トライ&エラーを繰り返した先に生まれたのは、臼杵市の未来を担う10通りのジグソーピース
午前中に完成させたプロトタイプに改良を重ねると、いよいよ午後からは発表がスタート。シナリオをもとに、1人がペルソナを実演しながらプロトタイプを提案するチーム。メンバー間でマイクを回しながら各自が役割を果たすチームなど、多彩な提案と同様、発表の手法やプロトタイプにも各チームの個性が光ります。入賞チームによる提案の一部を紹介すると、ガイド兼カメラマンを務める市民が撮影した観光者の写真が、ポストカードとなって自宅へ届くフォトサービスアプリや、多彩なスポーツイベントの持続的誘致が可能なパブリックビューイング会場、デジタル通行パスといった可能性を秘める絵馬などがありました。
「多様な方々との共同作業を通じ、従来の枠に捉われないアイディアが生まれた時間はとても新鮮でした」と語るのは、臼杵市観光振興戦略会議の委員長・安野祐二氏。今イベントが多くの市民にとって、臼杵市や世界の現状に目を向けるきっかけになればいいと話します。さらに自らの飲食店でも訪日客が増加傾向にあると言い、顧客のニーズに対する自身の理解はもちろん、1店舗のみの囲い込みに留まらない、新たな観光の在り方を地域で模索する必要があると訴えました。
レベルの高い議論が展開され、多彩なプロトタイプが登場した2日間。また、プロトタイプに採用されずとも、地元市民さえ知らない地域の歴史を掘り下げて取材をしていた人。田舎町の景観が、あるアニメーションの風景にそっくりだと訴える人。新たな視点により発掘された観光資源は、必ずや将来に生きてくることでしょう。そう確信させてくれたのは、多くの声に熱心に耳を傾ける市民の姿。そして、わが町のように課題解決に取り組む他の参加者の姿でした。地域に眠る資源を磨き、ビジネスとして結実させようと人々が模索してきた中、進化のためにテクノロジーが果たす役割は無限にあるのだと、今イベントが気づかせてくれたように思います。
採用されたアイディアは、今後、約1ヶ月でクィックに構築されたSAP Cloud PlatformをベースとしたSAP Leonardoアプリケーションのデモンストレーションでも紹介される予定です。