訪日インバウンドの促進剤は、世代や国境を超えた約60名によるイノベーション
2日目は臼杵市の披露宴会場KIJOKAKUにて開催。SAPジャパン原弘美とインテル三浦健豪氏による説明が終わると、中野五郎臼杵市長がこの日への思いを語ります。「我々の当たり前が外国の方々の常識とは限りません。日常の中に宝が隠れていることもあります。今日は皆様から多くの提案をいただき、来年のラグビーワールドカップ、さらには再来年の東京オリンピックに向けて、臼杵市を便利かつ多動な街へと導けることを期待します」。さらに今後の展開として中野臼杵市長は「採用された意見は行政が受け継ぎ、必ずや実現に向けて動いていきたい」と宣言されました。
臼杵市には豊かな自然や文化財などの観光資源が多数。けれど、日本大会の県会場はあくまでも大分市であることから、この地へ訪日客を呼び込むための工夫は、容易なものではないでしょう。移動距離や時間、+αの出費といった不便さを越えられるほどの魅力とは? "提案して欲しい"という中野臼杵市長の言葉には、地域発展への切なる願いさえも込められているように感じました。
ワークショップ最初のお題は、昨日行った観察・取材の内容を共有して課題を発見すること。ファシリテーターの協力を得て、自らの考えをポストイットへ記入していきます。制限時間は30分。さらに量産された情報の中から10分で鍵となる情報の絞り込みをしなくてはならず、会場の一部からは驚きの声が上がります。しかし、開始数分で各テーブルには何十枚ものポストイットが。多様な専門領域を持つメンバーから構成される各チームは、その後もペルソナの設定など、分刻みで提供される課題に対して幾つもの科学反応を起こしていきました。
久光製薬株式会社 執行役員・企業戦略室 室長の綾部剛氏にこれまでの感想を尋ねてみると、デザインシンキングは自社が抱える課題へのアプローチにも有効な手段であると話します。「お客様第一主義という企業理念のもと、常日頃からお客様の目線に立っているつもりではありました。しかし、今回のようにお客様の立場になりきって追体験をしてみると、改善余地は多くあると感じられました」。