「Oracle Cloud」は本当に使える? ノーチラス神林氏率いる技術者集団がホントのところを一刀両断
他社クラウドサービスと比べても優位
高スループットと高スケーラビリティを実現
検証は、2017年3月から4月にかけて行われた。3つのストーリーに対する具体的な検証結果は以下のとおりだ。
ストーリー1ベアメタルインスタンスと仮想インスタンスとの比較
まずはベアメタルの性能を確認するため、OCI上にコンピュート用のベアメタルインスタンスと仮想マシンインスタンスを構成し、Asakusa on M3BPによる2種類のバッチアプリケーション(ストレージ入出力が主体の「AP-K」と、CPU負荷の多い「AP-P」。「AP-P」はより実務に近しいテストができるように原価計算アプリケーション)を実行させてパフォーマンスを比較した。
その結果、ベアメタルインスタンスは予想通りの高速性を発揮している。2種類のバッチいずれもベアメタルの方が仮想マシンの数倍高速という結果だった。
実際に検証に携わった川口章氏は、「検証当時に比べ、現在の仮想マシンインタンスはよりハイスペックな構成を選択できるので、その差は縮まっている可能性がありますが、ベアメタルの高い性能を確認できました。一方、仮想マシンインスタンスの方はコスト面で有利ですから、状況に応じて使い分けるのが効果的でしょう。いずれにせよ、OCIはエンタープライズシステムを構築する上での基本的なスペックを十分備えていると言えます」と話す。
※2017年10月現在、仮想マシンインスタンスでも高速ストレージ(NVMe SSD)が利用可能
ストーリー2OCIと他社クラウドサービスとの比較
ストーリー1のベアメタルインスタンスと同程度のインスタンスを、他社エンタープライズ向けクラウドサービスにおいて構成(他社クラウドではストレージの異なる2種類を用意)し、同じくAsakusa on M³BPによるバッチアプリケーション2種類を用いてパフォーマンスを比較した。
比較した合計5種類の環境の中で、OCIのベアメタルインスタンスはAP-Kで1位、AP-Pで2位という結果だった。
「この結果に関して言うと、まずAP-Kで1位というのはOCIが提供するNVMe SSDストレージの優れた性能がそのままアプリケーションの実行速度に反映されたと考えます。AP-Pでは2位だったとはいえ、1位との差はさほど大きくありません。1位となったサービスは検証当時にいち早く最新世代のCPUを取り入れており、その効果が出たものと思われますので、今後OCIについても継続的にサービスの性能が向上していくことを期待したいですね。」(川口氏)
※2017年10月現在、OCIで最新世代のCPUが利用可能
ストーリー3Oracle Databaseとのデータ入出力連携
OCIにおいて、コンピュート用ベアメタルインスタンスとデータベースインスタンスを構成。Oracle DatabaseへアクセスするAsakusa on M³BPによるバッチアプリケーションを用い、コンピュート用インスタンスのCPUスレッド数を変化させつつパフォーマンスを計測した。
なお、本ストーリーではインスタンス間の入出力性能を確認することが主目的のため、バッチアプリケーションはデータベースからデータを読み込んでは書き戻すという単純なものを使用している。スレッド数を1から64まで増加させていった結果、処理性能は順調に上昇していくことが確認された。
「環境によってはストレージへのアクセスや、インスタンス間のネットワークがボトルネックになりがちで、スレッド数を増加させても思うようにスケーラブルに高速化できない場合もあります。しかしこの検証ではそういったボトルネックが顕著には現れず、リニアにとまでは行かないもののスレッド数に応じて高速化できることが分かりました。スレッド数を増やしながら、一体どこまで性能を向上できるのかと驚いたほどです。これなら、一つのデータベースに対し、複数のバッチ用インスタンスで並列処理を行うことも可能でしょう」(川口氏)
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部 掲載内容有効期限:2017年12月31日