全世界900名以上がISVをサポート

日本アイ・ビー・エム株式会社
ソフトウェア事業
ISV&デベロッパー事業推進 部長
佐内 桐梧 氏
日本IBMのISV&デベロッパー事業推進は日本独自の組織ではなく、全世界に900名以上の担当者がいるグローバルな組織だ。日本IBM ソフトウェア事業 ISV&デベロッパー事業推進 部長である佐内桐梧氏は、「具体的なISV支援としては、ポーティングの支援やIBMイノベーションセンターにおける技術検証、VLP(Virtual Loaner Program)の利用促進、開発者向けの技術サイトであるdeveloperWorksの運営などです」と話す。
Linux on Powerに対するISVパートナー向け支援としては、Linux on Powerの環境構築から、システム開発のサポートまで、ISVパートナーがLinux on Powerに移行しやすい状況に誘導することを目指している。中でも重要なのがx86系のLinuxで開発したパッケージ製品を、いかにLinux on Powerに移行するのかということだ。ポーティング方法について佐内氏は、次のように語る。
「C言語やJava、スクリプト言語など、ソースコードが書かれた技術や手法によってポーティング手法が提供されています。また、IBMイノベーションセンターやVLPにおける技術検証なども行っていきます。もちろん、Power Systemsの実機を用いたポーティング検証に対する技術サポートをご利用いただくことも可能です」
Linux on Powerにおいても、すでにISVとの協業を実現
日本IBMでは、まずはLinux上のDB2やPostgreSQLなどを基幹データベース・サーバーとして信頼性が求められる基盤ソリューションや、ビッグデータや大規模データウェアハウス、大容量検索、ストリーミングなど多量のデータの高速処理が必要なソリューションの関連パッケージ製品を開発しているISVパートナーとLinux on Powerを推進していく計画だ。そのために、ISVパートナー各社が集まり、IBMの最新情報を取得したり、ISVパートナー間で情報交換したりする場も引き続き提供していく。こうした取り組みにより、すでに複数のISVパートナーの製品を組み合わせたソリューションも登場している。
佐内氏は、「すでにLinux on Powerにご対応いただいているISVパートナーも数多くありますが、ここ数年で仮想化やクラウドに対する要望が増えてきたことから、さらにLinux on Powerへの期待が高まっています。Power Systemsでは、ISVパートナーのパッケージ製品の性能を最大限に引き出せる環境を提供しています。ポーティング手法も確立されていますので、安心してPower Systemsに移行していただきたいと思っています」と話している。
クイズチャンピオンになった「Watson」
米国時間の2011年2月16日、IBMの質問応答システム「Watson(ワトソン)」が、米国の人気クイズ番組「Jeopardy!(ジョパディ!)」に挑戦し、最高金額を獲得した。このニュースで重要なのは、Watsonが、10ラック、総メモリ容量15TB、総コア数2880個で構成され、Linuxが稼働する「IBM Power 750」で実現されているということだ。
Watsonは、IBMの研究開発部門で長年培ってきた技術に基づき、専用のマシンではなく、ビジネスでも使えるIBM Power 750をベースとした大規模クラスタ環境の上で質問応答システムが構築されている。IBMでは、クイズに勝つことが目的ではなく、テクノロジーがそこまで進化していることを知ってもらうことが最大の目的としている。