Windows XPサポート終了を機にクライアント環境の見直しが加速している。そんななか注目を集めているのがデスクトップ仮想化(VDI)だ。VDIを導入すれば、クライアントを集中管理することで、セキュリティーを確保し、運用管理コストを大幅に下げることができる。クライアント管理に手を焼くIT部門にとっては魅力的なソリューションだ。だが、初期導入コストが高くなりがちで、経営層の理解をなかなか得られないという声も聞く。どう乗り越えればいいのか。実際にVDI製品を手がけるベンダーとコンサルタントとの対談から解決のヒントを探る。
ベンダーとしては、「AQStage 仮想デスクトップサービス」を展開するNTTネオメイトの仮想化技術センタ長である米田克哉氏。NTTネオメイトは、NTT西日本グループ向けに仮想デスクトップ3万5,000台という西日本最大級のクラウドを構築する実績を持ち、その運用ノウハウをもとにサービスを提供している。
コンサルタントはプライスウォーターハウスクーパースのシニアマネージャー、一山正行氏。VDIの導入はもとより、ITシステムの設計と構築を中心に、幅広い領域でコンサルティング活動を展開する。ITコストの削減やインフラの展開方法にも詳しい。

XPサポート終了で注目を集めるVDI

一山氏: XPからの移行で最大のネックは、IE6向けに構築したアプリケーションです。Windows 7や8に移行するとIEのバージョンが上がり、アプリケーションが誤動作したりまったく動かなくなったりします。そこで、VDIを、IE6向けアプリケーションの延命策に使おうという声がでてきました。その辺りは、実際どうなのでしょうか。
米田氏: VDIを使った延命策としては、移行するまでの一定期間、PC自体を仮想化し、ほかのネットワークから隔離した環境で利用するといったことが考えられます。また、アプリケーション仮想化という技術を使って、新しい環境に移行できないアプリケーションだけを利用するという方法もあります。ただし、ベンダーのサポートがない中で使うわけですから、実際の解決策にはなっていないことに注意すべきです。
一山氏: あくまでリプレース期間や取引先の事情など、移行期間中の一時的な対策として使う必要があるわけですね。そうすると、次に検討できるのは、既存のクライアントPCをVDIへと移行するということになりそうです。
そこでネックになるのは価格ではないでしょうか。たとえば、ユーザーからよく聞く話として「VDIに月額料金を支払うよりも、新しいPCを買ったほうが安い」というものがあります。

米田氏: 確かにそういった声があるのは事実です。PCは安いものはいくらでもあります。しかし、これまで普通に使っているPCでは運用にかなりの手間がかかっており、それは費用がかかっているのと同じです。VDIには、運用管理の手間が削減できることや、さまざまな端末でどこからでも使えるため生産性の向上につながること、ペーパーレス化につながることといったメリットがあります。そうはいっても、イニシャルでお金がかかることは、目に見えるコストですから、無視はできないのですね。