしも専門のエンジニアを確保する必要はない。複数の機器を共同購入、共同利用することでコストを減らす効果も高まる。ひびしん側から他の信用金庫への提案もしやすく、実際にそうした取り組みに向けた動きも進んでいるところだという。
これをさらに発展させていくと、コミュニティクラウドとしての運用も視野に入ってくる。その際には、オンプレミスに置いたEVO:RAILと、VMware vCloud Airのクラウドサービスの連携なども検討材料になりそうだ。
災害対策サイト構築にかかわるコストや手間という課題をEVO:RAILによって解決した福岡ひびき信用金庫。吉田氏は、「今回の取り組みを基盤として、今後も、地元に密着したサービスを提供し続けていきたい」と強調した。