進展する実活用

Oracle Mobile Suiteはすでに、ビジネス・アプリケーションのモバイル化、あるいは、新規のモバイル・アプリケーション開発など、さまざまな用途での活用が進展しているという。例えば、MICROSという米国のソフトウェア・ベンダーでは、ホテル従業員向けのマルチデバイス対応型アプリケーションの開発にOracle Mobile Suiteを用いている。ここで言う「マルチデバイス」とは、スマートフォンとタブレット、およびPCのことだ。これらのデバイス上で一貫性を持った利用者体験を実現するアプリケーションの開発にOracle Mobile Suiteとオラクルのポータル基盤が採用されたのである。このアプリケーションの場合、業務ロジックは同じでも、スマートフォン/タブレットとPCとでは、使える機能/データが異なる。つまり、スマートデバイスに向けては、その画面サイズや用途に合わせた格好で、サービス/情報が絞り込まれ、提供されているという。
また、ある建設会社では、工事現場点検用のスマートデバイス・アプリケーション(ハイブリッド・アプリケーション)の開発にMAFを採用した。この事例は、既存アプリケーション(Java EEベースのアプリケーション)のマルチプラットフォーム(Android、およびiOS)対応を推し進めるプロジェクトだ。オラクルのサービス・バスを介し、必要なデータだけをモバイルに配信する仕組みを実現。内蔵カメラによる工事現場の撮影/アップロードなど、スマートデバイスのネイティブな機能もアプリケーションに組み込んでいる。
このほか、ある大手製造業では、技術者がテスト工程で使用するiPad向けアプリケーションの開発にOracle Mobile Suiteを用いている。このケースは、専用的で特殊なネーティブ・アプリケーションの開発にも、Oracle Mobile Suiteが有効であることを示す一例でもある。
さらにもう1つ、Oracle Mobile Suiteの活用事例として忘れてはならないのが、オラクル内部での利用だ。同社では、ERPアプリケーションなど、パッケージ製品のモバイル化にMAFをフルに活用してきたが、その適用範囲はさらなる拡大傾向にあるようだ。
「MAFを用いた社内の開発プロジェクトはすでに膨大な数に達しており、それぞれの進展によって、フレームワークとしてのMAFの成熟度は今後ますます高められていくでしょう。現時点での有用性に加えて、将来性もしっかりと確保されている――。それは、MAFの強みであり、導入価値の大きさと言えるのです」(智野 氏)。