IT運用の自動化は、IT部門の業務効率を劇的に改善させ、ひいては企業全体の業績さえ大きく改善すると期待される。ITインフラの姿が変わりゆく中で自動化テクノロジーも発展を続けており、先進的なテクノロジーを積極的に取り入れて、自動化する範囲をより拡大していきたいところ。Red Hat Ansible Automationは、そんな最先端の自動化テクノロジーを代表する存在だ。米国レッドハットでAnsible事業のゼネラルマネージャを務めるジャスティン・ネマー氏が8月に来日し、インタビューに応じてくれた。
企業がIT自動化を進める中
注目度が高まるAnsible
Ansibleは、「シンプル」「パワフル」「エージェントレス」の3点を特徴とする運用管理・自動化ソフトウェア製品。エージェントに頼らず外部インタフェースを駆使することでITインフラに使われるほぼ全てのコンポーネントの管理に対応でき、DevOpsに使われる多彩なツールとも連携、レガシーな3階層から仮想化基盤、クラウド、コンテナまで、多種多様なITインフラの全体に渡る運用の自動化が可能だ。現在では、自動化の実行エンジンとしてコマンドラインから利用するコアモジュール「Ansible Engine」と、そのコアモジュールをGUIで管理し組織的な活用を可能にする管理モジュール「Ansible Tower」をレッドハットが提供しているほか、それぞれの製品に相当する無償のコミュニティ版も存在する(以前はコアモジュールがコミュニティ版のみの「Ansible Core」、管理モジュールのAnsible Towerは有償版のみとなっていたが、2017年に双方のバリエーションを有償/無償の両方に拡大し、一部の名称を変更した。)

Red Hat
GM of Ansible
ジャスティン・ネマー氏
もともとAnsibleは独立した企業が提供してきたが、2015年にレッドハットが買収し、自社のポートフォリオに組み入れた。レッドハットにとっては、Ansibleを管理や自動化を担う重要なプロダクトとして大切に育てているようで、買収に伴いレッドハットに所属することになった従業員の多くはそのままレッドハットに所属し、Ansibleのさらなる強化に取り組んでいるという。ジャスティン・ネマー氏もその一人で、現在はゼネラルマネージャとしてAnsibleに関する一切を取り仕切る、重要な任務を帯びている。
「ユーザー企業の多くは、すでに自動化の重要性を認識しているだけでなく、何らかの自動化テクノロジーを用いています。しかしIT環境は巨大化・複雑化していくものですから、それに伴って旧来の自動化テクノロジーはサイロ化されたものとなり、組織はあまりメリットを得られなくなっているのです」とジャスティン・ネマー氏は説明する
実際、レッドハットが2017年に調査会社IDCの協力を得て実施した調査によると、2020年までにIT組織の79%が新たなIT管理/自動化ソフトを必要としていることが明らかになっている。(https://www.redhat.com/en/resources/devops-agility-management-automation-idc-infobrief (英語))。こうした追い風もあって、強力な自動化機能を備えたAnsibleは世界的に広まっているというのだ。
「しかもAnsibleは、シンプルに使えるため、IT部門のみならずビジネス部門なども含む組織全体で活用できる点も大きな特徴です。これまでは、組織全体に渡る自動化を実現できるような単一のソフトウェアは存在しませんでした」(ジャスティン・ネマー氏)

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